肉体を強化する世界(人間として生きるということ その8)

最近の脳科学の研究では、人間の脳は結構あいまいに出来ていて、それゆえに柔軟性を持っていることがわかってきている。

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人間の脳には、体の各部分と脳の部位との対応関係を示す脳地図とよばれる図がある。

面白いのはこの脳の地図は後天的に作られて、かつダイナミックに変わるということ。

ごくまれに人差し指と中指がつながったままのいわゆる4本指で生まれてくる人がいるけれど、その人の脳地図を調べたら、5本目に対応する感覚野が形成されていなかった。

だけど指の分離手術をして5本指にしたら、4本目と同じ動きしかできないと思われていた5本目の指は、他の指と別の動きができ、きちんと5本目の指として使えた。そこでもう一度脳地図を調べると、わずか一週間の間に5本目の指に対応する感覚野が形成されていたという。

今ではこの例から、義手を脳の信号でコントロールする、すなわち思っただけで義手や機械を操作する試みが行われている。

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人間の脳は与えらた肉体や感覚に柔軟に対応して、それをコントロールできるしくみを持っている。

だから人間の肉体の一部をどんどん機械に置き換えていって、かつアイデンティティを失なうことがなければ、人間は記憶のみならず、肉体性能もどんどん拡大向上していくことが可能になる。超人を簡単にいくらでも作れてしまう。

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