麻生内閣の特徴(麻生内閣と総選挙についての雑考 その1)

 
総理の一字の補追でもあるけれど、麻生内閣と、近いと言われている総選挙について考えてみたい。全4回シリーズでエントリーする。

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6月24日、麻生内閣が発足した。野党・メディアなどは早速「お友達内閣」だの、総裁選の論功行賞だ、などと言っているけれど、個人的には素直に評価したい。

内閣の陣営を見る限り、かなり本気だということが伺えることと、非常に戦略的な人材配置をしていることが見えるから。

本気というのは、麻生総理自ら閣僚を発表したこともあるけれど、内政に実力者を配置した閣僚選出をしているところ。就任会見で「景気への不安、国民の生活への不満、そして政治への不信という危機にあることを厳しく受け止めている」と発言していたけれど、それに答えようとしている内閣に思える。

中でも中川財務兼金融担当相と石破農水省の選出に注目したい。明らかに景気対策・財政出動をやって、食の安全を守るぞと宣言してる。

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また、在日外国人参政権について積極的に推進している河村建夫氏の官房長官任命や、韓国政界に強いパイプを持つ中曽根弘文氏の外相起用について、いくつかの保守系ブログでは、なぜなんだと疑問の声も上がっている。

だけど、これは逆に閣内に組み込むことで勝手な真似はさせない、積極的な外交は今はやらない、または外交や政府のスポークスマンは全部俺がやるから、静かにしていろ、ということだと思う。特亜に対してはパイプだけは用意しておくけれど、自分からは動くな、と。そのうち、吉田茂のようにワンマン宰相と呼ばれるのかもしれない。

とまれ、麻生新内閣は、内政と選挙対策に特化したと見る。

そして、内政が安定するにつれて、外交にもだんだんと力を入れていくと予想する。今はじっと駒組みをして玉の回りをしっかり囲って、飛車先の歩は突かない、しばらくは我慢、我慢の布陣に見える。

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画像<麻生新内閣>首相「明るく強い国に」…就任後初の記者会見 9月24日 21時6分配信 毎日新聞


 麻生太郎首相は24日夜、首相官邸で自ら閣僚名簿を発表するとともに、就任後初の記者会見に臨んだ。

 首相は冒頭、「景気への不安、国民の生活への不満、そして政治への不信という危機にあることを厳しく受け止めている。日本を明るく強い国にするのが、私に課せられた使命だ」と語った。08年度補正予算案については「中小企業などは年末の資金繰りに頭を悩ましている。今年に入り明らかに不景気になった。対応するためにどうするか。審議してもらえればありがたいが、(民主党には)度々裏切られてきた」と民主党をけん制した。

 内閣の布陣では「適材適所。これは常に基本」とした上で、各閣僚への指示内容も披露。全閣僚に▽国民本位の政策を進める▽官僚を使いこなす▽省益ではなく国益に専念する--の3点を指示したことも明らかにした。

 基礎年金の国庫負担割合を09年度に現行の3分の1から2分の1に引き上げる政府方針に関しては「約束事だから実施する」として、来年4月に実現させると明言した。ただ「必要な財源は何にするか、考えていかなければいけない大事なとこだ」と述べるにとどめ、財源確保の具体策には言及しなかった。

 来年1月に期限切れを迎える新テロ対策特別措置法については「国際社会の一員として当然の責務で、日本に一番期待される部門だ。継続をやり遂げなければならない」と延長に意欲を見せたが、与党が3分の2以上の議席を持つ衆院での再可決に関しては「民主党の対応を見て考える」と述べるにとどめた。【坂口裕彦】

 ◇記者会見の要旨

 麻生太郎首相が24日夜に行った閣僚名簿の発表と記者会見の要旨は次の通り。

<冒頭発言> 首相の重責を改めて感じる。景気への不安、国民の生活への不満、政治への不信という危機にあると厳しく受け止めている。日本を明るく強い国にすることが私に課せられた使命。全閣僚に次の点を指示したい。国民本位の政策を進める。官僚は使いこなす。基本だが、省益でなく国益に専念する。

