将来不安への対策 (定額給付金についての雑考 後編)


消費者が貰ったお金を消費せずに貯金してしまうとすると、その理由として考えられるのは、

A)将来が不安なために蓄えておく(将来不安)
B)特にこれといって買いたいものがない(消費性向低下)

の大きく2つくらい。日本で生活する限り、生活保護制度もあるからいきなり飢えて死ぬこともない。この状況下で貰ったお金をすぐ使う理由があるとすると、それこそ「今にも飢えて」いる人か「浪費」したい人になってしまう。

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だから、もとから1(定額給付金)によって、大幅な景気刺激ができると期待するほうがおかしいのであって、それよりは、圧倒的予算規模を占める2(中小企業対策)と3(地方対策)、特に2についてその効果は如何なるや、を問うべき。定額給付金はオマケ扱いで十分。

そして次に考えるべきは、2(中小企業対策)と3(地方対策)の対策が、A.将来不安とB.消費性向の低下に対しての答えになるかどうか。

2の中小企業金融対策はひらたくいえば、中小企業の倒産を食い止めるための方策。これはA)の将来不安の対策だと言える。

3の地方対策は、国内の移動をうんとし易くして、人と物の物流を活性化して、金を地方に落として欲しいという施策。もちろんこれはB)への対策になる。

本当はこちらの効果の是非を掘り下げ、喧伝すべきもの。

今は、定額給付金の支給額を所得によって変える変えないで揉めているけれど、正直どうでもいいというのが国民の反応だと思う。

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将来が不安になるのは、守るべきものが多すぎるから。

現代人は、家族とか地位とか金とか、守るべきものが多すぎて、雁字搦めになっている。

もし守るべきものが何にもない状態、たとえば、敗戦直後のように焼け野原の中で生き残った人は何を考えるだろうか。もとより守るべきものは何もない。空手にしてただ生きるのみ、なりふり構ってなんかいられない。

今の時代からみれば、終戦直後なんて悲惨そのもの。偉大なる先人達は、そのなかで逞しく生き抜き、日本の復興を成し遂げていった。

だからといって、守るべきものを捨てろとは言わないけれど、最後の最後まで守りとおすべきものとそうでないものを整理して心の荷物を軽くしておくのも一つの考え方。

そして政府は政府で、国民の将来不安を払拭するために全力を注ぐべきだし、そのための対策であるときっちり説明できなきゃならない。

近々にはこの対策で、雇用不安を食い止められることを国民に納得させて、すばやく財政の中期プログラムを提示して将来像を明確に示さなくちゃならない。

マスコミも重箱の隅をつつくヒマがあったら、2(中小企業対策)と3(地方対策)の内容を深く掘り下げるべき。

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