金融恐慌の嵐が吹き荒れている。アイスランドが国家破綻した。恐慌の嵐はまだまだこれからだとも言われている。
そんな中、麻生総理は緊急市場安定化策を打ち出した。銀行等保有株式取得機構の株式買取りの再開や空売り規制の強化がその主なもの。
今回の緊急対策はこれまでからさらに踏み込んで、保有株式取得機構や日銀に株式買取りの指示が盛り込まれた。要するに株式PKOをやるということ。
これまでは、空売り禁止とか、民間会社の持ち合い規制の緩和など、ある意味民間活力に頼った対策だったけれど、今回は国が主導してPKOに乗り出す姿勢を示した。本腰を上げたといっていい。
にもかかわらず、安定化策を打ち出した10月27日の終値は、バブル崩壊後の最安値をさらに下回って、7162円90銭を記録した。
幾つかのメディアでは、ここぞとばかり緊急対策も効果がないと非難している。
総理は27日の夕方、記者団に「対策を出したから即(効果が出る)という種類のものではない。一喜一憂するつもりはない」と言っていたけれど、実は同日の昼、前場が終わった段階のぶら下がり取材で、こんな発言をしている。
「まあ今、マイナスの話でスタートされましたが、終値は30円のプラスだったろ? そっちも書いてよ。マイナスの話ばかりしたがるのはオタクの習性かもしれませんが、きちんと最後はプラスに出てきているというのは、ま、前場(マエバ)の話ですが、前場(ゼンバ)の話ですが、前場でそういうことになっていますんで・・・」
ここで少し気になるのは、麻生総理自身が日本の民間活力、経済力を少し信じすぎているのではないかという印象があること。
麻生総理は、自分でこうして市場を注視して、すばやく対策を打ち出せば、市場もそれを好感してすぐ反応するのではないか、と期待していたのではないか。
確かに、これまでこれほど市場を気にして対策をうてた総理はなかなか居なかったから、そう思ったとしても無理からぬことかもしれない。だけど、国民はおそらくもっと先を行っている。すなわち、底はまだまだ先だから焦らずゆっくり仕込もう、と。
世界中で火を噴いている金融恐慌。さすがにテレビも連日報道している。だけど日本の世間は表向きは、まだ平静を保っている。騒がない。2003年4月に7607円をつけたときのような悲壮感がない。どこかどっしりと構えてる。
たんに鈍感なだけなのかもしれないけれど、証券会社の個人口座開設が急増しているというから、今がチャンスと思っている人が大勢いるのだろう。
だけどじっくり構えてる。慌てて反応しない。おそらく政府のPKOが効果を出して、日経平均がじわりと、一万円を回復してきたあたりから効果が見えてくるような気がしてならない。
腰を上げたはいいけれど、ここからが本番。国民を信じるあまり、浮ついて欲しくない。我慢我慢。

この記事へのコメント
日比野
ゆえに、そんな状況でも株をやるよう国内個人投資家はじっと様子を窺っているんじゃないでしょうか。
かせっち
そもそも日本の家計の資産構成を調べると、株や投資信託が15%しかない一方で、現預金は50%を占めるそうなので、株が下がっても直接の痛手は大きくなさそうです。
一方アメリカは日本の真逆になっていて、現預金が10%強しかない一方で、株と投資信託が45%を占めます。だから株価下落が家計に対して大きな痛手になると言えるでしょう。