世界にとっての日本
日本にとって何が抑止力になりうるのか考えてみる。
世界と密接に繋がる今の時代では、日本の重要度を世界にいかに認知してもらえるかどうかが抑止力の要。
ロシアがデカい顔をしている裏には天然ガスという後ろ盾があるからだし、中東諸国の重要性の認知にいたっては言うまでもない。
それはエネルギー資源が、いま世界各国が享受している文明を支えていると「皆が認知している」から。事実、それはそのとおり。
それに対して、日本はそんな資源なんかない。だから、それに代わるもの、しかも日本にしか生み出せないものを掲げ、「それがなければ現代文明が享受できない」ということを世界中に認知させなくちゃならない。
先進諸国を中心とする現代文明を下支えしているものとして、主なものは、
1)エネルギー資源
1-a) 石油
1-b) 天然ガス
1-c) 原子力発電用資源(ウランその他)
1-d) 石炭
1-e) 河川
1-f) 太陽光・風力・波力・その他
2)エネルギー資源の電気エネルギーへの変換と供給インフラ
1-a)~1-f)各種のエネルギーを主に電気エネルギーに変換して、国土に供給する技術
3)水と食料などの資源
4)安全保障およびそれを担保するところの軍事力
5)余剰所得を生むレベル以上の経済活動
6)文化芸術活動
と思う。
資源がある国、特に1-a)~1-c)がある国はとても楽ができる。1-a)~1-c)で世界のエネルギー供給の殆どを賄っているから。
日本は主に2)と、5)から派生したODAによって2)の技術供与を各国に行い、世界に貢献してる。あとは6)にあたる日本の文化が東南アジアを中心として世界に少しづつだけど、受け入れられている。これが現時点での「日本が世界に必要とされる理由」。
次には、2)、5)、6)を強化することでこの先安泰かどうかを考えてみる。
「六道輪廻と経済活動再考」でも触れたけれど、世界各国の発展段階と、これら1)~6)の要素を照らし合わせると、
開発途上国 = 地獄・餓鬼・畜生道を通過中 <= 1)~4)が主に必要
先進国 = 修羅・人間・天道を通過中 <= 1)~6)全て必要
となる
つまり、開発途上国は2)によって日本が必要な国であり、先進国にとっては、2)と5)と6)によって、日本が必要な国。
これから先を考えた場合、どの要素が本当に必要とされるかというと、戦乱等でインフラが破壊されない限り、開発途上国が先進国になっていくと、2)の技術供与という面がだんだん少なくなり、メンテナンスやインフラの維持に重点がシフトしてゆく。また、先進国では、先進国であり続ける限り6)の需要はある。
「モノ」がどんどん充実してくると、次にモノを扱う人のモラルや精神活動に重点が移ってくる。この分野でリーダーシップを取れる日本であるかどうか、そのためには何をすべきかを今から準備しておく必要がある。
でなければ、金の切れ目が縁の切れ目ではないけれど、技術の切れ目が縁の切れ目となって、見捨てられてしまう可能性もある。
いつまでも技術立国日本のままでは少々危険。
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この記事へのコメント
tafu
昨今、「ものづくり」が日本の精神のように語られておりますが、御指摘のとおり精神活動を伴わなければ余り意味が無いと感じる次第です。
今後もご教示よろしくお願いします。
日比野
確かに日本の技術は世界に冠たる部分があるのは事実です。ただ、その世界に冠たる技術が、技術でいられるにはそれなりのインフラと使う人の質が必要だと思うのです。
海水の真水技術などもたしかどこかの国にODAで供与して水をつくったまではいいものの、水道管が錆だらけで各家庭の蛇口に届くころには飲めないほど汚れてしまって使えなかったと聞きます。
その他の技術も同じようなケースになるのではないかと思います。
つまるところ各国の民度がそれなりにあげるようにしていかないとある程度以上はいかない。10/5のエントリー「六道輪廻と日本の生き筋」でも触れましたが、畜生道と修羅道の間の壁はとんでもなく高いと思います。
suzuran
日本では海水もジュースも真水にできるそうですが、これなんかは日本の技術として売り込めるんじゃないでしょうか?それともすでに世界のどこでもできてる技術なんでしょうか。これからは水が食料に次ぐ人類最大のテーマになりうるそうで、日本の技術が世界を救う、ってことにはならないのかなあ?