抗議デモの拡大(チベットデモと弾圧について その1)
先日来ブロガー諸氏が触れられているけれど、例のチベットはラサでの抗議行動とその弾圧について、4回に渡ってエントリーする。
3月10日から始まったチベットの抗議行動は、多数の死傷者を出しながら、その規模を広げている。民間活動団体「チベット人権民主化センター」によると、武力鎮圧への抗議デモは四川、青海、甘粛の3省計5か所に拡大しているという。
それに対して、中国当局は武装警察を出して鎮圧しようとしている。
中国当局はラサへの外国人立ち入り禁止措置を含め、情報統制・情報封鎖しているから、実際のところ何処まで被害が拡大しているかわからないけれど、予想以上の規模になっている可能性は高い。
民衆を武力によって鎮圧しようとし、実際死傷者まで出してしまう中国当局対応は、かの天安門事件を髣髴とさせる。
むろん国際的非難の噴出は避けられない。実際に欧米各国から非難声明が出ているし、北京五輪のボイコットの声もあがってる。
今回の事件に対して、チベット亡命政府は早々に国連介入を求めている。また台湾では、丁度総統選挙を前にして、反国家分裂法への抗議デモも行なわれ、「国民党勝利なら台湾はチベット化する」と警戒感を強めている。
確かに、チベット人にとって、3月10日は独立運動が始まった重要な日。
それにしても、北京五輪を中止できうるギリギリのタイミングであり、なおかつ、世界の注目を集めるにはベストな時期をねらった同時多発的な各地の抗議運動といい、コソボ承認問題や台湾独立問題にも密接に絡んだタイミングでの出来事。とても手回しが良い印象を受ける。
イギリスガーディアン誌は今回の事件を周到に準備したあとが伺えると分析している。
唯の推測にしか過ぎないけれど、今回の事件には仕掛人が存在する可能性は十分にあると思う。それも海外各国の政権に太いパイプを持ち、ある程度以上の影響力をもつ存在として。
もともとチベット独立を訴えたい亡命政府に、今なら国際社会も亡命政府への支援と中国への非難声明を出す、と唆されれば乗ってきたっておかしくない。
当日比野庵とリンクしている「途転の力学さん」は、今回の事件はアメリカによって巧妙にしくまれた作戦であると指摘しているけれど、仕掛人がアメリカであったとするとその狙いは、軍事力の展開による治安維持とドル機軸通貨の防衛だろう。
世界各地が紛争できな臭くなれば、有事に強いドルとして、アメリカからの資金流出を防ぎ、ドル安にもブレーキが掛かる。
以前「海外のチャイナ叩き報道について 」のエントリーで海外メディアの中国叩きにはイスラエルと中国の対立が背景にあるのではないかといったけれど、つい先ごろ、アメリカ中央軍指令本部の総司令官ウィリアム・ファロン提督が突如辞任した。以前からブッシュ政権のごり押しするイラン攻撃計画に対して強く反対してきたのが辞任の原因であり、今回の辞任でイラン攻撃があるのでは?と噂されている。
もし今回の仕掛人が、アメリカ+イスラエルだとしたら、この事件はチベットだけに留まらず、独立と安全をキーワードに全世界規模に余波を与える可能性すらある。
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