胡錦涛国家主席訪日の目的(チベットデモと弾圧について その2)

今回起こっている抗議行動は、今までと違って同時多発の抗議デモ。一番中共が恐れるパターン。

チベット、四川、青海、甘粛省だけでなく、内蒙古やウイグル自治区でも同じようなデモが起こったら、鎮圧も大変になる。情報統制にも限界がある。

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今回のチベット抗議行動で、中国政府はダライ・ラマ派との「人民戦争」だと声明を出した。人民戦争という文言は、日中戦争時の人民解放軍のスローガンであった言葉で、これをダライ・ラマ派に対して使うということは、徹底的に弾圧するぞと宣言するも同じ。

全人民の利益(実質は漢民族の利益)を守るという旗印に使われる人民戦争を使った以上、狭義の意味においてダライ・ラマ派、広義の意味においては、チベット族全てが人民の敵であり、人民の範疇ではないと言うに等しい。

中国領であるとしていた筈のチベットに対してこうした定義付けすることは、却ってチベットの独自性・独立性を認めていることを暴露してる。

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中国政府は武力鎮圧を一生懸命になって否定しているけれど、それだけ、海外からの非難に神経を尖らせている証拠。天安門の時の様に人民を殺害する場面を放映させてしまう事だけは何があっても避けなくてはいけない。今回の事件は、国内には殆ど報じていない。

いずれにせよ、このまま事態が収拾せずにズルズルいくと、天安門の時のように国際社会からの孤立する危険がある。目先で一番あり得るのが北京五輪のボイコット。

天安門の時は、昭和天皇陛下の訪中によって国際圧力が緩和していったけれど、北京五輪開催有無に関わらず、皇太子殿下または皇室の訪中が重要な鍵を握ることは論を待たない。

また中国が日本に泣きついてくる可能性が高まった。おそらく皇太子殿下のみならず今上陛下の訪中を横柄に要請してくるだろう。

これで胡錦涛総書記は何が何でも訪日しなくちゃならなくなった。しかも洞爺湖サミットの前に来ないと皇室のスケジュールも組めないから必死。

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[Asagi's photo]より


今回、胡錦涛総書記の訪日に際して、中国側は新たな日中共同宣言を締結するよう求めているという。

どんな声明になるかは明らかではないけれど、2007年12月に高村外相が胡錦涛総書記と会談した際、胡総書記の早期訪日の期待を述べた上で、「台湾問題で、日本側は今後も日中共同声明で決まった原則を貫いていくつもりで、この立場が揺らぐことはない」と強調したというから、台湾問題が議題にあがる可能性は十分ある。

とすると訪日の目的は大きくふたつ。

ひとつは、さっきも述べたように、今上陛下または皇太子殿下の訪中約束の取り付け。もうひとつは、日中共同声明での台湾独立を支持しないという明確な文言を入れさせること。

台湾の独立への動きと今回のチベット動乱と弾圧を見る限り、台湾侵攻の可能性を考えておく必要がある。現に「台湾とただちに開戦すべし」と書いた血判書を北京、南京両軍区の若手軍人らが相次いで提出していたらしいことが報道されている。

ここは日本にとっても正念場。今までのように「台湾は中国の一部とする中国政府の主張を理解し尊重する」という立場を堅持できないと、あとあと面倒なことになる

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