日本人の食に対する冷静な判断(食品偽装問題について 前編)

食品偽装問題について、今日明日、2回シリーズでエントリーしたい

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日経レストランが300人の消費者を対象に、「食品偽装」と「食材高騰」に関して、2007年12月に実施したアンケート結果が公表された。

それによると、昨年問題となった、賞味期限や原産地表示など偽装については、約8割の人は「ほとんどの店で多かれ少なかれ不正をしている」と考えている反面、約6割の人は「きちんと改善策を講じれば、また利用する」と考えているそうだ。

また、賞味期限切れ問題についても「食品の種類によっては賞味期限切れでも食べる」という人が8割を超え、メニューの値上げに関しても半数以上が「ここまで原料が高騰すると、値上げも仕方ない」としている。

食品産業の実態なんて、これまでほとんど報道されることはなかった。 それでいて、不正など多かれ少なかれやっている、とか、賞味期限切れでも食べるという回答が8割を超える結果になっている。

消費者は驚くほど冷静に事態を判断していると思う。「きちんと改善策を講じれば、また利用する」とか、「値上げも仕方ない」という回答も半数を超えているということは、日本企業、引いては日本人の安全性や信頼性に対するある種の合意、すなわち、日本の企業であれば、ちゃんとやれば安心できる食品が提供できるはずという国民半数以上の合意があることを示してる。

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あれほど、マスメディアが昨年、ヒステリックなまでに、問題視して赤福や吉兆を叩いては、食への信頼が揺らいでると焚きつけていたけれど、どうやら国民はその上をいくリテラシーを持っていたことを証明しているように思う。

特に「値上げも仕方ない」という回答が半数を超えているのには注目している。バブル崩壊後のデフレでなにもかも値下げになっていたけれど、それを当り前とは思わず、生活実感として、今の値段でやっていくのは、少しくらいの不正でもしないと商売にならないはずだという感覚があることを示してる。

以前、「購買動向からみる食のリテラシー」のエントリーで、国内の食品偽装を騒ぎ立てることで、中国の毒食品を覆い隠そうとしている意図があるのではないかといったけれど、このアンケート結果を見る限り、その目論見は失敗に終わるのだろう。

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