多民族国家の縁起レイヤー構造(縁起のレイヤーが結ぶ世界 その6)


ある意味中国もそうなのだけど、多民族国家、つまり母国語や伝統文化が異なる集団を持った国家を纏めていくのは難しい。下層レイヤーでは、それぞれ異なる色合いの縦糸で出来た布があって、それを寄せ集めて、互いにツギハギして下位レイヤーが出来ている。それら「こま切れ」の下位レイヤーの布に上位レイヤーの一枚布を覆いかぶせて何とか国家の呈を成している。

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上位レイヤーの布を下位レイヤーとズレないように止めているのは、縦糸と横糸の交点に刺さっている「国民」という名のマチ針。

もしマチ針が上位レイヤーの布から抜けたら、国家を維持できなくなっていく。下層レイヤーごとにバラバラになってしまうから。

アメリカは国として歴史がなくて、民族も他民族からなる人工国家。だから元々縦糸には頼れない。せいぜい建国の精神くらいしかない。自由と平等、そしてフロンティア・スピリッツ。

だから建国の精神とその原則をとても大切にする。たとえ、それが制度疲労を起こしても止めるわけにはいかない。自由を求めてやってきた移民を拒絶すればアメリカでなくなる。

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アメリカは横糸がうまくいっているうちはいいけれど、横糸が切れればあとは縦糸の強さだけが頼り。だけど歴史がないから、縦糸の拠り所は建国の精神だけ。結構危うい構造。

国家、特に人間道以上の段階にまで進んだ国家は、国民の国家への帰属意識を高めて、なんとか上位レイヤーにまで針を通して貰うことに気をつかう。

国内にチャイナタウンだとか、なんとかタウンだとか民族ごとに固まった地域共同体の集まりがあってレイヤーの布の色がそれぞれ違っていたり、地域や会社単位で多民族が在籍していて、縦糸一本一本が異なった色でレイヤーの繊維が出来ていたりするのが多民族国家。

そんな縁起レイヤー構造を持つ国は、レイヤー間の分離や食い違いが起きるのを避けるために、建国神話の縦糸で統一を図るか、国家法や国家運営という横糸で束ねるしかなくなってしまう。

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