<組閣の考え> 人事配置は適材適所が基本と思っており、国民の期待に応えることとも思っている。このメンバーで総選挙も戦うことになる。正々堂々と戦う。

<08年度補正予算案と衆院解散時期> 審議をしてもらえればありがたいが、(民主党には)たびたび裏切られてきた。解散・総選挙の時期は、審議に応じてもらえる、もらえないを合わせて考えさせてもらう。

<新テロ対策特別措置法> テロに断固として戦うのは国際社会の一員としての当然の責務。海上給油活動は、日本に一番、期待されている部門。ぜひ継続すべきだ。(衆院の)3分の2(を使った再議決)を使うかは、民主党の対応を見て考える。

<民主党との政党間協議> 2大政党を目指して小選挙区制度を採用した。政党間協議、党首討論は必要なもの。ぜひ訴えていかねばならない。

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080924-00000106-mai-pol



画像特集:麻生内閣の横顔(再任は除く、敬称略)

 ◇名門出身、失言癖も--総務、地方分権改革・鳩山邦夫(60)津島派
 安倍、福田内閣の法相で、在任中は「法相が絡まなくても(死刑執行が)自動的に進む方法がないか」「友人の友人はアルカイダ」などの発言で物議をかもしたが、自ら「裁判インコ」の着ぐるみで裁判員制度をPRするサービス精神もある。4度目の入閣。

 祖父・鳩山一郎は麻生氏の祖父・吉田茂のライバルだったが、総裁選では3回続けて選対本部長として麻生氏を支えた。父威一郎は元外相、兄は由紀夫・民主党幹事長。

 ◇原子力の工学博士--法務・森英介(60)麻生派
 麻生太郎首相の側近で、一昨年の麻生派結成時から事務総長を務めている。昨年と今年の総裁選では、麻生選対で裏方を取り仕切った。

 政治家の家系で、森家6人目の衆院議員。父は美秀元環境庁長官。川崎重工のエンジニアから政界に転じた。

 原子力プラントの研究で工学博士号を取得した経験を生かし、環境、エネルギー問題に取り組む。労働政務次官、副厚労相などを務め、労働政策も得意分野だ。趣味は料理。

 ◇参院の要職を歴任--外務・中曽根弘文(62)伊吹派
 中曽根康弘元首相の長男。旭化成でサラリーマンを経験した。参院では、議院運営委員長、党政審会長、予算委員長などの要職を歴任し、参院議長候補に名が挙がったこともある。

 05年の郵政民営化関連法案では、通常国会で反対し、参院で同法案が否決される流れを作った。同年の総選挙後に賛成に転じ、予算委員長を辞任。「謹慎」の後、06年11月に参院教育基本法特別委員長に就任し事実上の復権を果たした。

 ◇党内きってのタカ派--財務、金融・中川昭一(55)伊吹派
 小泉・安倍内閣で4年にわたり、経済産業相、農相、党政調会長などを務めたが、昨年の安倍内閣改造で要職を退いた。その後の約1年は、安倍内閣の政策を引き継ぐことを掲げた「真・保守政策研究会」を発足させたほか、著書も出版するなどして過ごし、充電期間は十分。

 父一郎氏の死去に伴い、83年の衆院選に立候補、30歳で初当選した。党内きっての「タカ派」として知られ、麻生太郎、安倍晋三両氏とは極めて近い間柄。

 ◇特待生容認を提言--文部科学・塩谷立(58)町村派
 8月の福田改造内閣で官房副長官に就任したばかりだが、文教政策の実績を買われて初入閣を果たした。90年に父・一夫元衆院議員の後継で初当選したが、その後、2回の落選も味わった。05年郵政選挙では、県連が造反議員の支援に回ったため、県連会長を辞して郵政民営化を訴えた。

 教育問題に熱心で、小泉内閣では副文科相を務めた。昨年は、党小委員長として、高校野球の特待生容認を求める提言を取りまとめた。趣味はスポーツ。

 ◇軍事おたくを自認--農林水産・石破茂(51)津島派
 防衛庁長官2期、防衛相1期を務めた国防族の論客。今回の総裁選には派閥の独自候補擁立を目指す中堅・若手の声に推されて初出馬し、独特の語り口で知名度もアップした。

