相互交流における言語の壁 (縁起のレイヤー ⑤)

血縁や個人的は知人友人関係では意思の疎通は比較的容易。相手をある程度知っているから。受け入れる準備ができている。

でも国家や民族を超えて通信されるような、グローバルに伝播される情報なんかは、国境を越えるたびに、しばしば翻訳を必要とする。

情報を翻訳する場合、翻訳機能の性能が悪いと情報にノイズがのったり、データ抜けがあったりして、純粋に伝わらなくなる。特には減衰したりする。

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翻訳機能には得手不得手があって、伝播される情報の内容によっては、ほとんど翻訳できないケースもあり得る。これはその国や言語にもともとその思想を咀嚼できるほどの基盤となる概念のデータベースがどれだけ充実しているかによる。

たとえば、日本語では魚に関する語彙が豊富で魚の成長に合わせて呼び名を変えたりしてる。またイヌイット語には雪に関する豊富な語彙があって、雪の細かな状態にあわせて呼び名がある。

こういった概念のデータベースが豊富な領域の翻訳機能の能力は高くなるけれど、そうでないものの性能はどうしても低くなる。

日本は昔から、思想の輸入と熟成を繰り返してきているから。様々な思想を翻訳できるだけの機能をある程度備えているといっていい。

逆にいえば、他国から思想を輸入せずとも自国だけでやっていけるような自己完結性の高い国は、思想の翻訳機能が弱いという弱点を持っていることになる。

つまり、思想で繋がる縁を介する情報であったとしても、各種思想の翻訳機能が弱いと思想の翻訳自体が悪くなって、きちんと伝わらない。そんな縁は活性化しない。使えない縁になる。日本は概念データベースが充実しているので、この思想で繋がる縁も十分活性化できる素地がある。

教育効果が大きいというのは、毎日一定時間接続されて受信しているから。教育は普通は先生から生徒に教える一方通行の通信だから、集中的に影響をうけることになる。

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思想で繋がる縁では、個人の思想信条に合致しないものも伝達されるから、原理的に思想の衝突が起こるのだけど、上述したとおり、翻訳機能の得手不得手による翻訳時のノイズや減衰効果による誤解と衝突もあり得ることも忘れてはいけない。

会社間で伝わる情報、特に国境を越える場合は、こうした翻訳機能差による、トラブルを避けるために、法制度と契約条項の徹底によって、規格統一を図って、なんとか相互通信を可能にしている。

現在グローバルに通信可能な縁は経済的関係による縁が主流だけど、そこで使われる世界標準規格の伝達情報は、「数字」しかなかったりする。

文明の衝突とかいわれているけれど、これは、思想で繋がる縁での相互通信がうまくいかずに衝突起こしている状態。ネオコンの言い分は民主政体思想を思想の世界標準規格に統一しようという試み。

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