車が売れない。金融恐慌の影響もあるのだろう。とりわけアメリカ市場での売り上げの落ち込みが凄い。前年同月比で29.5%の減少したそうだ。
たしかにこんな状況では、トヨタ内部から世界一になっても関係ないという声が聞こえてくるのも頷ける。
国内でも若年層を中心に車離れが進んでいる。各自動車メーカーは市場活性化を狙って、若者をターゲットとした新車展示会を行うようだ。
だけどいくら展示会をやったところで、買う人、買える人が来なければ意味がない。
数年前になるけれど、展示会でのマツダかどこかの幹部へのインタビューで、「今の若者は本当に金がない。」とコメントしていたテレビニュースを記憶している。
金がないと買えないのは当然の話だけれど、金がないから買わないという行動は健全なこと。
たとえば、とても車なんて買えそうにない若者にいいローンがあるよ、担保は買った車でいいよ、この車種は人気があるから、中古で売っても高く売れるし、うまくしたら、新車で買ったときより高く売れるよ、といってローンを組ませて買わせたとする。
ローン会社は、100%リスクを負うのは厭だから、組ませたローンの債権を細切れにして、他の仲間や一般人に売り払うという、なかなかにして狡猾な手法を使っていた。
ローンを組んだ若者が買った車が人気があるうちはまだよかったのだけれど、人気の車がどんどん生産されたり、他の業者も同じ手口でどんどんローンで車を買わせたりすると、同じような車がどんどん町に溢れることになる。
人気があったその車も、皆が持つようになると人気がなくなってくる。担保価値も激減する。たとえ売り飛ばしたとしても借金だけが残ることになる。
それでも売れただけでもまだ良いほうで、中には売ることさえできずにどうしようもなくなって破産宣告する人も出てきたりする。そんな破産者が続出するとローン会社本体も破綻の憂き目にあうし、債権を買った人も被害をこうむることになる。
普通に考えてこんな仕組みは無理がありすぎる。こんなことをやるなんてどうかしてると普通は思う。
そんな馬鹿げたことがサブプライムローンという名で実際に起こった。そして今現実に、奈落の底に落ちて行っている。
いくら欲望を満たしたいからといって、分をわきまえずに手を出すとしっぺ返しを食うという単純な事実。
大きな買い物をするときには勇気が要るものだけれど、買わないのにも勇気が要る。買わない勇気を持てる人が多い社会はまだ健全だといえる。

この記事へのコメント
かせっち
…なんて構図もあったりして。
日比野
そうですね。都市圏では車の必要性は本当に少なくなってるなぁと思います。
維持費が高すぎるのが難点ですね。それこそ原付バイクくらいの維持費で済むようにならないと、なかなか持とうとは思わないのではないでしょうか。