縁起のレイヤーからみた国のかたち(縁起のレイヤーが結ぶ世界 その1)

当、日比野庵からリンクしている「マルコおいちゃんのシナにつける薬」の二つのエントリー「シナとヨーロッパという二つの異なる理念」と「シナにモラルがない、とは誤解である」から、ヒントを得て今回は、以前エントリーした、縁起のレイヤー六道輪廻からみた国と世界の関係について考えてみたい。全13回シリーズでエントリーする。

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近代国家の成立は、絶対王政の下での中央集権国家による三十年戦争の終結後、ウェストファリア条約を契機に成立した主権国家体制を母体として、18~19世紀に市民革命を経たのちに欧州で成立した、国民国家がそのはじまりとされている。

国民国家は、領域内の住民を国民という単位に纏め上げて成立した国家のこと。

この国家の構造を、以前のエントリーで、取り上げた「縁起のレイヤー」構造の視点からみてみたい。

縁起のレイヤーは、人と人の縁による繋がりを縁の種類によって層別で分けたもの。大きく分けて下層から「血縁」「地域・知人」「経済」「思想」の4層に分けている。このうち、「血縁」「地域・知人」レイヤーの二つを下位レイヤー。「経済」「思想」レイヤーを上位レイヤーと便宜的に呼ぶことにする。

この構造では、下層にいくほど、個人的な縁になっていくので、縁の繋がる範囲はどんどん狭くなる。縁の繋がりには、時間軸で繋がる縦糸と空間軸で繋がる横糸とがあって、縦横に縁起の糸で個々人を結ぶことでいわゆる「縁起の織物」を作っている。

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国民国家が成立する前には、地方の王がその地域を仕切っていたけれど、それに対して、昔の個人は下位レイヤーでの活動が世界の殆どを占めた。上位レイヤーで活動して縁を繋げたのは、国王や宗教的権威存在ぐらい。

封建制は、下位レイヤーでの、ある領域のまとまりを、上位レイヤーまで存在を許された一部の特権階級によってまとめていった国家形態。

臣民・庶民は、その特権階級の許す範囲内で経済レイヤーと思想レイヤーへの参加が許されていたけれど、これだと王様の能力が国の能力となって、国としてそれ以上は強くなれなかった。

だから、近現代になって国民国家が成立してくると、国民にも上位レイヤーへの進出を許し、引き上げることで、国力の強化を図った。

これによって、これまで制約されていた経済レイヤーと思想レイヤーの通信量が増大し、活性化し始めた。富の拡大と人口の増加および国民の国政への参加を促し、国力は増大した。

下位レイヤーからきちんと順を追って縁起の糸を紡いでいくことは、国民国家を形成するためには重要な要素。国民ひとりひとりの衣食住がきちんと確保されてこそ、次の段階に行けるから。

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