パックスアメリカーナの終焉 (覇権について考える その3)

覇権国家が善なのか悪なのかを問うたとき、それはその結果世界がどうなるかで答えは変わる。

覇権国家が是とされるときは、覇権国家による平和とそれに浴する人々が利益を享受できるとき。

覇権安定論という理論がある。これは、経済学者のチャールズ・キンドルバーガーによって発表され、ロバート・ギルピンによって確立された理論。

一国が圧倒的な政治力及び経済力、すなわち覇権を有することで、覇権国家による秩序をもとにした国際体制が作られ、その中で他国が利益を享受している状態において世界は安定するという理論。

覇権国家が平和と国際秩序を維持するから、非覇権国は自ら国際体制を築くことなく円滑な経済活動を行うことができて、そこから利益を得る構造がそこにある。

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正義が正義として通用するのは、その正義を行使した結果、現れる世界が皆の利益となっているから。

覇権国家は覇権を握ることによる利益の見返りに、非覇権国に平和と秩序を提供するけれど、やがて覇権を維持するコストを支払えなくなり、衰退してゆくと覇権安定論は説く。

アメリカが長く覇権国家でいたけれど、だんだんと軍を維持するコストを支払えなくなってきて、その覇権が揺らいできてる。そしてそれを補完しようとしてあの手この手で金をかき集めている。時に強引な手段を使ってでも。

なぜ、アメリカが憎まれ、ブローバックされるようになったかというと、アメリカが自国の正義を維持するために、紛争を起こしたり、他国に干渉したりしすぎたために、他国の利益を侵害するようになってきたから。

逆に日本が世界からみて好感度No.1であるのは、ODAで皆に利益をばら撒いたから。それも自助を促す援助で。

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