日本の精神的独立に必要なこと (人権意識ソフトパワー戦略 後編)

人権意識をソフトパワーにつかう戦略がうまくいった時、現れるのは民主化した中国。

一部の識者は中国の民主化を唱えるけれど、民主化した中国は13億の人口を抱える超大国になっている可能性が高い。

そうなったとき日本はどうなっているか。たぶん中国の冊封体制に飲み込まれるかどうかの岐路に立たされる。

日本も核武装論が出るかもしれない。だけど、日本が核武装の動きをとることは、中国に対して「死んでも中華帝国の冊封体制には入らない」という宣言をする等しい。

その意気や良し。でも本当にそんなことができるかどうかの検討は必要。

物理的独立には、軍事プレゼンスと経済力は大前提。だけど精神的独立ができないと、緩やかな冊封体制に入るも同然。

縁起のレイヤーに従えば、精神的独立を果たすためには、思想で繋がる縁や経済で繋がる縁から伝播してくる、中国思想の影響を排除または中和できないかぎり、精神的独立は覚束ない。

画像


歴史的に日本は、大きくは中華文明の影響を色濃く受けてきた。そして今はアメリカ文化の影響を強く受けている。

日本的価値観と声高にいってはみても、それは、血縁・友人知人の縁でのみ通用している価値観にしかすぎない。

日本的価値観は、まだ、世界でどこまで通用するか、どれだけの普遍性を持っているかといった洗礼を受けていない。

だから、中華文明なりアメリカ文化なりからの独立を果たすための、世界的普遍価値を含む、文明としての価値、日本文明ともいうべきものをつかみ出して、自分のものとして、なおかつ発信できるかを真剣に考えなければいけない時。

だけど日本は、その準備ができていないように見える。というよりその気があるのかどうかも疑わしい。

日本人全体の意識として、一国平和主義ではないにしても、自国に閉じこもって、日本だけの地上天国であればいい、と考えているフシがあるように思えてならない。

世界に対して、無関心といえば無関心かも知れないけれど、さらにその奥には、世界にでることを怖がっている心理があるのではないかと思う。

 人気blogランキングへ

この記事へのコメント

  • 罵愚

    民主化したときに、13億が単一政府を維持できるのかなぁ?むしろ、分裂の危機を予想するのが自然だと思う。
    2015年08月10日 18:19
  • 日比野

    罵愚さま、コメントありがとうございます。

    そうですね。自由と繁栄の環と人権抑止力戦略が中国内部の独立運動を促すと自分で指摘しておきながら、13億の超大国というのは矛盾してますね。

    3分割でも、4億強。10分割で1.3億で日本並み。人口だけならまだまだ大国の部類ですね。経済はさておき。

    ともあれ、ご指摘ありがとうございました。
    2015年08月10日 18:19
  • ナルト

    日比野様、こんばんは。TBありがとうございました。
    IZAのブロガーに三島明先生がいらっしゃいまして、弥生時代からの日本の「和の精神」について研究されております。
    日本文明は支那大陸のそれからも弥生時代からすでに独立して独自の文明、価値観を持っていたする説です。
    私もこの説を支持しており、少しずつではありますが、古代日本の真の姿がどのようなものであったか、考察していっております。
    「歴史を見直す」ことが出発点のひとつになってくると思っております。
    2015年08月10日 18:19

この記事へのトラックバック