昨日のエントリーで終わるつもりでしたが、被害が拡大していている現状を踏まえ、追記エントリーします。
中国冷凍猛毒餃子の件で、続々と健康被害があったことが明らかになってきた。
読売新聞の全国調査によると、被害者は1月31日現在で、30都道府県、計368人に広がっているという。また、天洋食品の加工食品は、少なくとも19道県の327の保育園、幼稚園と小中高校などの給食で使われていたことも判明したと報道されている。
発覚当初から報道していれば、被害はもっと抑えられていた筈。それを隠してしまっていた報道各社の罪は問われてしかるべきだろう。予想以上におおごとになって慌てているのではないか。
学校給食では、一斉に中国産を敬遠する動き。スーパーや外食産業は「中国産」を使うか使わないかで対応がマチマチのようだ。
一番簡単確実な対策は元栓を閉めること。安全性が確認されるまで中国からの食料品輸入の無期限停止。この対策が一番消費者を安心させる。BSEと同じ対応。
だけど、まだ元栓は開いたまま。すると次善の策として、おのおのの蛇口を閉めるか閉めないかの話になる。つまり卸売り業者レベルでの販売自粛。少なくとも、どの蛇口が開いていて、どの蛇口が閉まっているかの看板を出してもらわないと、消費者は安心して買えない。
各食品メーカーにはひっきりなしに問い合わせの電話がかかっているそうだ。
このまま政府の対応や情報開示がずるずると遅れれば遅れるほど、「中国」をキーワードにして、中国と名のついた食材を、食品メーカーも消費者も一斉に避けるようになるのは目に見えている。
本当は政府レベルで元栓を閉める処置に出たほうがずっと良い筈。だけど今のところ政府にそのような動きはみられない。
福田総理は2月1日午前の閣僚懇談会で「それぞれの閣僚がしっかり取り組んで欲しい」と述べたそうだけれど、そうではなくて、たとえ一部の品目ででも、中国食材の輸入禁止措置を指示するくらいであったなら、「国民の安全を守る」という公約を果たすと同時に、強いリーダーシップを持っているということをアピールできて国民の支持を得ることが出来ただろうに、惜しいかなチャンスを逃してしまった。
しっかり取り組んで欲しい、なんて閣僚に任せておけるような猶予はあまりないように思える。
中国当局は、やはりというか相変わらずというか、メタミドホスは検出されず、品質が非常に安定していると述べていたけれど、適当な少量のサンプル検査ごときで、メタミドホスがぼろぼろ検出されるようでは話にならない。死亡者が大量に出る。
だけど、いくらサンプルから検出されなかったといって、知らぬ存ぜぬを通していても、なにもしなければ海外輸出に影響が出てくる。
日中両政府とも、なんとか早期収集を図りたいと思っているのかもしれない。だけど大切なのはその始末の付け方。
中国政府のよくやりそうな手としては、自分は悪くない、特定のごく一部の「犯罪」だった、と矮小化して沈静化を図る作戦をとること。待遇に不満を持った従業員とか、天洋食品に恨みをもった第三者が猛毒を意図的に混入させたのだ、とかなんとか言って。
それで管理責任を問う形で、天洋食品をお取り潰し。日本には形ばかりのお悔やみを言って、謝罪せずゲームセットを狙う。中国政府的にはそれで十分いけると思っているかもしれない。
だけど、その手に日本側のマスコミや政府が乗ってしまうと、多分、国内の食品業界に大打撃を与えることになる。
政府から安全宣言や終結宣言を出すことを考えた場合、日本と中国では政府発言の重みは天と地ほどに違う。
中国政府の発表は当の中国人すら信じていない。特に自国の食料品に関しては。上海の金持ち達は日本産の食材を食べているという。それに引き換え日本政府の安全宣言は、かなりの信頼度を要求される。一旦安全宣言を出したら最後、二度目の食中毒は起こせない。二度目があったら政権が揺らぐ。
親中派と呼ばれ、無為無策とも言われている福田総理にとっても試練の時。ここに至っても無為無策では厳しい。
更に、もし中国政府が先ほどの「一部の犯罪だったキャンペーン」を仕掛けてきたとしても、安易にそれに乗っからない方がいい。
万が一、日本政府が、あれは犯罪であって、その他の食材は安全だ宣言なんかを出したとしたら、今度は食品メーカーが安全という名の板ばさみに遭うことになる。二度目があったら、今度は食品メーカーの責任にされてしまうから。
昨年さんざんマスコミが産地偽装で叩いたものだから、仮に中国産を国産と偽って販売して、食中毒を起こしたら、いっぺんに信用を失う。食品業界全体が信用という目で消費者から品定めされている。これ以上の産地偽装なんかとんでもない状況だから、もう逃げ道がない。
構造的に毒食品を流出させない仕組みを作らない限り、いくら誤魔化したところで、今回の様な問題はいつまでたっても無くならない。
だから政治決着的な、安易な安全宣言をいくら出したところで、食品業界や消費者にとっては殆ど意味がない。
国にせよ、食品メーカーにせよ、しっかりとした安全対策がされない限り、中国産の食材はやっぱり敬遠され続けると思う。

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