知の性能 ⑤

知の性能 ④の続きです。

 
○ 知の潮流

誰でも自分の専門分野の未来は予測できる。良く知っているから。知の性能表記が普通になると、自分の所属する専門領域の指向性が高い知が将来どこに向かってゆくかの予測を、知のブロックにして発信できるようになる。

知の対象となる市場とその下のアマチュア層に厚みがあれば、発信された知のブロックが奇抜なものであったとしても誰かが受け止めてくれる。中には、さまざまな工夫や発見がされて、もっと新しい考えや商品が開発されるかもしれない。知の市場の厚みが土壌となって、新しい流れを作る。

日本のマンガ・アニメが次々と新しいものを生み出していけるのは、膨大なアマチュア層の厚みと歴史があるから。ヘンテコなものでも受け入れてくれる層があると信頼できるから、なんでも市場に出せる。指向性の高い市場から他の領域に拡散するにしたがって、知の有用性の査定と検証が行われる。

指向性が高くても時代がその知を求めることがある。その知がブームなのかトレンドなのかで、未来に渡って有用であり続けられるかどうかが決まる。ブームは飽きられる。賞味期限が短い。極言すれば本物じゃない。

トレンドは質において全方位性の種を持ってる。識者が見極め・評価し、大衆が本物の匂いを嗅ぎ取る。じわじわと使われ、長い年月を掛けて伝統や行動原理にまで溶け込んでゆく。

省エネや環境保護に関する知は昔から存在していた。最初は狭い専門領域の知だったけれど、今は時代が求めて他の領域に広がっていっている。

発信された知のブロックが有用性を持って、他の領域の人々に受け取られ、全方位に渡って拡散してゆくと、その知識が国民全体の共有知識、常識になって普段の行動や消費活動に影響を与える。やがて国全体の方向性にまで影響を及ぼす。

肥沃なアマチュア市場の大地から次の時代の知が芽を出したとしても、知の性能を査定できていないと、別の目利きに青田刈りされて他所に持っていかれてしまう。

将来、日本や世界がどんな知の指向性に向かっていくのかを見極め、その知を保護し、伸ばして、発信してゆくことで、未来の世界像が描かれる。それをいち早くつかんだ国家が世界をリードする。

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