中国の縁起レイヤー構造(縁起のレイヤーが結ぶ世界 その5)

日本はしっかりした伝達損失の少ない縁起の織物で出来た国なのだけど、これが中国だとまったく反対になる。

中国という国は相互信頼度が低く、騙す騙されるの社会だから、互いの通信データがエラーだらけ。各々はエラー訂正したり、ID確認したり、時には通信遮断したりさえする。もちろんデータ転送効率はとても悪い。政府がどんなに大出力でデータを伝送したとしても、途中でどんどん減衰して、人民に届くころには消えてなくなる。特に経済レイヤーでは顕著。

中国で唯一機能している縁起のレイヤーは、最下位レイヤーである血縁レイヤー。これは血のつながっている縁(宗族)はもちろんのこと、血より濃い「義兄弟」の契りを結んだ縁のレイヤーという意味合いも含まれる。「宗族・幇(パン)」のレイヤー。

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このレイヤーだけが中国で有効なレイヤー。このレイヤーで裏切りは許されない。一度でも裏切ったら最後、宗族・幇のネットワークから叩き出されて、生きて行けなくなる。

中国には、基本的にこの最下位レイヤーしかない。その上層に人民は存在していない。上層には、政府の息のかかったとか、地元の有力者とかのごくごく少数の特権階級がいるだけで、彼らを政府が最上位のレイヤーから繋いでいるだけ。いわば網のようなもの。織物といえるほどの密度はない。

だから中国社会は、最下位レイヤーに強固な「宗族・幇」のレイヤーがあって、その上は織物ではなくて、網が3層にかかっているだけ。国といえるかどうかは疑わしい。

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勝海舟は、氷川清話でこう語っている。

「シナ人は一体気分が大きい。日本では戦争に勝ったといって、大騒ぎをやったけれども、シナ人は、天子が代わろうが、戦争に負けようが、ほとんど馬耳東風で、はぁ天子が代わったのか、はぁ日本が勝ったのか、などいって平気でいる。
 それもそのはずさ。一つの帝室が滅んで、他の皇室の代わろうが、国が滅んで他国の領分になろうが、一体の社会は依然として旧態を存しているのだからのう。社会というものは、国家の興亡には少しも関係しないよ。」

「全体、シナを日本と同じように見るのが大違いだ。 日本は立派な国家だけれども、シナは国家ではない。あれはただの人民の社会だ。政治などはどうなってもかまわない。自分の利益さえ得れば、それでシナ人は満足するのだ。 」

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中国人にとって、「宗族・幇」以外のレイヤーは社会じゃない。自分には全くの関係ない夢の世界と同じ。だからやりたい放題の無法地帯。自分に関係のない世界の出来事だから、なにが起ころうが意にも介さない。

今の中国は、目覚ましい経済発展を遂げているから、経済レイヤーも活性化していると見ることもできるかもしれないけれど、実際のところ、経済レイヤーの糸は繋がっては切れる、有って無いような状態だと思う。

改革開放路線で経済レイヤーそのものに、人民が進入できるようになったものの、まだまだ自分と経済レイヤーは関係ない世界だと思ってる。

自分だけ儲かればいいという意識でいるものだから、経済レイヤーを自分の住む社会というよりは、金という名の小魚の大群がうようよいる漁場に出ている感覚。狙うは一攫大漁。獲ったもの勝ち。手段なんか気にしない。

結局、相互信頼のある、データ損失の少ない層だけが人と人を繋げ、人を動かす縁起のレイヤーとして機能するのであって、それがない層はただのみせかけ。そんな層にいくらデータを送り込んだところで相手がちっとも受信しないのだから意味がない。

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