人権抑止力戦略のエントリーを進めたときにどうなるかを、追加して考察してみる。
人権意識を抑止力に使う戦略は、力の論理ではなく、相手の心を攻める戦略。相手の心を攻むるともって上策とす。兵法の基本。ソフトパワー。
人権意識をソフトパワーに使う戦略は、抑止力のみならず、環境問題の改善に繋がるもの。
しかし、人権意識の向上は、中共政府の最も嫌うところ。まちがいなく思想統制をしてくる。
人権抑止力戦略の成功の鍵は、中国人に人権意識を持つことが儲けへの近道であるということを如何に納得させるかという点。
中国人は基本的に身内以外、極端な場合は妻でさえも信じない、自分しか信じられないという社会。日本のように他人に気軽に心を許すことがなく、始終心をガードしてる。
この構造は中共の思想統制に対しても同じ。表向きの行動や言動と心に思っていることとは必ずしも一致しない。面背服従。
ただでさえ、拝金主義的な性向がある中国人が、昨今の経済成長に浴したとき、心に思うことの中心は、自分が如何に生き抜くかということと、どうすれば自分の利益になるかということ。
そしてそれが行き過ぎるが故に、毒野菜や偽食品の氾濫を招いている。見かけさえよければいい。とにかくその場さえ売れて儲けさえすれば、あとは知ったことではないという考えに染まっている。
要は資本主義経済がわかってないだけ。信用第一がまずあって、その上で儲けがあるということを納得させられれば、それに従った行動をするようになる。それは中国国外の華僑をみれば分かる。日本の中華街では毒野菜被害や、ニセモノは出ていない。日本国内にはそんな危ないものはないから、仕入れ時点から安全。単に表に出ていないだけかもしれないけれど。
既に中国は、これだけの環境汚染や毒食品・毒製品輸出をやって、世界的問題になったから、もう逃げ場がない。対策をしなくちゃいけない。
だけど根本の考えが変わらない限り、小手先の対策をいくらしたところで、この問題はいつまでたってもなくならない。
人権抑止力戦略のエントリーで、社内教育の一環として、安全性確保のための人権教育をすべきだといったけれど、これは中共政府がいずれは自分自身でやらなくてはいけない問題。日本が仕掛けるソフトパワー戦略としては、最初のドライブにしか過ぎない。
日本から進出しているどこかの企業で、人権教育の徹底を始めたら、そこの品質は物凄く良くなるはず。そして生産性も上がる。生産ラインの各工程で従業員が品質に注意するようになれば、ゴマカシはもとより、不良品検出率が上がる。必然的に品質管理や検査コストも下がる。安全性に信頼がおける企業があれば、当然そこに注文が殺到して、儲かる。
中国人は、自分が一旦、技術を身につけたら、もっと高く売り込もうとすぐに職をかわる。だから人権教育を施した人材は、人権意識をマスターしたころに他の企業に行く。うまいぐあいに、人権思想が勝手にどんどん拡散していってくれる。
中共政府がそれをみて、人権教育部分を除いた部分だけを適用していくら品質を上げようとしても、人権教育を施した企業程に効果が上がるはずもなく、ジレンマに陥る。
中共政府は、資本主義経済に片足を突っ込んだ時点で、資本主義の思想そのものの影響を受け始める。いくら思想統制をしても限界がある。
つまるところ、思想そのものでは腹は膨れない。腹を満たすほうが最後は勝つ。もちろん命が奪われない範囲でだけど。
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