質と量 (毒入り中国製餃子について)

先日、食のリテラシーのエントリーを上げたばかりだったのだけど、先ごろ、生協で購入した中国製冷凍餃子を食べて食中毒を起こし、入院していたことが明らかになった。

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本当は何ヶ月か前に分かっていたらしいのだけど、事ここに至っては、隠しきれなくなったのだろう。

報道各社も大きく取り上げている。ただ「不二家」や「赤福」「吉兆」に比べてこちらのほうが遥かに深刻な問題なのに関わらず、まるで腫れ物に触るような扱いになっている印象を受ける。

本格的に追求すると行き着く先は分かりきっているので、できるだけ触れたくないのだろうけれど、そんな報道姿勢は、逆にますます消費者の食のリテラシーを高めることになるだろう。

政府その他機関の対応も迅速で、厚生労働省は、冷凍餃子だけでなく天洋食品の全製品の販売を中止するよう要請したし、学校給食でも中国製食材の取りやめが始まっているそうだ。

食の安全性の声がますます強まることは間違いない。これから消費者の行動は大きく二つに分かれるように思う。

ひとつは、安全を金で買う行動。もうひとつは食べないという選択。

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今回の事件を起こした天洋食品だけでなく、各食品メーカーや外食産業は安全性への対応を迫られる。食中毒事故が起こってなくても、中国産食材を使っている他のメーカーなんかは特に、安全性への対応を求められる。もはや他人事ではなくなった。中国製食品は高リスク商品であったことが広く知られてしまった。

だけど、たぶんもう消費者の意識は中国なんか相手にしていないと思う。そんなの眼中にない。見つめているのは食品メーカーの安全性に対する姿勢そのもの。

中国産だから100%ダメというのではなくて、中国産であろうが、国産であろうが、どうやってその食材の安全性をメーカーとして保証しているのかに意識が向いているように思う。極めてシビアで冷静な消費者の目。

だから、食品メーカーも、なんらかの安全性への対策をとる代わりに値上げをするかもしれない。牛肉のように固体識別番号をつけるとかして消費者に安全対策とトレーサビリティを広く公表する。そして、それらの対策に納得した人が、値段が高くてもそちらを選ぶという消費行動を取ることが考えられる。

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もうひとつは、そもそも食べないという行動。一日三食だったのを二食にしたり、時には一食にしたりして、浮かしたお金で、安全性の高い食材を買う。

日本のような先進国の食生活は普段からカロリーオーバーであって、それによって生活習慣病を蔓延させているという説もあるくらい。日本人は朝食を抜くくらいで丁度良いとも言われてる。

机上の空論だけど、日本人が一日三食だったのを一日一食にしたら、カロリーベースでの食料自給率は100%を超える。

要は、食べるためのお金の使い方が量から質に向かう可能性があるということ。それに伴って、消費者の食材の値段を見る目も変わってくるかもしれない。

たとえば、いままでキャベツ150円、ニンジン一袋200円とかだったのが、キャベツは本体価格150円+検査費用50円の計200円、ニンジン一袋は本体価格200円+検査費用50円の計250円といった具合に。

昨今のデフレ状況下では給料や年収が増える見込みはないから、安全のために食料品が値上がりすると、他のどこかを節約するか、検査費用分だけ買う食材を減らすしかない。

今回の問題は、消費者に更に食への意識改革を促すと思う。


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