購買動向からみる食のリテラシー

スーパーやコンビニの店頭から中国産野菜が消えていっているそうだ。

BSEや最近の国内の食品偽装での騒ぎの影に隠れて、中国産食品の危険性についてTVメディアがすっかり報じなくなったにも関わらず、この有様。こと食に関していえば、日本人のメディアリテラシーはしっかりしているのではないかと思う。

どんなに口当たりの良いことを言っていても、株価は正直に反応するように、真に民意を知ろうとおもったら、やはり購買動向をみるのが手っ取り早い。

このままだと、中国産食品はだんだんと駆逐されていく流れができていくだろう。

もう少し落ち着いたころを見計らって、TV・新聞メディアが大々的に中国産食品は安全です大キャンペーンをはるだろうけれど、それをどこまで消費者が信用するかによって、現状のTV・新聞メディアに対する消費者の食のリテラシーが明らかになる。ここに注目したい。

今回のように国内の食品偽装を騒ぎ立てることで、中国の毒食品を覆い隠そうとしている意図があるのではないか、と「KNN Today」様や「はらぺこおばけ」様がご指摘されているけれど、かえって逆効果になるのではないかと思っている。

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国内の食品でさえ、偽装があるのだから、中国産などもっと危ないだろうと普通は思う。それだけ日本人は食に対しては敏感。

しかもTVは「産地偽装」であれだけ叩いているから、消費者はますます警戒するようになる。「国内産」では信用できなくて「何県産」とか「なになに農家の○○さんが作りました」という表記を好む。

たぶん、売る側の姿勢が信頼できるかどうかまで品定めされるようになる。

赤福問題を例にとるまでもなく、雪印・ミートホープなど、どんどん明るみになって、企業そのものの信頼性がどんどん揺らいでいる。

既に2004年から、バーコードに取って代わるとされるICタグ(電子荷札)を野菜にICタグを付け、買い物客が産地や流通経路を確認できるようにする実験が首都圏のスーパーで始まっている。

今後ますます表示に対する信頼性と要求が高まるだろう。その意味で赤福問題などは消費者の意識改革を促す機会になっていると思う。


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※ 消える中国野菜…安全対策で価格が上昇、消費者の不信とWパンチ

 スーパーやコンビニの店頭から安全性への不安が根強い中国産野菜が消えつつある。加工食品メーカーや外食チェーンも中国産野菜の使用を減らしている。一方で、中国政府は汚名を返上しようと、相次ぎ食品安全対策を導入しているが、これがコストアップを招き、安さが武器だった価格も値上がりしてきた。消費者の不信と価格上昇のダブルパンチで、減少に歯止めがかかりそうもない。(上原すみ子、財川典男)

 ≪1~8月25%減≫

 「数品目しか販売していない」(イオン)

 「生鮮品はほとんどなく、国産に切り替えている」(ファミリーマート)

 「マツタケも中国産からカナダ産に変更した」(セブン&アイ・ホールディングス)

 かつては店頭にところ狭しと並べられていた中国産野菜。ここ数年、残留農薬の検出が相次いだうえ、今夏に世界的に中国産食品への不安が高まったことが決定打となり、店頭では「中国産の表示があるだけで消費者に見向きもされない」(中堅食品スーパー)というありさまだ。

 農畜産業振興機構によると、中国からの生鮮野菜の輸入量は、ピークの2005年は前年比13・7%増の約66万トンに達したが、06年は8・9%減の60万トンと4年ぶりにマイナスに転じた。今年は1~8月の段階で25%も減少しているという。

 同機構の河原寿・上席調査役は「残留農薬への懸念が消えないため、国産の市況が上がっても中国産は増えることはないだろう」と、悲観的だ。

 影響は店頭から消えただけではない。

 中国野菜専門の輸入業者、フィールドの馬海涛(マーカイト)社長は「今年7月以降、ねぎなどの輸入量は従来の3分の1ほど減った」とこぼす。

 ≪加工食品向けも≫

 レストランや加工食品向けの業務用も大きく落ち込んだことが痛手となっている。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)が輸入業者などに聞き取り調査したところ、「8月以降、業務用のネギやショウガの輸入量が目に見えて減少している」(農水産部)という。

