日本産農産物が海外で人気を博している。その背景には美味しいということは勿論、安全であるという評判も定着していることが人気の秘密という。
もっとも、日本産だから100%安全だとは必ずしも言えないのだけれど、これまでの工業製品をはじめとする日本製品の高品質・高信頼性が、その評判に一役買っている面もあるのだろう。
国内農産物が海外にどんどん輸出される時代。ここで仮に農産物を「戦略兵器」として捉えてみて、その兵器の性能を「質」と「量」の両面に着目して考えてみるとその構成要素は次のようになると思う。
○ 食料品の質的要素
・味(美味しさ)
・安全性
・生産可能域(品種改良)
○ 食料品の量的要素
・生産量(輸出可能量)
・供給可能量(供給インフラ)
・値段(生産コスト)
こうしてみると、日本の食料品の強みはやはり質的要素に非常に優れている点。食料品単体の性能でみれば、おそらく他の追随を許さないくらいあるだろう。
それも日本の消費者の目が高く、常により良いもの、美味しいものを求めるが故に、つぎつぎと品種改良を重ねた結果。日本産の農産物があまりにも美味しいものだから、台湾、中国で日本産と銘打った偽ブランドが出回っているし、韓国で栽培されるイチゴの85%は日本の品種だという。
そんな超々高性能兵器である日本産農産物であるのに、その量的要素、すなわち兵器の運用がどうなっているかを見ると、がくんと見劣りすることは否めない。
食料自給率の低さに指摘されるように、国内生産量は少ないし、生産コストも外国品に比べて割高。高品質で性能単体では圧倒的な性能を誇る米であっても、生産農家への補助金がないとやっていけない。
唯一充実していると思われていた、生産者から消費者への供給インフラも、昨今の汚染米問題に見られるように、欠陥があることが分かってきた。
もはや農産物というものは、とんでもない開発費を必要とする高度な戦略兵器であって、その質を確保し、兵器の供給・兵站を維持する為にはそれなりの費用がかかるという認識に立たないといけないのではないか。
世界最強の戦闘機とされるF22ラプターの開発費と製造コストを合計すると一機あたり400億円にもなるという。
ラプター並とはいわないけれど、農産物を戦略兵器という観点でみることができれば、その技術開発や生産能力の維持に多額の国家予算を投入しても不思議でないように思えてくる。
軍事オタクの石破農水大臣の手腕に期待したい。

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