国会が街頭演説の場のようになるのはいかがか、とか劇場形国会は問題ではないかという指摘もあるけれど、それは国民が、政治政策についてきちんと認識を持っている、という前提での話。
これまでのように、投票率も50%いくかいかないか、有権者全体の3割を占めるとも言われる無党派層。そんな日本の政治状況では、むしろ国会を街頭演説の場にしてでも、国民に広く訴えるほうがまだマシだといえる。それによって、ようやく政治が国民の目の前の事として扱われるから。
今回の麻生総理の質問にしても、小沢代表の所信表明にしても、大方針として、景気対策やら、国民生活の改善を謳っているから、同じことをやろうとしている。だから論点としてはその方法論と財源はどうするんだ、という問題に行き着くことになる。
だけど財源の話となると、明らかに与党が有利。
予算の使用用途その他は各省庁が握っていて、役所からの情報公開は与党と野党とでは対応に差があるという。
民主党は、予算の付け代えと「埋蔵金」によって財源を確保するといっているけれど、おそらくは、どうころんでも正確な予算の見積もりは出せない。
そうなると、与党はしめたもの。嵩にかかって「民主の言うことはいい加減だ。やっぱり民主に政権を渡してはいけない」キャンペーンを行えばいい。
そうこうするうちに民主党の出す法案の良い部分をパクって与党案として、どんどん法案を通して景気対策をやってしまえば、国民はやれやれと安心する。同時に与党の支持率も上がってゆくだろう。
こうなってしまえば、実質連立政権と変わらなくなる。しかも美味しいところだけ自民党に浚われて、民主党は冷や飯を食わされる。ここまでいってしまうと、民主から自民への鞍替え議員が出てきたとしてもおかしくない。
麻生総理は、10月1日の夕方「解散より景気対策の方が圧倒的に世論の支持が高い。」といって解散の先送りを示唆したけれど、この与党戦略は景気回復がなされてゆくかぎり、時間の経過とともに自民に有利になってゆく。
民主党としてみたら、こんなシナリオはたまったものじゃない。このシナリオを破綻させようと、審議拒否でもなんでもして早いうちに解散総選挙に追い込むしかない。
だけど、審議拒否という手段については、麻生総理の所信表明演説で指摘され、釘を刺されているから、おおっぴらにはやりにくい。
それでも、苦しい野党側は、補正予算成立後の衆院解散を要求して「解散を約束しない限り日程協議には応じられない」と本音丸出しで反撃に出た。
水面下で物凄い駆け引きが行われている。まだまだどうなるか分からないけれど、国民不在の政治にならないことを望みたい。

この記事へのコメント
美月
国会中継の視聴は時間上の問題で失念していましたが、参照記事を見る限りでは、冒頭の舌戦はそれなりに興味深いものだったみたいですね。ライブで見たかったです。
現在、あれよあれよという間に世界情勢が変わっていて、茫然自失の状態です。真摯な運命論者という訳でもないのですが、麻生政権の続行タイミングに合わせて、世界レベルでこれだけの大きな流れが次々来ているのを見ると、これはもう本当に、いま麻生政権があるのは天意かも…と思いました。
※グローバル金融の大混乱を切り抜けてゆく小沢政権の図、というイメージは、麻生政権に比べると、何故かどうも感覚的にしっくり来なかったです。いちおう、荒海に揉まれている小沢氏・菅氏・鳩山氏トリオのテレビ広告は、覚えているのですが…