日本独自の世界戦略構想による、（世界に通用する）防衛省を作ることについて。
防衛省の目的は、日本の平和と独立および安全を保つこととされている。その任務は陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊を管理・運営し、並びにこれに関する事務を行うことで、しかも防衛事務次官、防衛参事官、防衛書記官、防衛部員をはじめとする内部部局等の文官は、自衛隊員であるとされているから、防衛省とはほとんど自衛隊中枢といっていい。
この防衛省が世界に通用するということは、ほとんど自衛隊が世界に通用するかという議論と同じになるけれど、文民統制下における軍のあり方は国家意思や国家戦略が規定するもの。
とどのつまり、防衛省が世界に通用するかどうかは、日本の国家戦略そのものが世界に通用するかどうかの議論と同じになる。
その次に、日本の世界戦略構想の中身と自衛隊編成が一致しているかどうかの検討があるのだと思う。
今の自衛隊は専守防衛を謳っており、戦力配置や装備もそれにならっているけれど、日本の世界戦略構想が変われば、当然、自衛隊の戦力・装備もそれにあわせて変えていくべき。当然といえば当然。
たとえば、安倍前政権下での「自由と繁栄の弧」構想を日本の世界戦略とした場合の影響については、拙エントリー「自由と繁栄の環」シリーズに纏めているけれど、端的にいえば、「自由と繁栄の弧」構想はほぼ中国包囲網を意味するので、中国との衝突をある程度覚悟する必要がある、と同時に他国のために血を流す覚悟が必要になるので、国民の生命と財産が脅かされても、守るべき価値を守ってゆく姿勢が求められる。
また、アメリカのように、世界規模の情報システム構築・運用と戦力の維持となると、金も時間も人も必要になるので、たとえ目指したとしても現実的にはほとんど無理ではないかと思う。
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この記事へのコメント
suzuran
下記の文は「独立とは何か」の中で日比野さんと私の討論内容を抜粋したものです。
日比野さん：民主国家で確固たる理念のもとに改憲することは、殆ど国民総体の意思としてその確固たる理念を持つ、又は持つべきということにはならないのでしょうか？
私：日本人独自の理念があるとすればどういうものになるのか、まずはそこからお願いします。
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まず、日比野さんご自身がお考えになる「日本独自の確固たる理念」とはどういうものなのでしょうか？
私は難しい事は知りませんが、多分日本人全体が考えているだろう理想は「平和でなごやかな暮らしやすい国」ではないでしょうか。私も大国にならずとも
社会保障の行き届いた中流国並でいい、と思います。ただ外交、防衛も中流国にふさわしいレベルの防衛力を持つべきだ、と思います。もっと教育に力を入れて国家を背負えるエリート教育で国際政治を専攻し、世界の民族の歴史、国民性などを研究して柔軟な世界戦略を構築できるだけの能力を持つ外交専門家を養成してほしいです。同時に一般国民の意識も国際化を急がないと駄目だと思います。
日比野
「日本人独自の理念」についてですが、まず、お断りをさせていただきます。
「独立とは何か」エントリーでの2007/10/04 22:05のsuzurun様のコメントを抜粋します。
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日本が【確固たる理念の上】に改憲をし軍事力を他の先進国並みにすることができれば、日米安保解消も可能になって、極東問題も下火になる可能性があるのではないか。・・・
根本問題は日本自身の精神・価値観が徹底した合理主義、法治主義まで高まっていない事にあり、したがって世界に通用する【確固たる理念が存在しないまま】なので・・・歴史カードを利用されあたふたしつづける国で・・・
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雄三
syzuran
ソフトパワーに関連してくる問題で、アメリカの教育レベルの高さは国際的評価が高いと思いますし、北欧の政治、教育なども世界のトップレベルでしょう。ノーベル賞受賞も発言力を高めることにつながるでしょうし、今後日本が温暖化に目に見える形で貢献できれば、日本への見方も変わり、世界が日本の発言を無視できなくなり、それが結果的には日本の安全を維持し続ける原動力となる可能性があるのではないか。私は絶対ではないにしろ、ソフトパワーの説得力を信じています。