金融恐慌への日本の対応
世界同時株安。NYダウは続落で8000台。日経平均も同じく8000台に突入した。もはや恐慌に突入したと受け止めたほうが良いのかもしれない。
市場関係者もマーケットの底が抜けたのではないかとして、G7で市場不安を抑える施策を打ち出せなければ、更なる失望売りがでてくる可能性をも指摘している。
麻生総理は国内市場への対策として、「自社株買い」の規制を年内に限り撤廃する方針打ち出すなど必要な手を打っている。
G7に対しても、中川金融相が日本の外貨準備金を活用した各国支援案を表明した。
この案が本当に実現するかどうかわからないけれど、日本にとっての国益と世界貢献を共に満たすなかなかの良案のように思える。
この案のポイントはIMF経由で日本の外貨準備金をG7などの先進国以外に貸し付けするという点。IMF経由なので、普通の二国間支援と違って、かなりの確率で支援金の返済が期待できる。しかも日本の外貨準備金はほとんどドル、しかもアメリカ国債で持っているから、これをそのまま担保にして貸し出す形を取れるのがミソ。
今の状況で、普通に手持ちのドルを売って円を買えば、ドルが暴落して、急激な円高を招くことは明らか。金融恐慌前でさえ、政治的、世界経済的配慮もあって、ドルでの外貨準備金を売って円にすることができなかった。塩漬けの金。
そんなことをするよりは、ドルのまま見せ金として使えば、むやみに暴落させることもなく貸出できて、しかも今度はその返済が期待できる。もちろん円高リスクも小さくなる。
これは、日本のお金でありながら、政治的判断で売ることができなかった塩漬けの金を、金融恐慌の名目のもとに、担保という形で表にだして、IMF経由で利子付きで返済してもらうという含みがある。
人質として取られたままほとんど諦めるしかなかったお金を、生き金にして利息を付けてもらおうという一石二鳥の策。
こんな手が使えるのも、金融危機の今しかない。
東証の株安も、3割とも4割とも言われる持ち株比率を占める外国人が本国の金融危機に慌てふためいて一斉に売りに出しているのが原因だとも言われている。
昨年まであれほど、外資による優良日本企業買収の話が上がっていたのだけれど、一転して全面撤退の流れ。
だけど撤退するのは外資ばかりじゃない。破綻した大和生命のようにリスク資産を大量に持っているところは国内企業であっても一緒に淘汰される可能性がある。
東証を舞台とした激闘が行われている。それでも大きくみれば、日本の資産が日本の手に戻る機会が巡ってきている。
世界同時株安:東証「7000円台覚悟」 G7後、下落加速も
10日の東京株式市場は、日経平均株価が一時、前日終値比で1000円超暴落してあっさり9000円割れし、市場関係者は「マーケットが壊れた」と悲鳴を上げた。株価反転の好材料が見あたらず、市場では7000円台までの下落を覚悟する声が強まっている。先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で成果が上がらなければ、株価下落が加速する可能性も高い。03年4月のバブル崩壊後の安値(7607円)を割り込めば、底値が見えない状況に陥る懸念もある。【瀬尾忠義、谷川貴史、野原大輔】
「金融恐慌の一歩手前だ」。ある市場関係者は、10日の取引を振り返った。日経平均の終値は、昨年末終値(1万5307円)から7031円下落した。欧米やアジア株も下落し、株安の連鎖が止まらない状況だ。
背景には、米政府の金融機関への公的資金注入をめぐり、「実際に機能するのか」と市場から疑念をもたれていることがある。
このため、「G7で資本注入などの具体策を示すのが最低条件で、どこまで踏み込んだ施策で市場の不安心理を抑えられるかがポイント」(高橋和宏・大和証券SMBCグローバル・プロダクト企画部部長)とみられ、成果がなければ、失望売りを招く可能性がある。
危機対応には強いリーダーシップが求められるが、「政権末期の米国にリーダーとしての力はなく、G7には期待していない」(市川真一・クレディ・スイス証券チーフストラテジスト)との声も根強い。来週に本格化する米金融機関などの決算発表で業績悪化の深刻さが増せば、世界同時株安に拍車がかかるのは必至だ。
