国の発展段階は六道輪廻の世界観と比較してみるとなかなかよく当てはまる。
この六道の段階おのおのについて、それらを形成または活性化している縁起レイヤーを重ねて考えてみると丁度正比例のような関係になる。
六道を下から大きく3つの段階に分けてみる。すなわち、地獄・餓鬼道と、畜生・修羅道。最後に人間・天道。
まず、地獄・餓鬼道の段階の国は、半ば無政府状態。地獄道は戦争、紛争、治安悪化で常に生命の安全が脅かされている状態だし、餓鬼道は常に食料と水が不足し、いつも飢えに苦しんでいる状態。被食料援助国や難民キャンプが国内そこかしこにある。まずこれを何とかすることが政府の第一課題になる。
この段階では、国民一人ひとりが上位レイヤーの存在として活躍することはほとんどありえない。生きてゆくのが精一杯。頼れるものは親族・友人といった個人的繋がり。すこしマシな状態であっても地域共同体で助け合ってなんとかするのが関の山。
次に、畜生・修羅道の段階の国は、いわゆる強権政治体制。畜生道は強盗・略奪・犯罪が横行し、法治が機能していない状態になるし、修羅道は利権・汚職・賄賂が蔓延り、民度が成熟していない状態になる。
これを国として束ねようとしたら、法治が十分に利かないから力づくで押さえつけるしかない。ここでは、一部特権階級だけが上位レイヤーに入ることができて、おいしい思いをする。特権階級が名君であれば、国民のための政治をして国をもう一段階引き上げることが可能になるのだけれど、大多数の国民はやはりまだ下位レイヤーを主体として活動してる。
だからこの段階での国政の中心は、統治機構としての国家インフラの整備と国民の生活と民度の向上が中心になる。
最後に人間・天道の段階。要するに先進国のこと。人間道は民度がある程度成熟し、経済的も発達し、文化・芸術活動が行われる状態。天道は、民度が最高度に発達し、経済力を発揮して他国への援助や寄付、慈善事業などが恒常的に行われている状態。
これらが国民レベルで行われるようになっているのがこの段階。だから国民のかなりの数が上位レイヤーで活動することができて、しかも自主的な活動になってきている。この段階での国の役目は下位、上位レイヤーを共にうまく機能させて維持してゆくこと。国民の上位レイヤー活動に政府が直接口を挟むことがだんだん少なくなって、いかに気持ちよく活動してもらえるかといった環境整備が中心になる。国民に対して、国はだんだん黒子的役割になっていく。
この記事へのコメント
ナルト
六道を現実にうまく、そしてわかり易く当てはめて、人類の進むべき道を提示しておられるように感じました。
とても示唆的だと感じたのは、六道輪廻の最上位「天道」も、他の五道からかけ離れた存在ではなく、天道→修羅道という変化もありうることだと思います。
共産シナに征服される前のチベットは、天道を目指す国だったかもしれませんが、征服されて下位道に落ちてしまいました。
「一国天道主義」が成立しないのが世の習い。世界に点在する天道を目指す国々が協力して、調和をもたらす方向で、世界全体のレベルを押し上げていく必要がありますね。別のエントリで述べられていたように、上位道にある国々が下位道になる地域を減らしていく努力をすることが肝要だと思います。
マルコおいちゃん
とするとやはり国の規模が問題になってきますね。
老子のいうような小国寡民が「人間・天道の段階」に達しやすいことになります。もちろん民度と指導者にもよりますが。
日比野
ご指摘に国の規模、そうですね。あまりに大国であると、全部を人間・天道までもっていくのは大変な困難を伴うと思います。