昨日のエントリーでは、現実社会でのアプローチについて検討してみましたが、今日のエントリーではネットの世界でのアプローチを検討してみたいと思います。
ネットの世界において、政治系ブログのシェアを拡大するためには、政治系ブログ以外のカテゴリーに飛び出してどんどんコンタクトしていかなくちゃいけない。
ネットは個人の本音をそのまま反映するから、お気に入り、気の合った世界とだけ繋がってる。内輪サークルの輪が無数に存在してる。
ネットの海は広大だけど、広大なのは海だけで、中の魚は群れを作って泳いでいて、互いに干渉しない。そのなかのほんの一部の魚群が政治系ブログの魚群。
神レベルのブロガーが何人いたところで、政治カテゴリーだけにしか存在しないのでは、意味がない。総てのカテゴリーでの神ブロガー達と、なんらかの形で政治の世界とコンタクトしていないといけない。
回遊魚なんかは海流の流れに沿って移動するけれど、それと同じで、ネットの海をおよぐブログ魚群も、流行という海流の流れに従って移動してる。
でもその行動はわりと単純で、餌を探すことが中心。餌場を見つける指針となる水温の変化には敏感だけど、海流の流れには逆らわないし、海流がどこに向かっているかなんてあまり気にしない。
政治系ブログの魚群だけが、海流の流れ行く先を気にしてる。それでもほんの一部の魚だけ。
理念を語る政治家とパンをほしがる民衆。当選するのはパンを渡すと言う政治家。
まず、生命の安全があって、次に経済的安定があって、その次にシガラミがあって、その次くらいにようやく理念。そんなもの。
理念とパンの間の距離が途方もなくある。だから政治家は選挙ではパンを語る。ネットの海を泳ぐ大多数の魚群は餌に釣られるからそっちに流れる。平和なときは特にそう。
だけど、もうひとつ行動を規定するものがある。身に危険が迫ること。生命の安全はパンより大事。
目の前にサメが口をあけて待っていたら、どんな魚も逃げるけれど、サメの姿が目に入らないうちから逃げたりなんかしない。海流のはるか先にサメの大群がいたとしても、お構いなし。
今回の参院選は、今自分達が泳いでる戦後レジューム海流の先には北朝鮮ザメ、中国ザメやアメリカザメがいるし、流れも急で危ないから、別の海流に乗り換えようとするための選挙の筈だった。
だけど、一部の魚が年金餌を食っちゃったなんて話に慌てふためいて、ちゃんと餌よこせ、となった。
餌を直ぐあげれば収まった可能性もあったけれど後手に回った。投票日を一週間じゃなくて、半年くらい伸ばせば魚群も落ち着いたかもしれなかったけれど。。。
悲しいけれど現実をみる限り、政治系ブログ以外の多くの魚群は目の前の餌を求め、目の前の危険だけを回避して泳いでることは否定できない。
だけど、これらの魚群を取り込んでいけないとネットによる政治運動の拡大はない。彼らと政治を繋ぐ深層水を見つけなきゃいけない。
昨日のエントリーで、新製品普及過程論をあげたけれど、この理論を下敷きに発展させた理論に「キャズム理論」というのがある。
キャズム理論はマーケティング・コンサルタントのジェフリー・A・ムーアが提唱している考え方。
簡単にいうと、少数の進歩的な消費者によって構成される初期市場と広く多くの消費者が参加する一般市場との間には、おおきな溝がある。この溝を「キャズム」と呼ぶ。多くのメーカーはこのキャズムを超えることが出来ず、溝に落下し、撤退をよぎなくされてしまうという理論。
キャズムの内側にいる人たちはその分野に精通しているけれど、キャズムの向こう側にいる一般の人達は詳しくなく、興味もない。だから、キャズムの向こう側の人たちには、その分野が自分の組織や利益にどのように貢献するか、どんなメリットがあるかということを納得させなくてはならない、という。
この関係は丁度、政治系ブログの魚群とその他のカテゴリーの魚群の関係とぴったり一致してる。
日本人の意識における政治とその他分野の間の深いキャズムをどうこえていくかの方法論が、そのままネット世界での政治系ブログの影響力を拡大する方法論になる。