一方、市場が株価反転の契機として期待するのが、米国の大統領選だ。新大統領がリーダーシップを取り、公的資金注入に加え、新たに景気対策を打ち出せば、市場は好感する。しかし、「新大統領が対処を誤れば失望は大きく、株価下落に歯止めがかからなくなる」(大手証券)という危険も潜んでいる。
◇リート最安値更新 「ニューシティ」破綻受け--100ポイント安
東京証券取引所に上場する不動産投資信託(リート)のニューシティ・レジデンス投資法人が経営破綻(はたん)したことを受け、東証リート指数(03年3月31日=1000)は10日急落し、終値は前日比100・04ポイント安の734・10と最安値を更新した。ピーク(昨年5月31日)の2612・98に比べ、3割以下の水準だ。
東証リート指数は不動産市況に陰りが生じた昨年後半から下落傾向が続いてきたが、先月下旬以降は米国などの金融危機の深刻化で下げのペースが加速している。みずほ証券の並木幹郎不動産アナリストは「リートの賃貸物件は、安定した収益を確保しているのに評価されず、株式市況との連動性が強まっている。行き過ぎた下落だ」と指摘する。
一方、ニューシティ・レジデンスは賃貸マンション105棟を所有し、6766室ある部屋の入居率は90%を超える。管理会社には10日朝から、入居者の問い合わせ電話が100件以上あった。「『このまま住み続けられるのか』『支払った家賃はむだにならないか』などの質問が目立ったが、引き続き問題なく入居可能であることを伝えている」という。【位川一郎、太田圭介】
◇預金保護検討を--翁百合・日本総合研究所理事の話
金融危機に不安心理と先行き不透明感が強まり、企業も世界全体の景気が落ち込むとの見通しで動いている。日本や世界の株が、どこまで下がるか、誰にもわからない。米国は金融安定化法で不良資産の買い取りを打ち出したが、株価暴落は市場が金融機関への公的資金による資本注入を催促していることを示している。欧州は、すでに資本注入で金融の安定化を図る方向にシフトしている。G7では、米国も含め、世界の金融システム安定化に向けた取り決めを行うべきだ。また、流動性供給の状況を監視して資金繰り不安を取り除くことも重要で、預金の全額保護なども検討すべきだ。日本の金融システムは欧米に比べて相対的に健全だが、金融機関の間で収益性と経営体力の格差が鮮明化している。今後、景気への影響はまだわからないが、今以上に急激に円高が進んだりする場合は、政府の追加的な経済対策も必要になるかもしれない。
◇信用回復急務に--池尾和人・慶応義塾大学教授の話
今の金融危機は世界的な取り付け騒ぎだ。証券市場でも投資家は現金引き出しに走り、底なしの株価暴落を生んでいる。機関投資家などから一斉に解約を求められたファンドや証券会社は、資金返済に株など保有資産を売却せざるを得ない状況だ。市場の不安感が深まっているのは、金融不安が実体経済を悪化させ、それが再び金融不安を増幅させる悪循環に陥っているためだ。中央銀行は金融機関に大量の資金供給をしているが、不良資産を抱えて実質的な資本不足のままでは貸し出しに回せない。信用収縮の悪循環を止めるには、米国など各国が公的資金で金融機関に資本注入し、信用供与のベースを提供するしかない。日本は大手行など大半の金融機関は大丈夫だと思う。大和生命のように本業のもうけではなく、高利回りの金融商品の運用で収益を確保しようとしたファンドのような金融機関は破綻(はたん)するかもしれないが、例外的な存在だ。
毎日新聞 2008年10月11日 東京朝刊
URL:http://mainichi.jp/select/biz/news/20081011ddm008020083000c.html
アイスランドにロシア緊急融資/国家破たんの危機と首相 2008/10/07 20:52
【ロンドン7日共同】欧州金融危機の影響で、預金流出にさらされているアイスランドの中央銀行は7日、同国がロシアから40億ユーロ(約5500億円)の緊急融資を受けると発表した。欧州の危機は、国家が他国に支援を仰ぐ異常事態に発展した。
また、アイスランド政府は7日、経営が悪化した同国2位の銀行ランズバンキを管理下に置いたと発表した。
アイスランドでは、大手銀行の預金総額が国内総生産(GDP)を大幅に上回っており、多額の預金流出で国家全体の資金繰りが行き詰まる事態となった。ハーデ首相は6日夜、「国家が破たんの危機に直面した」と宣言していた。