 父二朗氏は元建設事務次官で鳥取県知事も務めた。慶大卒業後、銀行員に。86年の衆院選で当時最年少で初当選した。戦車などのプラモデル製作が趣味で、自他共に認める「軍事おたく」。総裁選ではカラフルなネクタイを締め「イメチェン」にも心を砕いた。

 ◇妻は前拉致担当相--国土交通・中山成彬(65)町村派
 党内きっての保守派を自任し、「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の会長を務める。外交姿勢や経済政策に対する考え方が「麻生太郎氏とは元々非常に近い」と公言しており、政策手腕を買われた。

 大蔵官僚から83年の衆院選に出馬したが落選し、3年後の再挑戦で初当選した。小泉内閣では文部科学相を務めた。妻は福田政権で拉致担当相を務めた中山恭子参院議員。趣味のゴルフは党内屈指の腕前という。

 ◇34歳、最年少で入閣--少子化・小渕優子(34)津島派
 故小渕恵三元首相の次女。00年、ロンドン留学中に父が倒れ急きょ帰国。弔い合戦となった00年衆院選で圧勝し初当選した。教育問題に熱心で、文部科学政務官も務めた。

 成城大卒業後はTBSでアシスタントディレクター(AD)を務め、04年に同社プロデューサーと結婚。同郷の福田康夫氏が首相に選出された昨年9月25日に、長男を出産した。34歳での入閣は戦後最年少となる。総裁選では石破茂氏の推薦人となった。

 ◇ハマコー氏の長男--防衛・浜田靖一(52)無派閥
 「ハマコー」の愛称で知られ、テレビで活躍している浜田幸一元衆院議員の長男。父は「政界の暴れん坊」と称されたが、本人は「温厚な性格」で知られる。防衛政策に明るく、陸上自衛隊のイラク派遣の際には防衛庁副長官を務めた。米国留学の経験を持つ国際派でもある。

 林芳正、小此木八郎、松山政司の衆参3議員らと「ギインズ」というバンドを編成。各地でチャリティーコンサートを開き、CDも発売している。

 ◇「白クマ」の仕掛け人--官房、拉致問題・河村建夫(65)伊吹派
 この1年は党広報本部長を務め、7月の北海道洞爺湖サミット向けに出した党ポスターでは、福田康夫前首相が白クマと並んで立つ図案で話題を呼んだ。

 同郷の田中龍夫元文相に師事し、地盤を引き継いで90年に初当選。一貫して教育問題に取り組んできた文教族だが、カネミ油症問題や原爆症認定見直しにも積極的にかかわり、政治活動の幅を広げた。何事にも真摯(しんし)で、若手にも慕われる。趣味は卓球で、「至誠通天」が座右の銘。

 ◇4代続く政治一家--国家公安、沖縄・北方 佐藤勉(56)古賀派
 祖父は町長、父は県会議長、長男も県議と政治家の家系。衆院総務委員長、副総務相を務め、地方自治に明るい。県議3期目途中の96年、当時の加藤紘一幹事長から請われて政界入り。「加藤の乱」後も行動を共にし、旧谷垣派を経て古賀派に合流。

 日大工学部土木工学科卒後、大手建設会社で働き、1級土木施工管理技士などの資格を持つ。性格は温厚で、愛称は「ベンちゃん」。趣味のゴルフはハンディ10の腕前。

 ◇「日中ガス田」に尽力--行政改革、規制改革・甘利明(59)山崎派
 安倍政権誕生に積極的に動いて、経済産業相で入閣した。昨年の総裁選では、派閥の山崎拓会長の意向に反して麻生太郎氏の支持に回った。福田政権でも引き続き経産相を務め、東シナ海ガス田の日中共同開発合意などに尽力した。

 電機メーカー社員から新自由クラブを経て自民党入り。労相も務めており商工政策に明るい。青年漫画誌を愛読し、漫画家や芸能人との交流も深い。先祖は武田信玄の重臣だった甘利虎泰。

 ■官房副長官

 <衆院>

 ◇松本純(まつもと・じゅん)
 横浜市議、総務政務官、党副幹事長。東京薬大薬。神奈川1区。当選3回。58歳。麻生派。

 <参院>

 ◇鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)
 防災・特区担当相、参院予算委員長。早大教育。兵庫選挙区。当選5回(衆院含む)。67歳。麻生派。

