今日から、5回に分けて、「六道輪廻と経済活動 再考」をエントリーします。
○六道と国の輪廻
仏教思想に六道輪廻というものがある。この世に生を受けた迷いのある生命は死後、生前の罪により、地獄道(じごくどう)、餓鬼道(がきどう)、畜生道(ちくしょうどう)、修羅道(しゅらどう)、人間道(にんげんどう)、天道(てんどう)の六つの世界のいずれかに転生し、これら六道で生死を繰り返すと言う。
六道の世界おのおのにそれぞれ住民が住んでいると仮定して、彼らの行動とその世界を維持していくための経済活動を考えると国の発展段階と連動していることに気づく。
地獄道は六道の最下層とされ、閻魔の審判に基づいて様々な責め苦を受けるとされる世界。この世界の住人の行動は兎に角、苦しみから逃れることが全て。国に置き換えると戦争、紛争、治安悪化で常に生命の安全が脅かされている状態に相当する。
餓鬼道は地獄道のひとつ上の世界で常に飢えと乾きに苦しみ、食物を手に取ると火に変わってしまうので、決して満たされる事がないとされる世界。この世界の住人は常に食料と水が不足し、いつも飢えに苦しんでいる。国としては、被食料援助国や難民キャンプに相当する。
畜生道は餓鬼道のひとつ上の世界で、本能のままに動物のような生き方を行った者たちの世界。国としては、強盗・略奪・犯罪が横行し、法治が機能していない状態。
修羅道は畜生道のひとつ上の世界で、終始戦い、争い続け、苦しみや怒りが絶えない世界。国としては、利権・汚職・賄賂が蔓延り、民度が成熟していない状態。
人間道は修羅道のひとつ上の世界で、四苦八苦に悩まされる苦しみの大きい世界であるが、苦しみが続くばかりではなく楽しみもあるとされる。国としては、民度がある程度成熟し、経済的も発達し、文化・芸術活動が行われる状態。
天道は人間道の上の世界で、天人が住まう。天人は人間よりも優れた存在とされ、寿命は非常に長く、また苦しみも人間に比べてほとんどないとされる。国としては、民度が最高度に発達し、経済的にも豊かになって、他国への援助や寄付、慈善事業などが恒常的に行われている状態。
国民が総体として六道世界のどの世界にあるかをみることで、国全体の発達度を推し量ることができる。国の発展段階とは、六道を上って天道に至る過程とも言える。
国が最高度に発達した段階にあったとしても、ひとたび戦争や飢饉が起こると、地獄道・餓鬼道に落ちてしまうこともある。長い歴史の中では国自身も六道を輪廻してる。
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この記事へのコメント
日比野
この後の論で展開していきますが、日本は人間道以上を達成している数少ない国です。そして日本はその均一性の高さから、国中満遍なく、人間道以上を達成しているところに最大の特徴があります。
先進国といえども他の国では、天道もあると同時に、教育も満足に受けられない、畜生道や飢えに苦しむ餓鬼道の世界が残っていたりしていますから。
地上にあって、天道を維持することがどれほど困難でまた有り難いことかということをもっともっと自覚する必要はあるかと思います。
長田ドーム
fen
天道にまで昇りつめても、その場を維持する為の精神修養を怠れば転げ落ちると、万民が意識しなければいけませんね。