床の間思考 (閉鎖空間に生きることを考える その2)

争奪しているのはエネルギーだけじゃない。水もそう。エネルギーは多少なくても、原始生活に戻るだけで、生きてはいける。でも水がなかったら一ヶ月と生きていられない。

日本人は水と安全はタダと思ってると言った人がいるように、日本は水にはとても恵まれている。

日本が水に恵まれているのは当然、山林が残されているおかげ。なぜ残ったかというと狭い国土に山があって、そこには大量の人は住めなかったから。平地があって、近くに河があれば、まずそこに住むのは普通の流れ。

でも逆にそれが、水資源の確保に繋がった。平地だらけの大陸があったとして、全部開拓して水の確保とか循環とか何も考えなかったら、結局住めなくなって自滅する。

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ヒートアイランド化がすすむ東京でも、新宿御苑の緑地によって夜間に御苑上空高くに周囲より温度の低い空気塊が形成されているという。

東京駅再開発では、隅田川から皇居へ向かう海風を遮る現在の東京駅ビルを撤去して、海風を皇居に届かせて、御苑上空の気温の低い空気塊を都心部に流す計画が進んでいる。

皇居の総面積は1.42平方キロだから、都心三区の総面積合計約42平方キロに対して、総面積比でわずか3.3%しかない。そんなわずかな皇居の緑でさえ、ヒートアイランドを緩和する効果があるという。

床の間ぐらいしかない空間の緑が、家に住む命を支える。

無用の空間とされていたものが実は大切な空間。

わざと手を付けない空間を残すという発想は実は大切なのだと思う。

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開発区域でも一部の空間は取っておく。手をつけないという考え。化石エネルギーも同じ。良い油田があっても、一部はわざと手をつけないで残しておく。

自らの身の破滅が目の前に迫ると人は焦る。冷静に対策を立てられない。予め危機を予期して準備できる人は少数派。

だから、為政者は常に危機に対する備えをしておかなくちゃならない。最後の最後の切り札は取っておく。パニックにならないための智慧。

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