今のようにのらりくらりと解散先延ばしを続けていくと、どこかで民主党も気づいて、一切審議拒否作戦に出ることは容易に予想される。
民主党の輿石東参院議員会長は、早期解散に踏み切らないのなら、与党の提出する法案に対して徹底審議をする、とこれまでの対決姿勢に戻ると匂わせた発言をしている。
ここに至ってようやく、自民・民主の政策論争が始まることになる。もし与党が民主党では政権を任せられないのだキャンペーンを張って、与党支持率の回復を目論んでいるのなら、ここから本番を迎えることになる。
その割には、自民党は党首討論を民主党に何度も申し入れているのに、民主党は拒否を続けている。
なればこそ与党は、その討論したい内容や与党の政策を正確に国民に伝えるべく大々的なキャンペーンを張るだろう。民主党が少しも党首討論に応じないことを非難しながら。
なんとなれば、麻生総理は、ぶら下がり取材を拒否して、自民党・麻生チャンネルでのみ自身の声を伝える可能性だってなくはない。もしくはぶら下がり取材、その他会見の最後に「詳しいことは、自民党・麻生チャンネルをご覧になってください。」と付け加えて、そちらに誘導するのではないか。
マスコミに一切語らなかった情報を、麻生総理自ら、自民党・麻生チャンネルでのみ配信したらどうなるだろうか。対マスコミと対国民とで情報の差別化を図るということ。
自民党・麻生チャンネルでのみ、総理の本音が聞けると評判になったら、国民はマスコミをスルーしてネットから情報を拾うようになる。政治家と国民がダイレクトにコンタクトするから、そこにはマスコミのネガティブキャンペーンの入りこむ余地はない。
ネット動画なんかだと視聴者のコメントも入るから、それを聞いた上でその答えも配信することもできる。実際、総理自ら「普段、私が感じていることなどをお話ししたり、皆さんから頂いた質問に答えるなど、みなさんと一緒に作っていくチャンネルにしたい」と麻生・自民党チャンネルでコメントしている。
開設わずか2日で再生数35万を超えた「麻生・自民党チャンネル」の盛り上がりと、先日の小沢代表のインターネット番組での発言を比較すれば、直接国民に訴えるという点において麻生総理に分があることは明らか。
こうしたいわば、既存メディアの中抜き現象が進むと益々メディアの役割が問われることになってゆく。
ただ、既存メディアが全く役に立っていないというわけじゃない。ここ一連の解散総選挙騒ぎをみるにつけ、どうやら自民党はメディアを手駒、悪くいえば捨駒として使っていると思われるフシがあるように見えるから。
マスコミに見えるところ、マスコミにしか見えないところでは、殊更、解散総選挙を匂わせるような行動をして、マスコミに大々的に総選挙近しと報道させて、騒ぎ立てさせる計略ではないかということ。
政府重鎮の選挙事務所開設や、政府首脳の解散近し発言、選挙ポスター、CM作成などが全部芝居で、壮大なブラフだったとしたら・・・。
麻生総理自身は一言も解散時期について発言していない。周りが勝手に自分の見通しを言っているだけ。
もちろんその目的は、民主党を牽制して法案審議の場に引きずり出すため。政策論争をやって民主党ではダメなんだと衆目の目に曝して、支持率回復を狙うため。マスコミはそのための捨駒。
真意はネット動画などで直接国民に伝え、政局的な陽動・牽制にはメディアを使うという自民党の策。麻生総理にはとんでもないブレーンがついているのではないか。
なにからなにまで、先の先の、そのまた先まで読んで手を打っている。政権交代を巡る駆け引きは凄まじい。

この記事へのコメント
かなかな
一人テレビの前で、演説した事がありましたが
政治家の発言は、マスコミのバイアスがかかって
なかなか真意が正しく伝わらないのは問題ですね。
日比野
お返事遅くなり申し訳ありません。
ご指摘いただいて、思い出しました。佐藤栄作総理の退任会見(尤も生で見たわけではないのですが・・)そうですね。
ここ最近のぶら下がり会見での麻生総理の受け答えを見るにつけ、相当、上げ足を取られないよう気を使っているように見えます。今週の絶望先生のようにワザと上げ足を取らせるだけの余裕ある状況ではないですから仕方ありませんね(笑)