日本経済を見てみると、世界のそれとは少しだけ位相がズレている。世界でいち早くバブルが崩壊して、最近までデフレ路線一直線だった。
失われた10年というもの、不良債権の処理に追われて、投資するどころじゃなかった。貸し渋って、貸し剥して。怪我の功名かサブプライムの影響は軽微で済んだ。
日本は不思議な国。もうお仕舞いだと誰もが思うような危機の中から甦る。敗戦もしかり、石油ショックもしかり。
これまでの日本は「技術力」によって経済発展を遂げてきた。新技術を使った有益な、実用に足る商品を開発して、それを世界に買ってもらうことで自らを潤してきた。
その次々と新技術を開発してゆく力、それも商品化して一般に普及できるようにしてしまう力が日本の最大の力。
技術力を政治力に置換するやり方は、その技術を特許や権利でガチガチに守って誰でも使わせない方向にいくけれど、技術力を経済力に置換していく方は、その逆で市場に広く安価にいきわたらせることで可能になる。
日本の技術開発力とその普及は、技術力を政治力に置換するやり方の対極に位置してる。
ギズモだけどグレムリン、その実態は海の怪獣リヴァイアサン。今の社会システムから利権を得ている存在がいるとしたら、日本はそう見えるのかもしれない。
世界に対して日本人の深層意識はまだまだ怯えている。潜在意識では一番手になることを恐れてる。一番になって世界を引っ張っていきたくない。先の大戦で袋叩きにあったから。
恐怖心の克服。地球レベルでの共生社会を目指すための鍵。
今回のような食料・エネルギー危機は却ってチャンス。一気に恐怖心を克服して、世界を転換できる好機。資源の危機という大義名分があるから。
日本が世界を天照す。そんな時代が目の前に来ている。そのときの総理はきっとそれにふさわしい人。とてつもない日本の底力を識る政治家が日本にいたとしたら、彼の出番はその時なのかもしれない。
その時には国民自身も恐怖心を克服して、世界をリードしてゆくだけの覚悟が必要になる。さもなくば、世界覇権を持つ国、新世界秩序を構築する存在によって、その「技術力」は掠め取られ、「政治力」として使われるようになる危険に晒されるだろう。それではいつまで経っても合気道のような「試合のない」世界にはたどり着けない。
逆説的ではあるけれど、勝ち負けを超える世界に踏み込むためには、まず勝ち負けの世界の中で生き抜いていけるだけの《武》を極め、治めておかなければいけない。
日本がそれだけの覚悟を持って、自らの光を掲げるとき、世界は変わる。
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