金大中問題について (福田総理考 その3)

「安」を目的とした、「名を捨て実を取る」外交を行う場合、ともすれば八方美人的な外交、顔のみえない外交になってしまいがち。

だから、その時に注意すべきは、いかなる「実」を取っているか、どこを押さえているかということ。

例の金大中問題だけど、明確な主権侵害。「安」を行動原理とするならば、見過ごせない問題。しっかりと抗議して、謝罪を受け取るべきだろう。遺憾の意で謝罪とするのは微妙なところ。

というのは、この問題で日本がどういう態度をとるのかを世界中が見ているから。ここでしっかりと謝罪要求を行うことは、国家主権を守る意思を示すことになる。

国家主権を守る姿勢の有無は、直接、国家安全保障に関わるから、たとえ抗議であっても、「名」ではなく「実」とみるべき。だから捨ててはいけない。

特に中国に対しては明快なアピールになる。東シナ海のガス油田開発などの問題が絡むのは当然だけど、それよりこの問題で腰砕けになると、中国が安心して領土侵犯をかけてくる危険がある。台湾・尖閣諸島はもとより沖縄すら危ない。

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やり方は簡単。まず沖縄の民心を日本本土から遊離・分離させる工作を行って、頃合を見計らって、沖縄は歴史的には中国領土だ、なんて宣言する。古文書が発見された、なんて言って。もちろん古文書なんていくらでも製造できる。朝鮮の東北工程と同じ手を使ってくる。

そのときに、是是非非で対応できないととんでもないことになる。

顔の見えない外交は、世界からみると理解されにくいということは留意しておかないといけない。

大国に囲まれた小国ならいざ知らず、世界第2位の経済力を持つ、有数の大国である日本が独自の国家戦略を持たないなんてあり得ないと世界はみてる。

日本はもはや覇権主義ではないし、そんな野望も持ってないんだけれど、独自の国家戦略がみえないという事実そのものが、世界を疑心暗鬼にさせる。

実は裏で世界制覇を狙っているのではないか、と。今の世界に日本のような国があること自体が奇跡のようなものだけれど、もちろん世界はそんなことは知らない。

だから、人の意見を聞く姿勢があるからこそ、外交の場においては、尚のこと、日本の国家戦略と方針を説明して、各国首脳によくよく理解しておいて貰う必要があるだろう。と同時に気概と芯のあるところを見せて、一目置かれるようにならないと、いいように食い物にされる危険がある。なかなかに難しい。

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