抗議の分割払い (捕鯨問題について考える その3)

例の動画に対する反応は様々だけど、YOUTUBEのコメント欄をはじめとするネット上では日本に対する非難が主流で、新聞などのメディアでは、賛否両論、中には、自分達も牛や鶏を食べるよな、といった自省のコメントもあるそうだ。またオーストラリア地元紙でも、比較的中立的な意見も掲載されたらしい。

少なくとも非難一辺倒ではなくなった。

日本人はキレるギリギリまで我慢して最後に大爆発してしまうところがあるから、それでかえって損をしてしまうことが多い。

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チャーチルの「対日世界大戦回顧録」にそのことを示す有名なくだりがある。



  日本人は無理な要求をしても怒らず、反論もしない。笑みを浮かべて要求を呑んでくれる。しかし、これでは困る。
 
  反論する相手をねじ伏せてこそ政治家としての点数が上がるのに、それができない。それでもう一度、無理難題を要求すると、これも呑んでくれる。すると議会は、いままで以上の要求をしろという。

  無理を承知で要求してみると、今後は笑みを浮かべていた日本人がまったく別人の顔になって、

  「これほどこちらが譲歩しているのに、そんなことを言うとは、あなたは話のわからない人だ。ここに至っては刺し違えるしかない」

  と言って突っかかってくる。

  英国はマレー半島沖合いで戦艦プリンスオブウェールズとレパルスを日本軍に撃沈されシンガポールを失った。日本にこれ程の力があったなら、もっと早く発言して欲しかった。

  日本人は外交を知らない。




相手がまだまだ大丈夫と多寡をくくっているときに、いきなり大爆発したら双方被害が大きい。怒りを小出しにしてゆけば、互いに間合いを計るようになる。

借金はいっぺんに全部返したほうが得だけれど、抗議は分割払いにした方がいい。

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怒りを小出しにすることで内に溜めない。怒りがぐるぐると自分の中で回りつづけるとやがて憎しみや恐怖に変わることさえある。精神のダークサイドが待っている。

そこまでいくと国民感情が一気に爆発して政府としてもそれを抑えられなくなる。そちらのほうがよっぽど危険。

こういったプロパガンダ戦に関する日本国民の不満のほとんどは、政府の対応がなかなか見えないことと、見えたとしても見えるまで時間がかかりすぎること。即座に軽いコメントを返すくらいの配慮があれば大分違う。

危機管理というか、こういわれたら、こう言い返すというシミュレーションを何度もやって、想定問答を作っておく。そういった準備をいつもしておけば、国民の不満のかなりの部分は解消する。

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