シリーズエントリー「麻生内閣と総選挙の雑考」の続きになるけれど、麻生政権について検討を進めたい。全3回シリーズでエントリーする。
「まずわが身を捨てて、国民に訴えるという姿で、国民が理解してくれるんじゃないかなと、まあこう思ったのが辞任の理由ですね。」
9月28日に自身の問題発言の責任を取って、国交相を辞任した中山成彬氏のインタビューでのコメント。
発言内容の是非は兎も角、普通に考えて、政権発足間もない時期に大臣がこうした発言を連発するのは不自然に映る。
「日本は内向きな単一民族」「(成田空港反対闘争は)ごね得というか、戦後教育が悪かった」発言に対して、県連幹部が「言葉遣いに気を付けてほしい」と忠告を受け、26日に河村建夫官房長官から注意を受けたにもかかわらず、27日の地元宮崎市の自民党宮崎県連会合で、「日教組は解体しなきゃいかん」発言をしている。はっきりと確信的発言をしてる。
アメリカ発の金融危機を受けて、与党からは解散先送り論も出てきている。マスコミは中山発言を散々に叩いていたけれど、JNN調査によると、中山前国交相は「辞めるべき・辞めて当然」が48%、「辞める必要はない」が45%と拮抗したという。
中山発言を「よく言ってくれた」とか「そのとおりだ」という声があがる一方、不支持の声としては、「大臣の発言としては不適切」だとか「国交相がなぜ畑違いの教育の発言をするのか」まではいいとして、発言内容そのものを吟味した議論はあまりみられない。
「日教組が強いところは学力が低い」発言にしても、「日教組の組織率と学力調査の因果関係が全くない」という非難に、中山氏は組織率の問題じゃない、一部の過激な人が問題なのだ、ときちんと反論している。それに対してのデータに基づいた再反論は聞こえてこない。
むしろ問題にすべきは、「日教組は解体しなきゃいかん」発言のほう。曲りなりにも日教組といえど、合法組織であるから、それを国家権力中枢にいる人が「潰す」とか「解体する」とか、絶対に言ってはいけない。憲法違反の恐れすらある。この発言を持って、大臣発言としては不適切と言うのならそのとおり。そこの部分は謝罪すべき。たとえ、政治家個人としての発言だったと釈明しても、大臣職にある限りは慎むべきという声があがるのは止むを得ない。
ともあれ中山発言が残したものは大きい。世間に成田空港反対闘争問題や教育問題を大きくアピールした。中山氏本人もインタビューに、「大臣になって取り上げてくれるならこれはいいチャンスだと。」と答えているから、中山氏の元からの持論だったのは確かなこと。
政治家本人の本音の部分をストレートに訴えることで、政治の世間に対する訴求力がぐっと高まった。
更に「言葉狩り」的な非難を集中するマスコミの異常さも同時に炙り出した。ここまで偏っていると、逆に自民党へ注目が集まる。もしかしたら判官びいき的な効果が生まれてくるかもしれない。
マスコミのネガキャンには騙されないぞと身構え、各政党の訴える政策を自分の目でちゃんと見てみようかという雰囲気が世論に生まれてくるように思う。

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