 <事務>

 ◇漆間巌(うるま・いわお)
 警察庁警備局長、同庁長官。東大法。大分県出身。63歳。

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 ◇麻生新首相があいさつ回り
 国会で首相指名された麻生太郎新首相は24日夕、衆参両院議長や各会派をあいさつ回りした。最初に訪ねた河野洋平衆院議長からは「総裁選挙、疲れたでしょう」とねぎらいの言葉で迎えられたが、江田五月参院議長は「参院はなかなか手ごわいでしょう」と早くもけん制。首相は「江田さんの手腕の見せどころです」と笑顔でかわした。

 民主党では小沢一郎代表、菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長らが出迎えた。

 社民党の辻元清美衆院議員からは「麻生さんの失言を引き出すように頑張りますから」と宣戦布告され、数々の言動で物議を醸してきた首相が思わず苦笑いする場面もあった。【木下訓明】

毎日新聞 2008年9月25日 東京朝刊

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080925ddm010010131000c.html



画像麻生内閣、安定感重視と評価 与党、地味さに危機感も

 与党は24日、麻生内閣の発足について「安定感のある内閣だ」(細田博之自民党幹事長)と評価する一方、論功行賞を重視した地味な顔触れに「選挙の顔としてはどうか」(公明党幹部)と危機感もにじませた。

 細田氏は「それぞれの問題についての権威、非常に経験豊富な人がそろっている」と指摘。大島理森国対委員長は「適材適所で、女性の素晴らしい方々も入閣した。まさに『働き盛り内閣』だ」と持ち上げた。

 古賀誠選対委員長は「今回はとにかく選挙を戦わなければいけない。(麻生氏が)このメンバーで戦えると判断したのだから尊重すべきだ」と強調。笹川尭総務会長は、身近な議員を起用した「お友達内閣」との批判に対し「(自分を支えてくれる閣僚を)選べと言えば誰だって知っている人を選ぶ」と擁護した。

 公明党の山口那津男政調会長は「麻生氏の明るいキャラクターは国民に受け入られると確信している」と、麻生氏個人への人気に期待を寄せた。

 一方で、自民党の閣僚経験者は「『論功行賞内閣』だ。安倍晋三元首相のときとまったく同じで、これでは求心力をなくす」と先行きを懸念。

(2008年09月24日)

URL:http://office.kyodo.co.jp/feature/aso_cabinet/2008/09/post_7.html


画像麻生内閣、景気優先・選挙シフト 盟友、論功重視

 自民党の麻生太郎総裁(68)は24日午後、衆院の首相指名選挙で第92代首相に選出され、同日夜に皇居で行われる任命式・認証式を経て自民、公明両党連立の麻生内閣が発足した。

 麻生首相は官邸での就任記者会見で「日本を明るく強い国にするのがわたしの使命。経験のすべてを尽くして難題に立ち向かう」と決意表明。通常は官房長官が行う閣僚名簿発表を自ら行った。

 首相は11月上旬にも想定する次期衆院選をにらみ、積極財政派の中川昭一元政調会長(55)を財務相に起用、金融担当相も兼務させ、財政と金融の一体的運営で景気回復に全力を挙げる姿勢を前面に打ち出した。

 また戦後最年少閣僚となる小渕優子衆院議員(34)を少子化担当相、総裁選で知名度を上げた石破茂元防衛相(51)を農相に起用、与謝野馨経済財政担当相(70)を再任するなど、選挙を意識したシフトを敷いた。

 官房長官の河村建夫元文科相(65)ら首相と同じ文教関係議員と、中川氏ら総裁選の中核をになった麻生陣営幹部が多く、盟友と論功を重視した色彩も強い。

(2008年09月25日)

URL:http://office.kyodo.co.jp/feature/aso_cabinet/2008/09/post_8.html


画像麻生内閣:発足 市場は金融対応注視 「財務に権限集中」懸念も

 麻生政権が24日発足したが、市場では、米国発の金融危機や、一段の悪化が心配される国内景気に新政権がどのような政策で対応するのかに注目が集まっている。収束の兆しが見えない米国の金融危機に対して「麻生首相の危機感は強く、覚悟を持って対応する」との期待が高いようだが、財政のバラマキによる外国人投資家離れを懸念する声も強く、株価や内閣支持率次第では、市場が早々と内閣を見切る可能性もありそうだ。

