

1.NHK世論調査
1月8日から3日間にかけてNHKが全国の18歳以上を対象に世論調査を行いました。調査の対象となったのは、2150人で、57%にあたる1219人から回答を得ました。
その結果、岸田内閣を「支持する」と答えた人は、先月より7ポイント上がって57%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は、6ポイント下がって20%でした。
また武漢ウイルスをめぐる政府のこれまでの対応を、どの程度評価するか尋ねたところ、「大いに評価する」が7%、「ある程度評価する」が58%、「あまり評価しない」が24%、「まったく評価しない」が7%で、オミクロン株に対する医療提供体制を確保するため、政府は、感染が急拡大している地域では感染者全員に入院を要請してきた対応を見直し、自宅などでの療養を認めたことについて、「大いに評価する」が12%、「ある程度評価する」が56%、「あまり評価しない」が22%、「まったく評価しない」が5%でした。
岸田政権は概ね評価されている様子です。
そして、各党の政党支持率を見ても、「自民党」が41.1%、「立憲民主党」が5.4%、「公明党」が2.8%、「日本維新の会」が5.8%、「国民民主党」が1.0%、「共産党」が2.6%、「れいわ新選組」が0.3%、「社民党」が0.2%、「特に支持している政党はない」が34.0%と、自民一強の様相を呈しています。
2.崖っぷちの社民党
存在感が乏しくなっている野党の中でも、夏の参院選で、党存続の危機に見舞われているのが社民党です。
というのも、昨年10月の衆院選では1議席しか獲得できず、参院選次第では政党要件を失うことになるからです。
政党要件は公職選挙法では「所属国会議員5人以上」、「直近の衆院選か参院選で有効投票総数の2%以上の得票」のいずれかを満たす必要があります。
けれども、社民党の衆参国会議員は、福島党首と先の衆院選沖縄2区で当選した新人の2人だけ。2020年に立憲民主党との合流をめぐり党が分裂して以降、党員は4割減り、地方議員は半数以上が離党しています。
1月5日、社民党の福島瑞穂党首は、年頭記者会見で「今年は参院選の年でまさに正念場だ。比例代表で120万票以上を取らないと政党要件は維持できない」と危機感をあらわにしていますけれども、「所属国会議員5人以上」ではなく、「2%以上の得票」に相当する120万票以上を目標にするしかない辺り、社民党の黄昏を感じざるを得ません。
とはいえ、今の社民党には、その2%、120万票が厳しい目標になりつつあります。
下の図は2007年から2019年までの衆参比例区の各党別獲得投票数ですけれども、社民党は2009年衆院選の300万票をピークに票を減らし、17年衆院選や19年参院選では100万票そこそこにまでなっています。
そして先の衆院選も獲得票数101万8588票で得票率は1.77%と2%を割っています。政党要件を失うと、衆院選で小選挙区と比例代表の重複立候補ができなくなったり、選挙区で出馬しても政見放送を流せなかったりするなど、制約を受けることになります。

3.ブーメランは健在
また、野党第一党の立憲民主も、泉新代表の下、心機一転かと思いきや、お家芸の「ブーメラン」は健在です。
テレビの報道番組や映画、ドキュメンタリーを制作している有志の方たちが運営しているネットメディア「Choose Life Project」に、1000万円以上の「番組制作費」を突っ込んでいた疑惑があることが、同メディアに出演していた、ジャーナリストの津田大介氏、望月衣塑子氏、エッセイストの小島慶子氏などが連名で公開した「Choose Life Projectのあり方に対する抗議」で明らかになりました。
なぜブーメランなのかというと、昨年秋、Twitter上で野党やリベラルなメディアの批判を繰り返し、不正確な情報発信や誹謗中傷などが批判されていた、いわゆる「Dappi」問題です。
立憲民主の参院議員2人は、「Dappi」の発信元回線を契約していたネット企業を提訴。また、2021年秋の参院本会議の代表質問では、立憲の森ゆうこ副代表は次のように述べ、岸田総理に直接、見解を問いただしていました。
同僚の小西・杉尾両参院議員が行った発信者情報開示請求手続きにより、重要な問題が明らかになってきました。国会質疑の動画を編集して、本来の意図とは全く違う内容のフェイクニュースを作り上げ、拡散し、野党を攻撃してきたツイッターアカウントの運営者が法人であるとわかりました。しかも、バズフィードニュースの調査によれば、その法人は、自民党の議員や自民党の支部との取引があることもわかりました。
このように、「Dappi」問題は「自民党によるネット世論操作の一環ではないか」などと、インターネット上やマスメディアで大きく取り沙汰されたのですね。
国会で立憲民主は、この「Dappi」問題で自民党など与党に対し、政治と金の関係も追及していたのですけれども、なんのことはない自分達も資金提供していたことが指摘されて大慌てで火消しに入っています。
1月7日、立憲民主の泉代表は記者会見で「発覚前は知らなかった。少なくとも現執行部では行われておらず、現時点で把握できる範囲ではCLPへの類似の支出は行っていない」と述べ、西村智奈美幹事長に調査を指示したことを説明しました。
更に、「CLPが一般メディアという理解でいいのかだが、あまり耳にしたことがない」と語り、今の立憲民主の結党が2020年9月であることから「旧立憲は解散し、新党としてできている」と述べ、資金提供についても「いずれ党の会計文書として出てくることを考えると、隠す意図はなかったのではないか」と弁明しました。
今の立憲民主は昔の民主党とは違う、なんて言い訳はなんども聞いたことのあるもので、やっぱり前と一緒じゃないかと思われてしまって逆効果なのではないかと思いますけれども、これでは野党第一党の座も危ういのではないかと思えてきます。
保守から批判を受ける岸田政権も夏の参院選は敵失でなんとか勝利するのかもしれませんね。
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