六道輪廻と経済活動 再考 ①と ②でも少し触れたけれど、国の発展段階は六道輪廻と相関している。自由と繁栄を国民が享受するためには、少なくとも国が地獄道・餓鬼道・畜生道を通過して、修羅道以上に入らなくちゃいけない。
それに地獄道・餓鬼道・畜生道を通過するためには、治安維持、ライフラインの確保、各種インフラ整備のコストがかかる。簡単な話じゃない。「自由と繁栄の弧」戦略の対象となる東南アジア、インド、中央アジア・バルト諸国も六道のどれかにあって、それらを通過しようとしている。
たとえ国が修羅道まで通過して天国領域にいたとしても、それは軍事的圧力や侵略によって簡単に地獄道まで戻ってしまう脆いもの。そこを戻させない力として、抑止力がある。そうさせない軍事プレゼンスが必要となる。
東南アジア諸国からみたら、あきらかに中国を包囲することになる「自由と繁栄の弧」戦略は、日本と中国の間での東アジアにおける覇権争いにみえる。
アメリカの世界覇権力が衰退してきている今、日本が「自由と繁栄の弧」戦略を本当に進めるのであれば、軍事プレゼンスを避けては通れない。イザというとき助けてくれないのであれば、日本の戦略なんて空手形。どの国も乗ってくるわけがない。戦略の前提が破綻する。
だから、「自由と繁栄の弧」の裏打ちとなる他国のために血を流す覚悟があるのかどうか問われるようになる。本来の意味での集団安保ってそういうもの。
でも、そのあたりの議論はあまり聞こえてこない。戦後教育における、戦前日本の完全否定と、日本人の深層意識内にある、他国に軍を出せば今度こそ滅ぼされるという恐れが、議論そのものを邪魔してる。
自由と繁栄の底には、地獄道・餓鬼道・畜生道があって、軍事プレゼンスと経済インフラによって支えられている事実と向き合うこと。東京裁判史観と向き合って、深層心理の呪縛から自らを解放すること。日本から世界にでるという覚悟を決めること。
これから突きつけられる課題。厳しい問いかけがなされる。
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この記事へのコメント
カッパ子
>「隣国を助ける国は滅びる」
これは確かマキアヴェリの言葉だったと思います。 現在のEUは各国のレベルが大体同じで、ドイツもフランスも互いに侵略なんて考える段階はとうに超越しているので援助しあっても大丈夫でしょうが、我々の東アジア情勢はマキアヴェリが生きたルネサンス時代(イタリア統一前でいくつもの国が互いに牽制しあっていた戦国時代)のようなものですから…ほんと日本目覚めてほしいです。
「自由と繁栄の弧」…日本がやろうとしていることにこの言葉を与えた麻生氏はスゴイと思います。言葉があって初めて頭の中で思考できる。
日比野
>これは確かマキアヴェリの言葉だったと思います。
そうでしたか。どうりでどこかで聞いたような気がしていました。ご教授ありがとうございます。
>言葉があって初めて頭の中で思考できる。
そのとおりです。まずは概念に言葉をつけないと、国民ひとりひとりの共有概念になりませんからね。