 今回の閣僚人事で市場関係者が特に注目したのは、財務相と金融担当相のポストだった。中川昭一氏が財務相と金融担当相を兼務することになったが、「市場の混乱に、財政と金融行政の連携で対応するという麻生首相の覚悟の表れだ」(市川真一・クレディ・スイス証券チーフストラテジスト)と好意的な受け止め方がある。

 だが一方で、「兼務では財務省に権限が集中し、(財政と金融行政を分けた)財金分離の観点から問題だ」との指摘も聞かれる。

 景気回復に力点を置く麻生首相は積極的な財政支出で景気のテコ入れを図ると予想する声が多い。「財政出動の規模次第では、バラマキを嫌う外国人投資家の日本離れが起きる」(藤戸則弘・三菱UFJ証券投資情報部長)と、さらなる株価下落を懸念する市場関係者が少なくない。

 ただ、米国発金融危機を受け世界の主要国で同時に景気後退が進行するとの懸念が強まっており、「景気が悪ければ構造改革も意味をなさず、景気が冷え込んだ日本から海外投資家も逃げてしまう」(嶌峰義清・第一生命経済研究所主席エコノミスト)と、財政出動に理解を示す向きもある。

 一方で、「麻生内閣は総選挙のための内閣で、支持率が低迷すれば、政権の命運は尽きる」と冷ややかな見方も既に出始めている。【瀬尾忠義、野原大輔】

 ◇「まず景気対策」--経済界
 麻生政権の発足について、日本経団連の御手洗冨士夫会長は24日、東京都内で記者団に対し「政策通を多数配置し、国民本位の政治をするという明確なメッセージを発した」と評価した。

 経済の厳しい現状を踏まえ、「まずは足元の景気対策をしたうえで、財政再建への道のりを2、3年の期間で(政策)パッケージとして示してほしい」と要請した。

 経済同友会の桜井正光代表幹事は「国民生活の閉塞(へいそく)感や将来の不安感の根本には、税制や社会保障などに対する懸念がある」と指摘。「税財政の一体改革、社会保障制度の抜本的改革に毅然(きぜん)として取り組んでほしい」と要望した。

 日本商工会議所の岡村正会頭は、衆院解散・総選挙前を念頭に、政府の総合経済対策を実現するための、補正予算の成立を求めた。【谷川貴史】

 ◇「補正、早期に」--中部経済界
 新内閣発足を受け、東海地区の経済界からは、補正予算の早期成立や迅速な景気対策を望む声が相次いだ。

 名古屋商工会議所の岡田邦彦会頭は「目下最大の課題は、景気後退の動きに歯止めをかけ、影響を最小限に食い止めること。地方と中小企業の活力再生のため、補正予算を早期に成立させ、8月末に策定された総合経済対策を迅速に進めてほしい」とコメントした。

 中部経済連合会の川口文夫会長は「山積する内外の諸課題の克服に向けて、しっかりと腰を落ち着けた日本のかじ取りをお願いしたい」と要望。愛知県経営者協会の岡部弘会長も「特に中小企業への支援を早急かつ必要なところに実施するべく努力してほしい」との談話を出した。

 トヨタ自動車の渡辺捷昭社長は「日本経済の活性化に向け、足もとの景気対策をはじめ、税・財政・社会保障の一体改革など、直面している国政の重要諸課題に果敢に取り組みを進めていただきたい」とコメント。中部電力の三田敏雄社長も「首相の強いリーダーシップのもと、経済財政問題、エネルギー資源や地球環境問題などに迅速かつ適切に対処していただきたい」と要望した。【鈴木泰広】

 ◇麻生銘柄、ご祝儀なし
 24日の東京株式市場では、麻生太郎新首相の弟が代表を務める企業の子会社で、建築資材会社の麻生フオームクリート株が、22日終値比45円安の275円で取引を終えた。麻生首相が「マンガ通」で知られるため、マンガ・アニメ関連株も注目されたが、東映アニメーション株の終値が同30円高の2390円だった一方、マンガ専門古書店のまんだらけは同3万円安の34万6000円。市場は「麻生氏の首相就任を織り込み済み」(大手証券)だったため、「麻生銘柄」への影響も限定的だった。【野原大輔】

