情報価値のつけ方(コンテンツと規制について その6)

検索エンジンの中で、急成長を遂げているもののひとつにグーグルというのがある。

米ComScore社は、2007年8月における世界の月間検索エンジン利用事情を調査した最新レポートの発表を行った。その結果、グーグルは、世界で最も多くの月間検索利用を記録し、全検索回数の実に60.8%と、圧倒的なシェアを確保してダントツ1位を記録している。

グーグルの検索エンジンの中身は勿論公表されていないけれど、基本となる考え方は示されている。それはリンクの数とペイジランクという考え方。

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リンクの数とは、文字どおり、対象のサイトがどれだけ他のサイトからリンクして貰っているかの数。他の人の支持がどれくらいあるかの指標。

ペイジランクとは、グーグルが開発した、WEBページの重要度をランク付けする仕組み。ペイジランクは0~10で表示され、数値が大きいほど評価が高い。

コンテンツに対して、「多くの良質なページからリンクされているページは、やはり良質なページである」 という再帰的な関係をもとに、全てのページの重要度を位置づけている。

グーグルの検索は、これらリンク数やペイジランクなど様々な指標を総合的に判定して、最終的に評価の高かったページを検索の時に上位に表示される仕組みにしている。

これらの考え方は実に民主的であって、いってみれば、先ごろ自民党総裁選でやったような党員投票に近い。リンク数は地方票で、ペイジランクは良質なものに対する重みづけをしたものだから、ちょうど議員票に相当するだろうか。

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つまりグーグルは、検索対象の情報価値をネット利用者が持っている「選択の自由」という中立性を使うことによって判定している。情報の価値の付け方そのものを民主化して公平な検索を実現している。

もし、どこかの団体の息の掛かった検索エンジンがあったとしたら、それは、その団体の宣伝文句ばっかり検索するに決まってる。だから、グーグルの検索方法は公平性や中立性を保つという意味において、とても優れているように思える。

検索エンジンのように、自らのコンテンツを持たない存在は、コンテンツを持たないが故に、その検索の中立性が大切であるのは言うまでもない。


本シリーズエントリー記事一覧
コンテンツと規制について その1「規制の対象」
コンテンツと規制について その2「インターネットの交通ルール」
コンテンツと規制について その3「コンテンツと媒体」
コンテンツと規制について その4「中立とは何か」
コンテンツと規制について その5「自由と公平」
コンテンツと規制について その6「情報価値のつけ方」
コンテンツと規制について その7「2ちゃんねる」
コンテンツと規制について その8「ロングテール」
コンテンツと規制について その9「万人の秀才とひとりの天才」

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この記事へのコメント

  • 日比野

    こんばんは、美月様。お返事遅くなりもうしわけありません。
    検索エンジンはもとより、ネットがここまで普及することは20年前では想定すらできなかったかとおもいます。当然現行の法律体系もこれに対応していないことは明らかです。
    いろいろな議論はあるでしょうが、こういうときほど、根源の考え方が大切になると思います。
    2015年08月10日 18:18
  • 美月(深森の帝國)

    こんにちは、美月です。とても興味を覚えるシリーズで、フムフム…です。確かに検索を繰り返して、大いに考えさせられそうな良質なコンテンツに出会うと、「労力(?)が報われてラッキー」と思います。(こちらでも良質な出会いを作れるかどうかヒヤヒヤです・汗)
    グーグルのものは、操作のシンプルさと検索結果のランダムさがある程度あって、この適当なランダム性を含んでいるのが、人気のもとかも知れないですね。時々、思いがけないページをひょいっと拾い上げてくれる事があるように感じられるので、ある程度のボリュームつきの面白そうなものをランダムに探したいときにグーグルを使っています。
    ※「特定の団体」専用の検索エンジン…その出現の可能性や「何のため?」というのをあれこれ想像すると、さすがに怖いですね^^;
    2015年08月10日 18:18

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