自分の曲を声優が吹き変えた声で自動で歌わせるソフト『初音ミク』が大ヒットしている。
パソコンで自分の好きな曲やオリジナルの曲を作って、『初音ミク』という仮想アイドルに自分だけの曲を歌わせる。『初音ミク』ファンは全国にいて、YOUTUBEなんかの動画の投稿サイトでは『初音ミク』に自分の歌を唄わせた作品が続々アップしているという。
これもいってみれば、自分の心のかたちを、ソフトの力を借りて音楽で表現したもの。それが受け入れられた。
これまでもCG合成されたバーチャルアイドルがいなかったわけじゃないけれど、その多くはメーカー側がキャラ設定して、消費者に一方的に押し付けたアイドルだった。
『初音ミク』が従来のバーチャルアイドルと決定的に違うのは、ユーザーが自分で作った曲を唄わせるツールとして存在するという点。ユーザーが自主的に企画して『初音ミク』をプロデュースできること。自分の心のかたちを自分で表現できる手段としての商品になってる。
だから、これからの商品は、従来のメーカーがラインナップをそろえていった商品形態と違って、個人の心のかたちを表現する、サポートとしての商品にシフトしてゆくのではないかと思う。無論、精神的属性・心の満足を得るための商品領域での話だけれど。
ゲームなんかは「創造的なプレー」という心のかたちをゲームというサポートを借りて表現できるし、『初音ミク』は「創造的な曲」という心のかたちを表現するサポートソフトといっていい。
従来のバーチャルアイドルがいまひとつヒットしなかったのは、この心のかたちの表現という面からみれば説明できるように思う。
つまりメーカーが作ったものの中から比較的自分の心のかたちに近いものを選ぶ消費行動から、もはや自分で自分の心のかたちを表現していく消費行動に変わってきているからではないか、と。もう押し付けでは見向きされない時代になってきているのかもしれない。
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