 ◇「補正」扱いで神経戦 解散時期確定できず
 直後に衆院解散・総選挙が控えていることから、麻生内閣は「選挙管理内閣」の色彩が強くなった。衆院選は麻生太郎首相と小沢一郎民主党代表のどちらが首相にふさわしいかを問う戦いで、政権の船出はその号砲を鳴らす機会ともなった。ただ、肝心の解散時期、投開票日は08年度補正予算案の扱いも絡んでなかなか確定しない。与野党の神経戦は激化する一方だ。

 「政策を実行する力は政権与党の自民党以外はあり得ない。民主党ではない。総選挙で必ず勝利し、国民の負託に応える自覚を持っていただきたい」。首相は24日午後、国会内で開かれた自民党両院議員総会で「政権選択の選挙」を強調した。

 「首相公選」の性格を持つ衆院選に向け、首相、小沢氏とも「選挙後の政権の形」を具体的に示す必要に迫られている。29日の首相の所信表明演説、10月1~3日の衆参両院代表質問がいつにも増して大きな意味を持つことになりそうだ。

 その中で、補正予算案が大きなカギとして浮上した。

 自民党は「10月3日解散、14日公示、26日投開票」という日程で動き出していた。しかし、リーマン・ブラザーズの経営破綻(はたん)などを受け、党内には「経済対策の後回しは国民の不信を招く」という意見が広がりを見せている。

 応じるかのように首相も自民党総裁選の期間中から補正予算案の成立をはかる考えを示すようになった。

 与党内では補正予算案について「10月6日審議入り→7日衆院通過→9日成立」という「最短ルート」がささやかれている。この場合、衆院選日程は「10月21日公示、11月2日投開票」など、後ろにずれ込むことが想定される。

 しかし、これはあくまで野党が協力することが前提。審議が長引けば、ずるずると先延ばしになりかねない。細田博之幹事長は24日、記者団に「懸案を片づけないといけないが、野党の対応によってはいろいろな展開がある」と語った。

 24日午前の国会内の民主党控室。公明党の新役員があいさつに訪れた冒頭、つばぜり合いが展開された。

 菅直人民主党代表代行「どうです? 解散の時期は」

 太田昭宏公明党代表「いや、決まってません」

 漆原良夫公明党国対委員長「私たちは山岡(賢次民主党国対)委員長の説を注意深く見ているんですよ」

 山岡民主党国対委員長「言う通りにやればいいのに」

 山岡氏は審議引き延ばし戦術を否定したうえで「11月2日投開票」を唱える。しかし、与党側には民主党に対する不信感が強く、「話し合い解散」の機運は高まっていない。【上野央絵、高山祐】

毎日新聞 2008年9月25日 東京朝刊


URL:http://mainichi.jp/chubu/newsarchive/news/20080925ddq008020008000c.html
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080925ddm002010096000c.html


画像麻生内閣:発足 景気、雇用不安、政治不信…山積課題にどう対応 /長野

 麻生新内閣が24日、発足した。与党への逆風をはね返すため、多くの自民党国会議員・地方が求めた「選挙の顔」。衆院解散・総選挙へのタイミングをにらみながら、ようやく山積した課題への国会論戦が始まる。景気や雇用不安、政治不信……。県内の有権者は今、新政権に何を求めるのか。各世代の声を聞いた。

 ◇物価高なんとか/健康、子育て支援/年金問題解決して/食の安全を/トップぐらぐらするな……各世代、県民らの声
 ◆20代・松本市、信州大法科大学院3年、湊大地さん(27)

 麻生内閣には地方を元気にする政策を打ち出してほしい。和歌山県新宮市の出身だが、地方が切り捨てられていると感じる。

 道路などの公共事業の無駄遣いを削減することは間違っていない。ただ、地方では公共事業などに代わる新たな産業が少なく、若者が職を見つけにくい状況だ。

 民主には政権を取った後のビジョンが見えない。自民のこれまでの実績を覆すことはできないのではないか。麻生内閣には公共事業削減後に、地方をどうするかという対策を示してほしい。

 ◆30代・長野市、主婦、丸山聡美さん(37)

