人間の脳には、体の各部分と脳の部位との対応関係を示す脳地図とよばれる図がある。
面白いのはこの脳の地図は後天的に作られて、かつダイナミックに変わるということ。
ごくまれに人差し指と中指がつながったままのいわゆる4本指で生まれてくる人がいるけれど、その人の脳地図を調べたら、5本目に対応する感覚野が形成されていなかった。
だけど指の分離手術をして5本指にしたら、4本目と同じ動きしかできないと思われていた5本目の指は、他の指と別の動きができ、きちんと5本目の指として使えた。そこでもう一度脳地図を調べると、わずか一週間の間に5本目の指に対応する感覚野が形成されていたという。
今ではこの例から、義手を脳の信号でコントロールする、すなわち思っただけで義手や機械を操作する試みが行われている。
人間の脳は与えらた肉体や感覚に柔軟に対応して、それをコントロールできるしくみを持っている。
だから人間の肉体の一部をどんどん機械に置き換えていって、かつアイデンティティを失なうことがなければ、人間は記憶のみならず、肉体性能もどんどん拡大向上していくことが可能になる。超人を簡単にいくらでも作れてしまう。

この記事へのコメント
日比野
そうですよね。人間って不思議ですよね。もし人間の肉体が千手観音みたいにたくさんの手があったら、また世界が違ってみえてくるのでしょうね。
ろし
脳地図の再マップに関係すると思いますが、幻肢という症状があります。ご存じだとは思いますが、これは、事故などで指を失った人が、無くなったはずの指の痛みを感じるという症状です。
これは上記の脳地図の再マップがうまくいかないケースと考えられる気がします。4→5本に増えるのは対応しやすいけれども、減ることには対応しづらいのでしょうか?
脳というのは、いつも送られてくるべき刺激が無くなった場合にその刺激を無理にでも生み出そうとするんでしょうかね?指を無くした人が、その後胸のあたりを触ると、無くなった指を触られているように感じたりすることもあるようです。
肉体の一部を機械に置き換えた時に、元の肉体と同じ刺激を脳に伝えておかないと、何か問題が起きそうな気もします。
脳をネットにつなげて、草薙小佐のように「ネットは広大だわ」という感覚を味わってみたいですけどね。
あきつ
そう思える記事です。