 業務用が減少しているのは、安全性への問題に加え、価格がジリジリと上昇していることも影響している。

 日本は昨年5月から国産を含む農産物の残留農薬の規制を強化。それでは使用できない農薬を列挙するネガティブリスト精度を採用していたが、使用可能な農薬の残留に厳格な数値基準を設けるポジティブリストに改めた。

 この基準をクリアするため、中国で生産コストが上昇。規制強化を受け調達価格が10%から20%上昇した輸入業者もあるという。

 さらに、中国政府が、これ以上、中国食品の悪評が広がるのを防ごうと、輸出を自主規制した結果、調達ルートが先細りし、数量が減ったことも価格上昇を招いている。

 中国の検疫当局は9月から安全な輸出輸出にお墨付きを与える「CIQマーク」を導入するなど、安全管理をさらに徹底しており、一段と価格が上昇するとみられている。

 国内で消費者離れが止まらない中国産野菜だが、加工食品メーカーにとっては、価格が安く大量調達が可能な中国産の魅力は依然として大きい。

 ≪自前で徹底図る≫

 冷凍野菜は1200億円の輸入品のうち中国産が約半分を占める。ある冷凍食品メーカーは「簡単には代替できる産地が見つからない」と悲鳴を上げる。現状では、自前で安全管理やトレーサビリティ(食品の履歴追跡)の徹底を図るしか妙案は見当たらないのが実情で、日本冷凍食品検査協会は、7月に中国・青島に現地事務所を設立し、業界をあげて監視体制を強化した。

 原料の約4分の1が中国産という漬物業界でも、「タイや国産へのシフトも一部は進めるが限界があり、安全対策を徹底させる以外の道はない」(全日本漬物協同組合連合会の長友富士男専務理事)と話している。 

 輸入業者や食品メーカーは、値上がりに伴うコスト吸収に加え、自己防衛も迫られている。

                   ◇

 ■厳しい管理体制 輸出減少に拍車

 日本が昨年導入した残留農薬のポジティブリスト制度は、799の農薬に残留基準が定められたほか、残留基準のない農薬でも0・01ppmを超えて残留していると、その農産物などを販売停止にできる。中国政府も日本の規制強化に対応する形で検査体制を確立するため、法規制を強化した。

 農畜産業振興機構の河原寿・上席調査役は「システムとして本当に安全性を確保できるかが課題だ」と指摘する。

 中国農業部は昨年11月に農産物産地安全管理規則を定めて、基準に合致しない産地は農産物生産禁止区域にした。

 今年の9月1日には「検査検疫表示ラベル」を制度化。通し番号で栽培地域までさかのぼれるようにし、問題が発覚した産地は輸出登録を剥奪(はくだつ)される。

 ただ、こうした安全管理の徹底に伴い輸出数量が減り、価格が上昇する懸念もある。河原上席調査役は「制度が厳格に運用されると中国の野菜産地の選別につながり、日本への輸入量は減少せざるを得ない」と予想している。

 タマネギ、ニンニク、ショウガなど土中で育つため、残留農薬のリスクが低い野菜は、日本向けの大規模産地が形成されており、日本国内でも一定の需要があるが、葉物野菜や豆類は今後も減少が続くとの見方が大勢となっている。

この記事へのコメント

  • あきつ

    おはようございます サンケイさんの記事で
    >タマネギ、ニンニク、ショウガなど土中で育つため、残留農薬のリスクが低い野菜は
     確かに農薬は無いのですが・・・ 深刻な土壌汚染の問題があって
     重金属汚染が心配されています
     現状 検査はないそうですので・・・
     イタイイタイ病 水俣病の再燃が心配です。
    2015年08月10日 18:18

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