縁起の糸の結び直し(相互信頼とは何か その9)

相互信頼性が崩れた状態というのはいってみれば、縁起の糸が切れたりほどけているようなもの。糸が切られた対象は村八分みたいな状態。

どこまで糸が切れたら相互信頼が崩壊したと判断するかは難しいのだけど、そのレイヤーが機能しなくなるくらいまで相互信頼の喪失による糸の切断がある、というのもひとつの目安。

どこまで機能しているかという観点から、日本のレイヤーを見てみると各レイヤーそのものはまだ機能を保っている。

各レイヤーで起こっている問題は、日本の縁起の織物全体に及んでいるわけじゃない。

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[Asagi's photo]より


上位レイヤーについていえば、偽装問題も食の安全問題についても、建築基準法の改正が行われたし、賞味期限問題で散々叩かれた、赤福なんかも箱に賞味期限を大書するなどして出直した。こうした動きは切れかけた縁起の糸をもう一度結び直す修繕行為。

赤福の再販売時には、地方からもお客さんがわんさか押しかけて、あっという間に完売したというから、赤福の縁起の糸はまた繋がりつつあるのだろう。

また、毒餃子問題についていえば、中国産のみならず、原産国表記義務のない冷凍食品が一斉に敬遠されて、冷凍食品は村八分。今はそれを扱うメーカーに対する信頼性が問われてる。

その一方、手作り餃子をみんな作るようになって、餃子の皮が一斉に売り切れてしまったり、品質重視で国産だけを使っていたような餃子専門店なんかは売り上げを伸ばしてる。

だから食の安全問題はどの縁起の糸が安全で、どの縁起の糸がそうでないか、より分けている段階。信頼できるものと出来ないものの判別と選定が行われてる。

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縁起の糸はたとえ一度切れたとしても、切れた原因に対してきちんと対策することで、また結びなおすことが出来る。

その意味で対策が不十分ではないか、と皆が思っているのは、たぶん年金問題。社保庁の不祥事は国への信頼を失う原因となった。それだけが原因ではないけれど、中には年金不払いという「自衛」行動に出ている人もいる。ただ、皆が皆そうしている訳ではないから、年金の縁起の糸は全て切断されたわけじゃない。対策を本当にきちんとすることで、また切れた糸を結びなおすチャンスは十分にある。


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