中国の餃子事件の方針転換(国家の性格について考える その1)


試論として、国家の性格とその外交における対応について考えてみたい。全9回シリーズでエントリーする。

今回はかなり単純化したエントリー故、たとえばの話として話半分として読んでいただければ幸いである。


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中国製冷凍餃子による中毒事件で、中国側が8月28日、日本の外務省に対して、毒物が中国国内で混入した可能性が高いことを正式に認めていたという報道があった。

なんでも、中国公安部日本に捜査情報を正式に伝達した際、冷凍餃子の生産過程を含めて調査していることを伝え、中国の中毒事件の被害者が天洋食品関係者の可能性があり、同社工場内での毒物混入の可能性も示唆したという。またメタミドホスが原因であることも認め、詳細な毒物分析を進めているそうだ。

また、関係者によると中国で起きた事件については、工場関係者が個人的な動機で毒物を混入した可能性が高いという見方を中国側は日本側に伝えてきたという。さらには、捜査を担当していた公安省刑事偵査局の余新民副局長が更迭された。中国筋によると、「事件処理の不手際の責任」を問われたようだ。

これら一連の動きを見る限り、ようやく中国側も重い腰を上げて、事件の解決を図ろうと動き出したようにみえる。

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事件直後「板ばさみ(毒入り中国製餃子について 続編)」で事件の始末のつけ方として、待遇に不満を持った従業員とか、天洋食品に恨みをもった特定のごく一部の者による「犯罪」だった、と矮小化して沈静化を図る作戦をとるのではないか、また、このキャンペーンに安易に乗ってしまうと、食品メーカーが安全という名の板ばさみに遭うことになると指摘したけれど、ほとんどこのとおりの展開になりつつある。

案の定、食品メーカーは安全対策として、中国産食品そのものを避けるという手に出た。農水省が6月9日に発表した輸入検査実績(速報値)によると、5月の中国産野菜の輸入検査量は前年同月に比べて49%とほぼ半分にまで減少している。それも、野菜の種類に関わらず満遍なく減っているというから、単純に中国産というキーワードで拒絶しているのだろう。

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これまで、日中の合同調査を進めていたけれど、中国は自国内でメタミドホスの混入はないと言い張って、少しも埒が開かなかった。だけど五輪が終わって、日本の輸入量が減るという物理的インパクトが明らかになってきた。そのせいかどうか分からないけれど、自分に不利になったら途端に急激に態度を変えてくる。ご都合主義といえばそれまでだけど、そこには冷徹な国益の計算があって、単にそれに従っての行動にしか過ぎない。

ただ、その国益を求める行動基準は、他国の信頼を得ることなんかではなくて、ストレートに儲かるかどうか、自分に利があるかないかという点に多少偏っているように見えなくもない。

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画像輸入量がついに半減 5月の中国産野菜 2008/6/10

農林水産省が2008年6月9日に発表した輸入検査実績(速報値)によると、5月の中国産野菜の輸入検査量は2万5778トンで、前年同月に比べて49%減少した。中国製冷凍ギョーザの中毒事件が発覚した1月以降の前年同月比で最も減少、ほぼ半減にまで落ち込んだ。

輸入量では、4月の2万9453トンと比べても減った。07年~08年1月まで3万トンを優に超えていたが、2月以降2万トン台に減少。3月の2万5450トンが最低(前年同月比45%減)だった。

農水省植物防疫課は「玉ねぎやごぼう、にんじんなど、満遍なく減っているので、中国産ギョーザ事件の影響によるものだと思う」と話している。