コミュニケーションで得られるもの(相互信頼とは何か その12)

コミニュケーションで得られるものは、相互理解。相互信頼はその先の話。

確かに理解の度合いが進めば進むほど信頼感が増すのは確か。だけどそれは、相手のアイデンティティや考え方に筋が通っていて、自分がそれを許容できる場合。


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[Asagi's photo]より



たとえば、なにかの事情で生活苦に喘ぎ、何度か窃盗かなにかで捕まった経験がある人がいたする。そんな人とコミュニケーションをした場合を考えてみると、たとえその人の事情は理解できたとしても、おそらく自分の家の鍵はしっかりかけるだろう。

また、話すたびに内容がころころ変わって一貫しない人とはどんなにコミュニケーションをしたとしても信頼度は低い。

だけどそれでも、コミュニケーションをすることで、相手の事情を理解することはできるし、考え方の傾向や性格なんかを知ることはできる。

だから、コミュニケーションによって縁起の糸が繋がっていって、相互理解が出来れば出来るほど、それだけ智慧の貸し借りができる関係になる可能性は大きくなる。

こういう問題だったら、あの人なら良い智慧を貸してくれそうだ、といった具合に縁起の糸を芋づる式に辿っていって、智慧の在り処に到着することができる。

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[ピカさんの夢のある絵画]より


そういった智慧の貸し借りと感謝の対価を払うことを繰り返すことで、理解は信頼にまで高まってゆく。人の恩義を裏切るのはなかなか難しいもの、恩義にはなにかで報いようと考えるのが普通。そうであってこそ「和」は保たれるし、地域共同体の一員として受け入れられる。

地域共同体や血縁レイヤーがしっかり機能していると、個人の問題解決の助けになるのは確かなこと。

下位レイヤーが活性化して、常に相互の通信が行われている状態であれば、相手が何かの問題を抱えてして悩んでいたとしても、その変化をいち早くキャッチできる。問題の初動で対処できる。

問題が大きくなってからでは、どうにもならない場合もあるから、下位レイヤーの活性化は、なにかの問題が社会問題化する前段階で治療してしまうといった予防的効果があるといえる。


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