場理論というのが注目されている。レヴィンによって提唱された、ある対象を「物体」というよりはむしろ「場所」として捉えることを前提とする理論のこと。集団で考えれば、「部分としての個人の変化が、全体としての集団に及ぶと同時に、集団の変化が個人に及ぶ」という力動的な考えのこと。
これって、仏教で説く縁起の法そのもの。原因結果の法則。個人の変化を原因として、縁で繋がる集団に結果をもたらす。場の理論は主に空間的に取られているけれど、仏教の説く縁起は空間的だけでなく、時間的にも及ぶとされている。
つまり、同時代に生きる友人関係や社会との関わりといった、空間で繋がる縁と、親子関係や祖先といった、時間で繋がる縁があるということ。
空間で繋がる縁を横糸に、時間で繋がる縁を縦糸と見立てた場合、個人はちょうど縦糸と横糸の交わる交点にいる。
横糸は空間で繋がる縁だから、主に集団や国を支配する法律であるとか国家体制や思想を伝播する。それに対して縦糸は、時間で繋がる縁だから、主に世代間で受け継がれていくもの、伝統や民族文化や言語を伝播する。
こうした人の縁の糸で編まれた織物があって、それが世界を作ってる。横糸の長さは世界の広さだし、縦糸の長さは世界の歴史を示してる。
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