通貨クローナは6日、ユーロに対して30%も下落。ロシアの融資は外貨準備増強とクローナ買い支えに使われる。
URL:http://www.shikoku-np.co.jp/national/economy/article.aspx?id=20081007000464
自社株買い制限、年内は撤廃へ 首相、金融危機受け指示 2008年10月10日20時39分
麻生首相は10日夜、株価暴落を受け、企業が発行した株式を自ら買い戻す「自社株買い」の規制を年内に限り撤廃する方針を示した。すでに金融庁に指示しており、内閣府令を改正したうえで14日から実施する予定だ。
自社株買いは、株価上昇を狙う相場操縦などを防止するため、買い付け数量や買い付け時間が制限されている。日経平均株価が8000円割れした03年3月にも3カ月間撤廃されたことがある。
首相は10日、記者団に対し、現在の株式相場について「常軌を逸しているような下がり方だ」と語り、規制の一時撤廃を明らかにした。
また、首相は金融危機への対応を協議するための主要国首脳会議(G8)について「必要があれば、日本として主催する用意がある」と述べ、G7の結果をみたうえで判断する意向を示した。「G8に限る必要はないのかもしれない」として、ブラジルや中国など新興経済国に参加を呼びかける可能性も示唆した。
URL:http://www.asahi.com/politics/update/1010/TKY200810100324.html
G7で日本の外準活用し各国支援を表明へ=中川財務・金融相
[ワシントン 10日 ロイター] 7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)出席のためワシントン入りした中川昭一財務・金融相は10日未明(日本時間同日午後)、日本の外貨準備を使って各国の資金繰りや金融機能を支援する制度の構築をG7会合で提案する考えを表明した。
記者団に語った。また、地方の金融機関の機能強化に関して検討する考えも示した。
中川財務・金融相は、足元の経済情勢について「ここにきて世界の金融不安が高まり、あらゆる可能性に対応できるよう(事務方に)指示を出している」と述べた。その上で「これから国会で審議する緊急経済対策を一刻も早く成立させたい」とし、具体的には「地方の金融機関に対しバックアップをより強化する方策の1つとして、金融機能強化法の検討を指示した」と語った。
また、G7以外にも金融危機の影響が出始めた国々に対し、「連鎖をできるだけ小さくするため、日本がリーダーシップをとって国際通貨基金(IMF)を通じて資金や機能強化で貢献する用意があることを、あす(G7で)話したい」との考えを明らかにした。さらに、日本の外貨準備を使った支援かどうかとの質問に「まずはIMFができることをした上で、日本も資金提供などを含め協力していく覚悟がある」と答えた。
一方、G7に先立ちポールソン米財務長官との会談が予定されているが、議題になるとみられている金融機関への公的資金による資本注入に関して、「米国だから、自分の国のことは自分の国で処理できると期待している」と述べた。その上で「日本の不良債権処理で公的資金が注入された経験を(ポールソン財務長官に)話したい」と述べた。また「ポールソン財務長官が公的資金注入に前向きだとすれば歓迎だ」と語った。
(ロイター日本語ニュース 吉池 威記者)
最終更新:10月10日14時17分
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081010-00000383-reu-bus_all
170648 日本の優良企業の外資持ち株比率 西谷文宏 HP (31 和歌山 建築設計) 08/02/10AM11
日本の優良企業の外資持ち株比率(共同通信 2007/10/31)
<銀行・証券>
三菱UFJ銀行 33.7%
三井住友銀行 39.4%
新生銀行 73.3%
大和證券 37.1%
野村證券 43.6%
<製薬>
武田薬品 43.7%
小野薬品 35.0%
エーザイ 33.6%
塩野義製薬 41.5%
第一三共 32.3%