 5歳と3歳の娘2人を育てており、子供の助成金を増やしてほしい。3歳まで1万円もらえるが、それ以降は小学6年生まで5000円。もっと金額を上げてほしい。子供は大きくなれば教育費など余計お金がかかる。少子化なのだから、改善してほしい。

 今の物価高をどうにかしてほしい。何もかもが高い。給料は上がらないのに、支出が増えている。飢え死にしろということか。子供に手軽に食べさせられるパンやめん類も高くなって困る。

 ◆40代・長野市川合新田、会社員、小林弘昭さん(47)

 今の政治に対して不満は多いが、とにかく税金を何とかしてほしい。給料が上がっても、所得税や保険料で差し引かれるばかりだ。(将来の消費税率を上げる構想について)全国民から税収を得られる消費税を上げるというのも分かるが、所得の高い人から多く集めるなどしてほしい。全員一律では、生活者はますます厳しくなるばかりだ。地道に苦労してきたという人に政治をしてほしいが……麻生さんはどうかと思う。

 ◆40代・長野市稲里、会社員、佐藤公恵さん(44)

 まずは生活の安心・安定が第一だ。自分の老後のことを考えると、とても心配になる。年金問題も最後の一人まできちんと解決してほしい。自分は将来、本当に受け取ることができるのか不安だ。社会福祉が確立している諸外国を見習ってもらいたい。将来、高校生の息子がきちんと働けるように、景気を良くしてほしい。国民の生活が安定しなければ、政治も安定しないと思う。このままの状況では、何歳まで働けばいいのか分からない。

 ◆50代・飯田市、公務員、古谷瞳さん(53)

 どちらかというと、今までの政治が場当たり的な印象だ。これまで、なおざりにされていた年金問題や若い人たちのワーキングプアなどの問題が噴き出ている。麻生内閣は、目先だけにとらわれず、国民の日々の暮らしを守ってほしい。

 今の年金問題も解決すべきだが、年金制度を支える、これから若い人たちが社会できちんと活躍できる仕組みをしっかりしてほしい。そうしないと、年金を含め社会を支える若い世代が育たない。

 食料品問題では、安全・安心な農産物を食べられる自給率アップと「地産地消」を推進してほしい。

 ◆60代・岡谷市川岸東、主婦、林佐知子さん(61)

 食品やガソリンなどの物価が上がって生活がしづらい。買い控えをしたり、外出も控えたりしている。何とかしてほしい。

 年を取ってくると、老後が心配。先日、社会保険庁から年金記録の手紙が来て、確認して返送したが、本当にきちんとやってくれるのか不信感がある。年金や高齢者の医療の立て直しをしてほしい。

 今は世の中にさまざまな不安があるのに、首相が1年で代わってしまう。国のトップがぐらぐらしているから、いろいろなことがぐらつくのではないか。新内閣にはぜひ、長く取り組んでもらって問題を解決するよう望んでいる。

 ◆70代・佐久市岩村田、酒店経営、楜沢仁さん(77)

 新内閣も解散選挙次第でどうなるか。長期安定した内閣の誕生を望む。経済や環境、食糧問題など世界に目を向けたグローバルな政策、対応が必要な時に、政局の争いばかりしているようでは、国民の安定した生活は望めない。批判、反対し合う党利党略ではなく、高い理念を持って、政党間で話し合い、協議できる高度な政治技術を持ってほしい。

 少子高齢化、介護社会は止めようもないすう勢。老人大学の調査で「理想の人間像」は「健康な人」と切実。後期高齢者医療制度で医療費を抑えるだけでなく、健康を維持するための方策の徹底や、子育て支援の環境も充実させないと、活力が衰えた日本になってしまうと懸念している。

 ◇麻生さんらしい--村井仁知事
 十分に洗練された能力を持った人たちが入閣した。麻生さんらしい抜てきだ。まとまりの良い内閣だ。安心していろいろな分野について期待できる。総務相の鳩山さんは長い経験があり、期待できる。石破さんほど農政に詳しい人もいない。世界経済の不況は深刻。経済対策をきちんと実行に移してほしい。

毎日新聞 2008年9月25日 地方版

URL:http://mainichi.jp/area/nagano/news/20080925ddlk20010004000c.html