参院選で注目していた、ネットの影響だけど、ほとんど影響力がなかった結果となった。これについて検討してみたい。 全4回シリーズでエントリーする。
総務省による平成17年「通信利用動向調査」によると、インターネット利用者は引き続き増加していて、過去1年間にインターネットを利用したことのある人は推計8,529万人に達したと報告されている。
また、財団法人 明るい選挙推進委員会で第44回衆議院議員総選挙における年齢別投票率が報告されているので、世代別ネット利用率と有権者数を比較してみると下図のようになる。
投票者数とネット利用率の積がおよそ13万、総投票者が20万だから、だいたいネットの影響はおおよそ全体の2/3に及んでいる。
ネットそのものの影響は全国に浸透しているといっていい。
次にネットブロガーの影響度をみてみる。
日本のブログ登録数はというと、同じく総務省の調査で、平成18年3月末現在868万と報告されている。
人気ブログは何万ものPVがあるから、ブログ単独では偏りはあるけれど、おおざっぱにいってネットユーザーの10人にひとりがブロガーで自分で情報発信している構造となってる。
だけど、政治系ネットブロガーの影響まで絞り込むと話は違ってくる。
人気ブログランキングを例にとると、ブログ登録数が42万、しかし政治系ブログへの登録数は450足らず。率でいけばわずか0.1%
ネットユーザーの10人にひとりがブロガーだから、単純に登録数の10倍はそのブログをみているとしても、率としては1%にしかならない。
また、ブログランキングそのものをみても、TOP100まででカウントすれば、政治系ブログは13個入っているけれど、TOP10にはひとつしかランクインしていない。
TOPは芸能系ブログ「エンタメSCOOP」で40万PV だけど、政治系ブログは最高で8位の「博士の独り言」で16万PV。
第8位 博士の独り言 16万PV
第23位 極右評論 9万PV
第27位 この国は少し変だ!よーめんのブログ 8万PV
第39位 東アジア黙示録 5万PV
第42位 厳選!韓国情報 4万PV
第53位 灰色のベンチから 4万PV
第57位 アジアの真実 3万PV
第60位 The planet earth 3万PV
第64位 熱湯欲ゴーリキーのお部屋 3万PV
第75位 東洋の魔笛 3万PV
第76位 やじざむらい的日々雑感 3万PV
第82位 嫌韓のススメ 3万PV
第98位 暇人凸撃隊 3万PV
10万PV以上あるのは上位20位くらいまでで、あとは数万PV、100位になると2万PVを切ってしまう。
PV数は上位に偏っている。ランキングのPV数からみても、多少乱暴な見積もりではあるが、ネットユーザーで政治系ブログをみる人はせいぜい全体の10%くらいではないだろうか。
だからリアル世界にネットの影響力なんてないというよりは、ネット世界の中で政治系の占めるシェアが極端に低いとみるべきだろう。
ネットが政治に訴えている範囲をシェア計算すれば、有権者全体を100とすると、
100×0.66(ネット全体の影響係数)×0.01~0.1(政治系ブログの影響係数)=0.66~6.6
率にしてわずか0.66%~6.6%のシェアを更に右翼・サヨクその他で奪い合う構図。これではいつまで経っても、国政に参加はできない。対象としている市場が狭すぎる。
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この記事へのコメント
日比野
ナルト様の上位ブログで紹介させていただけるとは、願ってもないことと嬉しく思います。
小林良彰教授の「比較政治学」ですか、御教授いただきありがとうございます。なにかのおりに勉強させていただきます。
今回のテーマは、私自身もネットの影響のなさに少なからず驚いたというのが正直な気持ちで、またそれが動機になっています。
このテーマで明日以降、あと3回続ける予定ですので、よろしくお願いいたします。
ナルト
すばらしい着眼点と分析だと感じました。また、私のエントリで紹介させてください。
慶応大学に小林良彰氏という教授がおられ、選挙分析などで時々TVに出ておられますが、この方の専門が「計量政治学」というもので、今回の日比野様のされている分析をさらに難しくしたようなものなんです。
このあたりを参考にされると、今回のテーマは修士号論文クラスですよ。
「率にしてわずか0.66%~6.6%のシェアを更に右翼・サヨクその他で奪い合う構図。これではいつまで経っても、国政に参加はできない。対象としている市場が狭すぎる。」
この結論は、今後、日本国民に真実を広めてポールシフトを起こす上で、非常に貴重なものです。
大いに参考にさせていただきます。