参天製薬 36.3%
アステラス製薬 47.3%
<通信>
KDDI 31.4%
<IT・電気電子>
ソニー 50.1%
NEC 29.3%
日立製作所 39.5%
任天堂 41.1%
コナミ 30.0%
パイオニア 37.8%
TDK 44.6%
キヤノン 47.3%
オリンパス 34.7%
富士フイルム 51.1%
コニカミノルタ 41.4%
リコー 39.0%
ヒロセ電機 39.3%
東京エレクトロン 49.8%
村田製作所 37.8%
日東電工 55.9%
京セラ 34.8%
ローム 51.6%
HOYA 54.3%
SMC 49.3%
<自動車・バイク・重機>
ヤマハ発動機 31.9%
日産自動車 66.7%
ホンダ 35.5%
スズキ 35.7%
コマツ 35.6%
<化学>
花王 49.5%
三井化学 29.7%
積水化学 33.6%
信越化学 36.3%
栗田工業 37.3%
東京ガス 32.7%
<印刷>
大日本印刷 34.2%
<不動産>
三菱地所 38.3%
三井不動産 45.0%
<運輸・交通>
ヤマト運輸 31.2%
JR東日本 30.6%
<人材派遣>
メイテック 44.1%
<セキュリティ>
セコム 43.3%
既にあらゆる産業分野において、日本の優良企業が外資によって買収されている。このまま進めば、間違いなく日本はアメリカと共倒れ。又はアメリカ経済破綻に乗じて、叩き売られること間違いなし!
ハゲタカ買収と闘う共認形成を広げていく必要がある!!
URL:http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=170648
東証パニック売り、一時千円超安 1週間で2600円暴落 10/10 22:21
10日の東京株式市場は、日経平均株価(225種)が一時、1042円安と再び暴落した。3日からの1週間で下げ幅は2600円を超え、東京証券取引所1部の株式時価総額で約66兆円(19・8%)が目減りした。金融危機を背景に欧米各国やアジア、新興国の株価も軒並み大幅下落。世界同時不況の様相が鮮明になった。
世界の投資家がリスク資産から資金を引き揚げる動きが進み、歴史に残る悪夢の1週間となった。株安による資産減少で、個人消費や企業の設備投資意欲が冷え込むのは確実だ。
東京市場はこの日、午後も売り注文がやまず、平均株価の終値は前日比881円06銭安の8276円43銭と、2003年5月28日以来、約5年4カ月ぶりの安値を付けた。下落率は9・62%と、8日に記録した9・38%を超え、過去3番目。1週間に2度も歴史的な暴落が起こる異常な事態となった。
平均株価は今年に入ってから約46%下落。失われた時価総額は約207兆円と、日本の国内総生産(GDP)の約4割に当たる。株安が長引けば、企業は保有株式の含み益減少などで経営体力を奪われる。進行する円高も輸出に依存する企業の収益を圧迫し、景気後退色が強まっている日本経済は一層苦境に立たされている。
URL:http://www.shizushin.com/news/pol_eco/national_eco/2008101001000157.htm
大和生命は特異な収益構造、他社と状況異なる=金融担当相 10月10日11時32分配信 ロイター
[東京 10日 ロイター] 中川昭一金融担当相は10日、大和生命が会社更生法に基づく更生手続き開始の申し立てを行ったことについて遺憾との談話を発表した。談話では、大和生命は、高いコストの保険事業を高利回りの有価証券の運用で補てんするという「特異な収益構造」であり、他の保険会社と状況が異なるとした。
大和生命の保険契約は、今後、裁判所の監督で更生計画で定められる。談話では、日本では生命保険契約者保険機構のセーフティネットが整備されており、保険契約者は原則、90%まで補償されると強調した。
当局として、保険契約者の保護の観点から、適切な監督に努めるとした。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081010-00000320-reu-bus_all
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