2022年はどんな年になるか

今日はこの話題です。
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1.エコノミスト紙の世界はこうなる


イギリスの経済紙『The Economist』が今年も『世界はこうなる』シリーズを発行しました。

『世界はこうなる』シリーズは、その年の12月に発行され、来年一年間の未来予想が綴られます。

ただ、今年はこれまでの「The World in 〇〇」といった題名ではなく「The World Ahead 2022(2022年から先の世界)」と変えています。あるいは今年1年という範囲では予測できない、または時代のトレンドが変わるということを言いたいのかもしれません。

この「The World Ahead 2022」の序章で、編集者トム・スタンデージ氏による2022年に注目すべき10のテーマを紹介しています。

その概要は次の通りです。
「The World Ahead 2022」序章

1. 民主主義 vs 独裁主義:アメリカ中間選挙と中国共産党大会は、敵対する政治制度の対比を鮮明にするものとなろう。民主主義の旗の下、バイデン大統領は自由主義世界を再結集させようとしているが、機能不全で分断されたアメリカがそのメリットを呼びかけるには役不足と言わざるを得ない。

2. パンデミックからエンデミックへ:今後は新たな抗ウイルス薬、改良の進んだ抗体治療、そしてもっと多くのワクチンが登場するだろう。今後新型コロナは、ワクチン接種をさらに拡大させない限り、富裕層ではなく貧困層を苦しめる数多の風土病のひとつとして定着してしまうだろう。

3. インフレ懸念:サプライチェーンの混乱とエネルギー需要の急増によって物価が上昇している。

4. 仕事の未来像:未来は「ハイブリッド」であり、今後はより多くの人が在宅で働く日数が増えるという考え方が広まっている。しかし、具体的な中身については意見の異なる部分が多い。

5. 新たなテックラッシュ(巨大IT企業への反発):アメリカとヨーロッパの規制当局は、長い間ハイテク大手企業を制御しようとしているが、いまだにその成長や利益を少しも抑え込めずにいる。現在主導権を握っているのは中国で、容赦ない規制によって自国のハイテク企業を激しく取り締まっている。

6. 成長する暗号通貨:金融の将来をめぐって、暗号ブロックチェーンDeFi(分散型金融)クラウド、従来型のテクノロジー企業、そして中央銀行の三つ巴の戦いが2022年には激化するだろう。

7. 気候変動の危機的状況:山火事、熱波、洪水が頻度を増して発生していても、気候変動への取組みとなると緊急性の意識が驚くほど欠如している政治家が大半である。

8. トラベル絡みの問題点:経済が再開するにつれてトラベルの活性化は戻りつつある。しかし、オーストラリアやニュージーランドのようにコロナゼロ「抑圧」戦略を推進する国々にとって、このウイルスが風土病として定着する世界に順応することは、手をこまねくしかない難しい課題となるだろう。

9. 宇宙競争:2022年は、従来の政府関係者を超える数の一般人が競争にしのぎを削る宇宙ツーリズム会社を使い、お金を払って宇宙へ行く最初の年となる見込みだ。

10. スポーツに影を落とす政治:北京冬季オリンピックとカタール開催のサッカーワールドカップは、スポーツがいかに世界を一つにすることができるか見せてくれるだろう。だが一方で大きなスポーツイベントがいかに政治絡みの様相を呈しやすいかということも思い起こさせることとなろう。国の代表チームによるボイコットは簡単には起こらないにしても、両ホスト国に対する抗議行動があることは十分予想される。
ざっとみて、武漢ウイルス禍からの復活がほの見えてくる年なのかなという印象をうけます。


2.去年の予測


エコノミスト紙の予測がどこまで当たりそうなのかを見積もるために、昨年、エコノミスト紙が2021年をどのように予測したのかを確認してみると、次の10の予測を挙げていました。
「The World in 2021」序章

1. ワクチンをめぐる争い:ワクチンをめぐる駆引きは、誰が、いつ、ワクチンを入手すべきかについて国内や他国間での争いを伴うことになる。

2. 様々な形の経済回復:地域ごとで感染の拡大や封じ込めが繰り返され、パンデミックから立ち直る経済の回復は一様なものとはならない。

3. 新たな世界的無秩序の修正:ジョー・バイデンは、崩壊しつつあるルールに基づく国際秩序をどの程度修正できるだろうか?

4. 高まる米中間の緊張:中国との貿易戦争中止をバイデン氏に期待してはならない。彼はより効果的に戦うために同盟国との関係を修復したいと考えている。アフリカや東南アジアの多くの国はどちら側につくべきかの決定を避けることに全力を挙げている。

5. 最前線に立たされる企業:ビジネスが以前にも増して地政学的戦場の様相を呈するにいたり、米中対立のもう一つの前線に立っているのはファーウェイやティックトックといったよく知られた企業の例にとどまらなくなっている。

6. テクノロジー加速(Tech-celeration)の後:2020年、パンデミックによってビデオ会議やオンラインショッピングからリモートワークや遠隔学習まで、多くのテクノロジーを使った行動様式が加速度的に取り入れられた。2021年には、こうした変化がどの程度定着するか、あるいは突然元に戻るかがより明らかになるだろう。

7. どこへでも自由に行きにくくなる世界:旅行業界は縮小または形を変え、国内旅行がより注目されるだろう。

8. 気候変動に関する機会:危機の中で一縷の希望の兆しは、気候変動に関して行動を起こす機会があることである。

9. デジャブの年:来年が多くの点においていかに2020年のやり直しのように感じられるかもしれない。イベントは、予定より一年遅れで開幕できるよう最善が尽くされる。

10. 他のリスクへの警鐘:長年にわたりパンデミックの危険性を警告してきた多くの学者やアナリストは、限られた機会を生かして、政策立案者に抗生物質耐性や核テロなどの軽視されている他のリスクをもっと真剣に考えさせようとするだろう。
今、振り返ってみると、確かに当たっていることが多いと思います。

この予測も2022年と同じく編集者のトム・スタンデージ氏が書いていますから、今年の予測も同じくらいには当てになるのではないかと思います。


3.ターゲットは日本



本文はもとより、エコノミスト紙の予測で一番話題になるのは何といっても表紙です。

毎年、謎解きめいた絵柄が散りばめられており、その年の象徴的な事象がアップされると評判になっています。

こちらのブログには、2012年から2021年までの歴代『世界はこうなるシリーズ』の表紙を紹介しています。

そして、今年の表紙は下記なのですけれども、また意味深な図柄です。

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既に色んな人が様々な解釈を披露しているようですけれども、筆者の第一感は「米中対立が続き、日本をターゲットにして互いに奪い合う」というものです。

日本は、地理的に中国に最も近い西側陣営の国の一つであり、経済力でも影響力でも重要な国であることは論を待ちません。

確かに米中どちらから見ても自分の側に居て欲しい国だと思います。

もっとも、日本を傍につけるといっても、アメリカは主に同盟関係という接着剤を使うのに対し、中国は従属国あるいは占領という具合に丸呑みする形も取り得るという違いはあると思います。

しかも、今年は「The World in 2020」ではなく「The World Ahead 2022」ですからね。今年だけでなく何年にも渡って、日本がターゲットになる可能性も頭の片隅に置いておいてもよいかもしれませんね。


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