ムーアはキャズムを超えるには、いきなり一般市場全体を相手にするのではなく、将来的に波及効果の高いニッチ市場に焦点を絞り、新製品を投入する方法を説く。
将来の顧客のあらゆる要求に応えられる製品・サービスを用意して、時期をみて投入する。ホール・プロダクトといわれる戦略。
たとえば今なら、中国毒食品の話題が波及効果の高いニッチ市場だろうから、「政治的に」どうすれば毒食品を回避することができるのかという話題や方策をエントリーして、政治系ブログを充実させておく。
そのあとで食品カテゴリーのブログ、それも最も影響力のあるブログを中心に大々的にトラックバックやコメントをして、彼らに興味を持たせるといった戦略になる。
時には、河野談話撤回ネット署名のように、中国毒食品撤廃運動ネット署名とかをやって、食品カテゴリーのブログで協力を呼びかける方法になるかもしれない。
ムーアは、ニッチ市場において、リーダーシップをとるための具体的な戦略を積極的にとって行っていく必要を提起しており、その有力な方法としてマスコミに取り上げられるか、「口コミ」を有力な手段としている。
マスコミにとりあげられるのは難しいだろうけれど、「口コミ」ならブログの得意分野。力を存分に発揮できる。
本当は、政治と経済ってすべての人の根幹に関わってる。政治によって生命と財産の安全を確保できて、安定した経済によって生活が成り立つ。
だから、総てのカテゴリーの魚群と政治系ブログの魚群をつなぐ深層水がある。それをホール・プロダクトにしてタイミングよく周辺市場に投げかける。
こうした戦略で政治系ブログのシェアを広げることができる。政治と生活のコーディネーター。周辺市場へのホール・プロダクトならぬホール・コンテンツの投入。これがネットの世界での政治系ブロガー組織に必要なものであり、戦略となる。
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明日はこのネットの政治への影響力を検討するシリーズの最終回として、ネット組織のあり方を検討してみます。
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この記事へのコメント
日比野
仰るとおり、もっと普通の記事・・政治から生活という方向ではなくて、生活に根ざした記事から政治へ向かっていくような方向性の記事がよいような気がしています。生活の海流のさらに底にある深層水を探して記事にしてゆく努力が必要になるのかな、と思っています。
これからもよろしくお願いいたします。
ココロ
政治ブログは、水槽の中をグルグルとまわっているだけかもと
私も最初のころからずっと思っていました。
だけど、他のカテゴリーへというのはわかるのですが
良い方法はなかなか判りませんでした。
いきなりTBやコメント残しても全くダメでした。
丁寧に書いても、削除か無視ですからね。^^;
中国の危険‥いいですよね。
っていうか、政策として‥というよりも選挙以外の普段には、
もっと普通の記事も必要ですし、私たちが多岐にわたる記事を
書いていくことが第一歩ですね。
わんばらんす
http://wanbalance.blog75.fc2.com/
ナルト
おっしゃる通りですね。
誰かが魚群を出て、様々なカテゴリーに進出し、そのカテゴリーの性格に合わせた内容で、主張展開をしていく必要があるでしょう。
食料品カテゴリーへのアプローチ方法はその好例ですね。
スポーツ関係にも、北京の大気汚染や水質汚濁のデータと共に、健康が害されることを訴えることができるでしょう。もともと「嫌韓」が増えたのも、日韓共催サッカーW杯がきっかけでしたし、スポーツ関係は、国別対抗だと否応なく日本を応援することになりますから、ナショナリズムに働きかけやすいこともあります。
さて、どう具体的に進めていくかですね。
ohta
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