ある意味中国もそうなのだけど、多民族国家、つまり母国語や伝統文化が異なる集団を持った国家を纏めていくのは難しい。下層レイヤーでは、それぞれ異なる色合いの縦糸で出来た布があって、それを寄せ集めて、互いにツギハギして下位レイヤーが出来ている。それら「こま切れ」の下位レイヤーの布に上位レイヤーの一枚布を覆いかぶせて何とか国家の呈を成している。
上位レイヤーの布を下位レイヤーとズレないように止めているのは、縦糸と横糸の交点に刺さっている「国民」という名のマチ針。
もしマチ針が上位レイヤーの布から抜けたら、国家を維持できなくなっていく。下層レイヤーごとにバラバラになってしまうから。
アメリカは国として歴史がなくて、民族も他民族からなる人工国家。だから元々縦糸には頼れない。せいぜい建国の精神くらいしかない。自由と平等、そしてフロンティア・スピリッツ。
だから建国の精神とその原則をとても大切にする。たとえ、それが制度疲労を起こしても止めるわけにはいかない。自由を求めてやってきた移民を拒絶すればアメリカでなくなる。
アメリカは横糸がうまくいっているうちはいいけれど、横糸が切れればあとは縦糸の強さだけが頼り。だけど歴史がないから、縦糸の拠り所は建国の精神だけ。結構危うい構造。
国家、特に人間道以上の段階にまで進んだ国家は、国民の国家への帰属意識を高めて、なんとか上位レイヤーにまで針を通して貰うことに気をつかう。
国内にチャイナタウンだとか、なんとかタウンだとか民族ごとに固まった地域共同体の集まりがあってレイヤーの布の色がそれぞれ違っていたり、地域や会社単位で多民族が在籍していて、縦糸一本一本が異なった色でレイヤーの繊維が出来ていたりするのが多民族国家。
そんな縁起レイヤー構造を持つ国は、レイヤー間の分離や食い違いが起きるのを避けるために、建国神話の縦糸で統一を図るか、国家法や国家運営という横糸で束ねるしかなくなってしまう。

この記事へのコメント
日比野
おっしゃるとおりだと思います。
ヨーロッパなどの歴史のある国々の多くは先進国であり、人間道以上に達していることから、上位・下位レイヤーとも活性化しています。さらにそこの最上位レイヤーである思想レイヤーは、その国の伝統文化はもちろん、歴史の風雪に耐えた、普遍的・世界的文化も縦糸で伝達します。
下位レイヤーレベルでは、民族大移動やら、侵略と破壊によって縦糸がところどころで寸断されてはいるのですが、最上位レイヤーで侵略者をも魅了し、破壊しえなかった伝統・芸術・文化が縦糸に流れています。無論侵略者の文化がその時代時代で横糸として編みこまれ、その中でさらに普遍的なものが後世へと受け継がれます。
マルコおいちゃん
こんにちは。
フランスなども他民族国家で、しかも帝国主義的締め付けはあるらしいのですが、それでもバラバラにならないのは文明そのものの魅力があるからでしょうか。たとえばアルザスのドイツ系国民は、ドイツ語教育が許される現状には満足しているようです。独仏の密接な縦糸の絡まりあい、ということもあるのでしょうが、ドイツよりもフランスのほうが食物は美味しいし衣類のセンスもよろしい、というわけで、わたしがもしアルザス人なら、やはりフランスに留まりたい、と思うでしょう。
シナのいわゆる「少数民族」たちも、上記のような上位文明としてのシナ文明に憧憬を抱き主体的にシナ化する、ということもあったのです。これについては幾つかのエントリーで述べておきました。
米国もやはり(物質消費)文明の魅力がいまも多数の移民をひきつけているはずです。
この視角からすると、現代シナの劣位はあきらかで、いわゆる「少数民族」をこれ以上留めおくものは政治軍事的締め付けになるのは、まあ当然なのでしょうね。