言語が異なるもの同士で縁起のレイヤーを繋ぐ場合には、その間に翻訳を挟まないといけない。この翻訳時にしばしばおこるデータの損失や減衰が、縁起の糸を細くする。
翻訳の目的は意思疎通を行うため。知・情・意でいう『知』と『意』をいかに正確に翻訳できるかという点が一番大事。『情』の部分は言葉のちょっとしたニュアンスだとか、言葉の裏の意味だとかいろんな要素が絡んでくるから、なかなか正確に翻訳できない。ひどい場合だとまるまる欠落することさえある。
つまり、同一言語や同一文化圏内だと、知・情・意はそれぞれあまり損失なしで伝送が期待できるのだけど、間に翻訳が入ると途端に伝送効率が悪くなることを意味してる。
これを縁起のレイヤーで考えると、上位レイヤーでは、『知』と『意』がメインで伝送されるデータだから、たとえ『情』に損失があっても、致命的にはならない事が多い。だけど、下位レイヤー、特に深い人間関係を築こうとするときには大きな困難にぶつかる可能性がある。言語が異なる下位レイヤー同士の接続では、縁を強く結ぶことはなかなか難しい。
言語と同一言語で構成される下位レイヤーの地域共同体は大体一致する。一致しないと『情』と『意』の部分がきちんと伝達できなくて縁の繋がりが弱くなる。バラバラになってゆく。
知・情・意の心の働きを互いに十分意思疎通できる言語・文化地域があって、そこに住む人々の集まりを国と呼ぶのであれば、「言語と国は一致する」と言っていい。でもそんな集団は往々にして、地方部族や民族別の集まりになる。

この記事へのコメント
マルコおいちゃん
こんにちは。そういえば、今のドイツ人の妻とはじめて知り合ったころは、もっぱら「情」で縁起を結んでいましたっけ・・・よくもまあ、今までやってこれたものだと、しみじみ思います。ひょっとすると縁起のボタンを掛け違えたままなのかもしれません、とほほ。
失礼しました!!
日比野
いえいえ、全然エントリー内容とずれていませんよ(w
カッパ子様のおっしゃるとおりで、日本は国土・民族・言語が一致する、世界でも稀な国だと思います。これでまがりなりにも先進国ですから、天道に国中が丸ごとあるという国、天国のような国だと思います。世界ではこれは当たり前ではないのですよね。国内ではほとんど意識しませんが。
翻訳については、門外漢の私が好き勝手言っていますが、実際に海外で体験されている方のお教えを乞いたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
カッパ子
我が国は国土・民族・言語が一致する世にも幸福な民族ですよね。フランスの地理教科書には「国土と民族が一致しない民族もある」とわざわざ書いてあるのに、日本の教科書にはそんなこと書かれていません。日本の教科書のその視野の狭さに「だから日本の教科書は」とため息をついておりましたが、よく考えれば当然なのかもしれません。日本人は「国土と民族が一致しない」現実を経験したことがないのですから。今世界では民族間対立がますます激しくなっています。どの民族も自分の国土を持ちたいと思っている。日本人には当然のことが実は当然でないことを気づいてほしいです。日本を日本たらしめている国土そして言語を守ってほしいです。
何か貴エントリー内容とずれてしまいました(汗) 翻訳の難しさは言葉を知れば知るほど理解でき、その恐ろしさにたじろきます。