中国の世界覇権戦略 (中国の世界覇権戦略 その1)

中国の覇権戦略を考えてみたい。全5回シリーズでエントリーする。

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[ピカさんの夢のある絵画]より

これまでの中国の動きを見る限り、極めてスタンダードな国家戦略を進めているように思える。

・外交戦略は『遠交近攻』 。オーソドックスなやり方。

『遠交近攻』とは、中国戦国時代に范雎(はんしょ)が唱えた戦略。遠方の国と親しくして、近い国を攻め取る外交戦略のこと。「史記」では、もと魏の臣であった范雎が秦王に、秦から遠い齊や楚とは同盟し、近い韓・魏・趙などを攻めよと説き、秦はこれを入れて6国を滅ぼした。

今の中国にとっての遠国とはEU、アメリカ、オーストラリア、中東、アフリカだろうけれど、EU、アメリカ、オーストラリアには市場開放と外資誘致の餌でよしみを結び、中東には武器輸出をして、アフリカには経済援助をしている。

隣国となると朝鮮半島、日本、東南アジア諸国、インド、ロシアになるだろう。陸軍・海軍が強ければ、直接軍事行動で威圧するのだけれど、まだそこまで強くはないので、迂遠ながらも、移民政策とスパイ活動、情報工作によって攻撃している。

じわじわと中国の勢力圏を広げていって、やがて世界中を飲み込んでゆく戦略。

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・軍事戦略は『一点集中』。

一番肝心な部分にまず注力して兵や武装を整える。まずは核を持つことで外からの攻撃に備えて、次に人民解放軍を増強して、政権の安定を図ってきたのがこれまで。これから外部拡大のフェーズとみれば、陸軍はもとより、海軍の整備にも取り組むことになる。

そのためには、邪魔なアメリカ太平洋艦隊を排除しなくてはならない。だからMD衛星破壊とステルス潜水艦の開発を行ったのだろう。狙いは西太平洋とインド洋の制海権の確保。これに伴って、空母の開発が次の目標。まずは東アジア地域覇権の確立が狙いとなる。

西太平洋とインド洋の制海権が確保できれば、東南アジア諸国と日本をエネルギー的に締め上げることが可能になる。この時点でほぼ東アジアの地域覇権が確立する。

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