著作権法の改正論議がされている。なんでも、著作権を侵されたと第三者が訴えても取り締まることの出来るようになるらしい。
著作権がなぜあるかといえば、金が絡むから。
知的財産のもたらす価値ってふたつある。一方は作品そのものの価値。もう一方は作品が次の新しい作品を生む土壌となる価値。生産者側の儲けと使用者の儲けの両面がある。
著作権が全くなくて作者に一文も入らなかったとすると、作者の創作意欲は上がらず、創作活動そのものがなくなる。だから知的財産を保護しようと著作権ができた。
一方、市場に出た作品を他の人が全く引用できなくなると、作者とその周りに紐がぶら下がって利権が発生する。同時に、知的創造の市場が縮小する。創造的活動はもともと模倣から始まり、その中から新しい作品が生まれるから。
今回の著作権法改正案が実現すると、海賊版も消えるが、同人誌市場やその他アマチュア市場も縮小する。アニメ、J-POPなどに代表される、日本の大衆文化も消える。
作品の著作権料がいくらかなんて、市場にきめてもらえばいい。特許は、使った者がロイヤリティを払う。儲けは生産者が受け取るけど、使ってくれるかは市場が決める。商品だから当たり前。
作者が著作権を申請した場合のみ、引用ロイヤリティを設定し、使用者が引用した分だけ払う方式にする。引用ロイヤリティは、個人性の高いもの、知的創造性の高い作品ほど高率にして、ニュースなどの公共性の高いものは低率に設定する。
ネットからならダウンロードの時に課金できる。DVDなどの記憶媒体への違法コピーを懸念するなら、1枚1枚にICタグかシリアル番号をつけて、それを入力しない限りダウンロードできないようにしてもいい。権利者側で記憶媒体の著作権使用登録管理をして、どの媒体にダウンロードされたかを分かるようにしておく。
商用の動画配信がモデル。ダウンロードする度に金を払う。知的創造性の高い作品ほど海賊版が出回るのだから、高率にして割に合わなくさせる。
記憶媒体同士間での違法コピーについては難しい。コピープロテクトの強化くらいしかないだろう。先ほどの著作権使用登録の番号を入力しないと再生できないとか、税関でチェックするとか考えられるが、実際はプロテクトする側とプロテクトを外す側のいたちごっこだろう。
同人誌などは、商用ベース乗らないのが殆どだから、実際はお咎めなしの可能性が高い。
昔、同人誌で出回ったドラえもんの最終話について小学館が訴えたことがあるが、それをどう判断するか。金になるから訴えただけと思うが。
懸念されるのは、著作権を第三者が訴えても取り締まることが出来るようになると、グーグル八分だけじゃなくYOUTUBE八分、ネット八分がおこること。
テレビ放送を録画してYOUTUBEにアップしたり、ブログに貼り付けたりする行為すら著作権に触れると訴えられかねない。特定団体に都合の悪い情報は弾圧される可能性がある。現状ネットだけで行われているメディアリテラシーが封鎖される。
大切なのは、作品に敬意をはらっているかどうか。敬意があるなら金を払える。ただ金儲けしようしてるだけなら海賊版を作る。意図の方向と金の流れをリンクする。善意からは少し頂き、悪意には沢山払わせる。
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