オンラインショッピングの世界でよく取り上げられるビジネスモデルとして、ロングテール・ビジネスモデルというのがある。
ロングテールとは、商品売り上げのグラフの縦軸を販売数量、横軸を商品名として販売数量順に並べると、あまり売れない商品が、恐竜の尻尾のように長く伸びることから、この長く伸びた部分を「ロングテール」という。
ロングテールに含まれる商品は、販売数量が低い割りにアイテム数の多いことを示し、従来のオフラインショッピングのような一定数以上の在庫を持てない小売形態では、切り捨てられていた部分。
オンラインの小売店は、在庫をそれほど用意しなくても良く、また物流もうんと安くすむようになった。それに伴い、今まで切り捨てられていたロングテールの部分の商品を扱うことで、小さな売り上げを積み上げるビジネスモデルも成り立つようになった。このビジネスモデルをロングテール・ビジネスモデルという。
情報の世界も同じで、よく検索される情報を縦軸に、情報の内容を横軸にとれば、同じようにロングテールが発生する。
普通、極端に偏った内容であるとか、あまりにも公序良俗に反するような内容は、表には出されにくいし、出してはいけないものだという暗黙の了解があるから、そういった情報は、大抵はロングテールの部分に存在することになる。
また、中立を謳うあまり、どこの意見にも与さないという情報(この時点で情報でなくなっているけれど)は全くのマイナーな存在になるので、これもロングテールに所属することになる。
唯一、逆の意味で中立、どんな意見も全部賛成するような情報だけが、検索上位にヒットする可能性があるけれど、他のどこかのコンテンツでも同じことが言われている筈だから、いわゆるその他大勢の意見を列挙して纏めただけ、というコンテンツになる。
ネットはテレビと違って、情報発信媒体が何百万とあるから、各種意見の列挙とまとめだけでは、「広く一般的に普及している」という意味では影響力はあるかもしれないけれど、それを見た多くの人が、列挙された全部の意見に納得することはあり得ない。
なるほどそのとおりと納得する情報は、その中に列挙してある、どれかひとつかふたつの意見に対してだけ。
またロングテールには、中立とは別の観点で、新しい時代を切り拓くような価値情報、天才が発信する時代を超えた情報も含まれていることがある。
だけど、時代を超えすぎた情報は、大多数の人々には普通は理解されないものだから、なんども検索され、使われる情報にはならない。だから天才の発する情報もロングテールに埋もれてしまうことが多い。
本シリーズエントリー記事一覧
コンテンツと規制について その1「規制の対象」
コンテンツと規制について その2「インターネットの交通ルール」
コンテンツと規制について その3「コンテンツと媒体」
コンテンツと規制について その4「中立とは何か」
コンテンツと規制について その5「自由と公平」
コンテンツと規制について その6「情報価値のつけ方」
コンテンツと規制について その7「2ちゃんねる」
コンテンツと規制について その8「ロングテール」
コンテンツと規制について その9「万人の秀才とひとりの天才」
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