デモの効果(長野の聖火リレーについて その1)
今回の聖火リレーに対する長野での抗議行動が持つ意味について考えたい。全4回シリーズでエントリーする。
デモとは、ある特定の意思・主張をもった人々が集まり、集団でそれら意思や主張を他に示す行為。それらを行うことで現実社会の変革を期待する行為。
昔だったら一揆や打ちこわしだったものを、平和的にしたもの。当然それらには目的が存在してる。
今回の聖火リレーに対する抗議活動の目標を戦略・戦術レベルで層分けすると次のようになるだろう。
大戦略目標:チベット弾圧を止めさせ、チベット独立または完全自治を認める
勝利条件:チベット弾圧の停止の確認とチベットへの自由入国と取材
中戦略目標:チベット問題解決のためのダライラマとの対話開始
勝利条件:中国政府からのダライラマとの対話の宣言
小戦略目標:北京五輪失敗による中共政府の統制力の低下および民主化の加速
勝利条件:北京五輪中止または代替開催または開会式ボイコット
準勝利条件:北京五輪のイメージ失墜
具体的戦術:聖火リレーに対する抗議活動
勝利条件:リレーの中止またはコース変更および短縮
ここで各戦略目標を達成するための標的が中国だけじゃないことは留意しないといけない。確かに大戦略・中戦略目標はかなりの部分は対中国政府向けなのだけど、小戦略目標の相手はIOCと自国政府。
デモは相手の国だけじゃなくて自国政府やその他団体をも動かす原動力。
事実、元々の予定では聖火式でトーチを掲げる予定であった、イギリスのブラウン首相は、聖火リレーに対する激しい抗議活動のせいで、リレーが首相官邸に到着しても拍手するだけで、聖火トーチに最後まで触ることができなかった。
また、抗議行動の激しさゆえに、リレーコース変更や短縮が行われているから、既に戦術レベルでは聖火リレーに対する抗議活動は勝利を収めているといえる。
仮に聖火リレーの妨害行為も全くなく、粛々とした抗議だけで、リレーのコース変更や短縮が出来得たかどうかは分からない。少なくとも、ロンドン・パリ・サンフランシスコでの激しい抗議行動が、IOCにリレーの実施形態を変えさせたことは事実。
だけど、もっと大事な事はこの戦術レベルの勝利を、戦略目標の達成にどう結びつけていくかということ。
この記事へのコメント
日比野
私はダライラマ14世睥下の述べられている、「チベットの高度な自治」を支持していますし、それの一日でも早い実現を望むものです。それは過去のエントリーでも触れさせていただいています。
今回のシリーズエントリーで考えたかったテーマは、既に欧米での聖火トーチを消してしまうほどの抗議行動があったという事実からスタートして、その行動の意味と影響、および長野での抗議行動はどうあるべきか、ということでした。
結論から先に申し上げますと、「既に最低限の戦略目標(小戦略目標)は達成しているから、長野での抗議方法は平和的方法に転換すべきである」ということになります。
美月
日中はどうしても手が空かず、どうしてもコメントできない環境にあったので、心配しながら拝見してました。まだシリーズ第1回目なので、シリーズ最後まで読んでみて、それから批判&検討しても遅くはないと思います…
長野に来て激しい抗議をしようとしている海外活動家や、何かしら目的あっての妨害専門の工作員は、まさしく記事のように考えている…という可能性があるのではないでしょうか。(感触だけなのですが、外国での激烈な種々の活動は、むしろ、かような考えが濃厚だったのではと思われます…)
乱入みたいな感じになってしまって、大変申し訳ありません。(こういう事は初めてなので、どうかご容赦下さい…)以前、荒々しい言葉が続いて、気まずい結果になった事件を拝見した事があったので、心を痛めています…
lanman_man
>シリーズ最後まで読んでみて、それから批判&検討しても遅くはないと思います…
ここでの議論が大きな影響力を及ぼすことはないでしょう。だが、たった二人。日比野さんと私との間で目的と手段が異なるようでどうしますか。だから意思確認をしたいと、こうゆうとるわけです。それだけのこと。
>以前、荒々しい言葉が続いて、気まずい結果になった事件を拝見した事があったので、心を痛めています…
何のことですか。あなた、失礼なことをいいかけてはいませんか。わたくしめに。
私は仕事においても、「どうするべきか」の大切な会議や議論では、喧嘩してでもやるべきだというタイプです。まして他国のこととはいえ、いやしくも人の基本的な権利や命にかかわることに口を出すのに、行き違いの摩擦や喧嘩を恐れてどうしますか。
バカバカしいので、これで失礼します。
lanman_man
オリンピックや聖火リレーを妨害することで、チベット問題が進展すると思っているとすれば甘い。相手の面子を潰して対話など実現しない。★聖火リレーは本来の聖火リレーらしく盛大に平和的にやればいい。★抗議デモはそれ以上に盛り上げればいい。「これだけ世界が注目してるんです。いまどき力で他民族を支配している大国はありません」をアピールする。対話も会話もそれからだと思う次第。
善光寺は、広い視野で「どうぞ」というのか、拒絶するのか。それで度量の具合も分かる。
善光寺は拒絶したようです。世の大勢も「拒絶すべし」だっようで。
拒絶することで、破壊や危険を回避するという意図に加えて、
「チベット問題への抗議」の形を採ったということでしょうか。
宗教・民族・人権問題・政治問題と、オリンピックを切り離したところでの抗議の方法はほかにあると思うのですが、………いささか・がっかりしています。
争鳴
大東亜以降の中国を見ていて、そのような実感が全く持てないのですが、あなたさまは、中国の何を持ってそのようなご主張をなさっていらっしゃるのですか。