
「これが安城、もしくは岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたらこの辺、全部洪水よ」
名古屋市で行われた自民党総裁選の街頭演説会で、8月末の愛知県での豪雨災害に触れた麻生総理の発言。
マスコミ各社はこぞってこの発言を取り上げて、麻生総理の失言だと叩いている。
ところが、生の演説を聴いた人の話によると全然そうではなくて、「安城や岡崎の(優れた)治水能力だったから、あの程度の被害で済んだけど、名古屋の治水能力では同じことが起きたら、この辺は全部洪水になってしまう。」という主旨の発言だったようだ。
なんでも下水処理には、汚水と雨水を別々の管で流す「分流式」と、同じ一本の管で流す「合流式」とがあって、合流式では集中豪雨の際に、処理場で生放流による水質汚染や、悪くすれば逆流する問題があるという。
古い町である名古屋市は合流式で、安城と岡崎は分流式になっていて、だから「安城や岡崎だったからいい」の発言に繋がったのが真相のようだ。
麻生内閣発足後、其処此処のメディアで、麻生総理は金持ちでお坊ちゃんだから庶民の気持ちが分からないだとか、失言癖が心配だなどとを非難してる。
メディアの発言切り貼りは今に始まったことではないけれど、発言の一部を切り貼りすることで、本来の趣旨と正反対の内容に曲がって伝わってしまう可能性には常に注意すべき。
もしも、それを意図的にしようものなら、ネガティブキャンペーンだといわれても仕方がない。それに引き換え、民主党への非難は驚くほど少ない。むしろ政権交代だ、と持ち上げている。
おそらく解散総選挙になれば、この類のネガティブキャンペーンは益々多くなってくることが予想される。しかし、麻生総理の組閣は、それすら見越しているように思う。鳩山氏の総務相起用がそれ。
鳩山総務相は、就任会見で「かつて法務大臣のときに朝日新聞から『死に神』といわれたが、私は正義のために常に働いているつもり。地方公共団体や地域のために、地域の守護神に、そういう神様になれれればありがたい」と挨拶した。
報道では朝日新聞にチクリと皮肉ったんだ、としているけれど、放送法などの権限を持つ総務省の大臣が、就任冒頭でいきなりこの発言をしたことは注目に値する。報道各社は震え上がったのではないか。恣意的な報道は許さないから覚悟しておけ、と。
おそらく、鳩山総務相起用は、その実力を評価したことは勿論、論功行賞もあったであろうことは否定しないけれど、裏に隠された意図として、マスコミのネガティブキャンペーンへの牽制を含んだ、総選挙のマスコミ対策の意味もあるのだと思う。

この記事へのコメント
月