ノブレスオブリージュの嫉妬緩和効果 (利潤について考える その2)

億万長者以上の大金持ちが富を使うとき、個人でその富を全部使うことなんてできないから自分の分が終われば、他の人に使ってもらうしかなくなる。具体的には、子孫に資産を残すとか、慈善事業してみたり、寄付してみたり。

外国の億万長者はよく何々財団とか起こして慈善事業を起こしてみたり、そんな団体に多額の金額を寄付したりする。それをまたノブレスオブリージュだとして受け入れる風土がある。

実はこれが、金持ちでもなく、特に才能もない人達からの嫉妬を緩和する効果があるのではないかと思っている。

自分には、到底手の届かない大金持ちではあるけれど、その分、寄付したりして、恵まれない人たちに手を差し伸べているから、まぁ許してやろう、と。

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[器・UTUWA&陶芸blog]より

たとえば何かのギャンブルで、勝者が掛け金を総取りしたとしても、敗者に奢ったり、いくばくかキャッシュバックしたりして、配慮してやれば、敗者の不満は多少なりとも解消される。

日本の場合は、外国ほど慈善事業や寄付が盛んじゃない。外国の大富豪クラスほどの金持ちがそんなに多くいないということもあるけれど、日本は社長を始めとする給与水準が低く抑えられていて、平社員と社長の年収差は50倍もない。

それに、多少は緩和されたとはいえ、資産の相続税も厳しくて、富豪であり続けることも難しい。その分、一般社員の給与が手厚かったり、福利厚生や社会保障を充実させたりしてる。

日本の場合は、金持ちに対する嫉妬は、金持ちを作らないことで抑えているのだと思う。

だから、日本で欧米型の新自由主義を根付かせようとしたら、金持ちの慈善事業や寄付活動を推奨し、受け入れられるようにしないと湧き上がる嫉妬を抑える術がなくなる危険がある。

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要は、親が総取りするけれど子の面倒をみる社会なのか、勝者が勝ちすぎないようにする社会なのかの違い。

金を稼ぐこと、又は稼ぎすぎることは良いことなのか悪いことなのかという議論があるけれど、金を稼ぐこと自体は善でも悪でもない。大切なことはその金の稼ぎ方。

いくら稼いだとしてもそれが真っ当な方法で、世の中に貢献して、多くのひとびとを幸福にするとき、その利益は是とされるけれど、一番問題なのは、人を不幸にしてでも利益を得ようとしたとき。

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